第555話 洞窟の中の宝石


 ふふーん! 変な形で朦朧になっちゃったけど、それも回復! という事で、目の前に転がっているアクアマリンに触れて採取していこー!


「どうか、変化しないで下さい!」


 ここで『増幅石』や『再誕の道標』になったら勿体無いし、普通に宝石として手に入れさせて! えいや!


「あー!? 『再誕の道標』になっちゃいました!?」


 ぎゃー! そうなってほしくなかったのに、触れた瞬間に真珠っぽい色合いに変化しちゃった!? なんでそうなるのー!? 『再誕の道標』自体は必要だけど、これがそうならなくてもいいよね!?


ミツルギ : あー、これは残念……。

イガイガ : なんかサクラちゃん、宝石の『再誕の道標』化が多くね?

いなり寿司 : 今までで……『琥珀』と『真珠』の2つと、今ので3つ目か。

ミナト : 宝石系アイテム自体が大量に手に入ってる訳じゃないし、割合としては高いかも?

富岳 : とは言っても、実際この手の変化は結構ある事だしな。気分を切り替えて、次を探した方がいいだろ。


「……そうします」


 うがー! 思いっきり文句を言いたいとこだけど、言ったところで無意味だから……ここはグッと我慢して、他に宝石系アイテムがないか探すのさー! 確率で『再誕の道標』になっちゃうのは……仕方ないもん。


咲夜 : あれ? ちょっとトイレに行ってる間に、サクラちゃんがしょんぼりしてる? あ、『再誕の道標』になったのか!?

G : 自重しての無反応かと思ったら、ただのトイレかよ!

神奈月 : なるほど、だから普段と反応が違ってたのか。

イガイガ : いなくてもフラグを立てるとは……。

咲夜 : いくらなんでも、それは言いがかり過ぎじゃね!?


「あはは、確かに今回は咲夜さんの責任はありませんよねー」


 今回は何も言及してなかったんだし、トイレに行ってて不在だったなら流石にフラグとは言えないもんね! どちらかというと、私の物欲センサーが動いちゃった?


イガイガ : シレッと認定される、普段の咲夜さんのフラグである。

いなり寿司 : まぁ『今のは責任がない』という事は、『これまでは責任がある』という事になるしな。

咲夜 : ちょ、そういう判定!? 単に物欲センサーじゃねぇの!?


「あー、確かにそうなりますかねー? 厄介ですね、物欲センサー!」


 1番の難敵な気がするよ、本当に! 次こそは普通の宝石系アイテムを……って考えてたら、そういう時ほど出にくくなるんだよね。


金金金 : 実際に実装されている訳じゃない物欲センサーの存在を認めるのであれば、咲夜さんのフラグ立ても認めるしかないな。

ヤツメウナギ : あー、まぁ理屈としてはそうなるか?

G : 違いないな! 実在の確認ではなく、結果から認定するならそういう事になる!

真実とは何か : それは真実なのかもしれない……!

咲夜 : 待て待て待て!? 無茶苦茶な事を言ってねぇ!? 俺の発言、物欲センサーと同じような存在なのかよ!?


「今までの経験上、それもありそうな気がしてきました? もしそうなら、どういう風に言ってもらったら私にとっていい結果が得られますかねー?」


 なんか皆さんの悪ふざけが入ってる気もするけど、ここはもう全力で乗っかっちゃえ! 咲夜さんはネタバレを色々やっちゃってるんだし、このくらいはしてもいいはず!


ミナト : んー、咲夜さんの発言は、結果的にサクラちゃんにとっての不利益へと繋がってる感じだしねー? 良い方向への誘導は難しいかも?

富岳 : 良い内容だと悪い結果へ、悪い内容だと悪い結果へ繋がってるからな。

咲夜 : ただ単に、俺の発言に無理矢理、状況を当て嵌めてるだけだよなー!?

サツキ : そうとも言えるけど、それにしては色々とタイミングはおかしいよ?

水無月 : 言ってすぐに、それが起こったりしてるもんね?

咲夜 : うぐっ!? ……確かに、俺もタイミングが良過ぎるとは思うけども!


「冗談のつもりで言ってますけど……本当に、あのタイミングはなんなんですかねー?」


 うーん、謎過ぎる部分! とはいえ、実際に因果関係があるのかどうかって確認しようがないしねー。


「さて、悪ふざけはこれくらいにして、他の宝石を探していきましょう!」


 次こそは、普通に宝石を手に入れたいのですよ! 洞窟では宝石が手に入りやすいって話なんだし、さっきのアクアマリンだけって事はないはずだもんね! それが全て『再誕の道標』や『増幅石』になるとも思えないし!


咲夜 : サクラちゃん、悪ふざけだったのか!?

ミナト : まぁ不思議ではあるけど、実際の因果関係は不明だしね? どちらかと言うと、ネタバレの方が問題じゃない?

G : そうだぞ! ネタバレは本当に自重しろ!

咲夜 : なんかGさんに言われるのだけは、納得いかねぇ!?

サツキ : サクラちゃん、次の宝石を探しに出発!

水無月 : 出発!


「はい! とりあえずこの周辺の破片に埋もれてるのがないか探していきますねー!」


 えーと、今の状態で進むのは爪を引っ掛けて引っ張る感じで……あれ? 少し進んでも、すぐに後ろに下がる……って、水化で水と同化してたんだったー!?


「これ、傾斜があったら全然進めないですよ!? 『水化』解除です!」


 効果時間が勿体ない気もするけど、前に進めなきゃ意味がないもんね! うん、脚が普通になって、しっかりと立ち上がれた! それでいて、滑って転びそうな気配もないね!


ミツルギ : 今回は誤発動だったから仕方ないが、陸上では『水化』は本当に必要ないからな?

チャガ : 完全に水平な陸地はほぼないから、移動方向がどうしても限られてくる。まぁ下っていくのに使うには便利だが……洞窟内では向いてないな。

こんにゃく : 洞窟の内容にもよるけど、基本的に凸凹してるからなー。

ヤツメウナギ : 多少の傾斜なら勢いで押し切れなくもないけど、使わない方が進みやすいぞ。水への適応進化で、滑るのは防げるしな。


「あ、そうなるんですね! 確かに今は滑る様子はないですし、この状態で進むのが良さそうです!」


 ふふーん! 『水化』を使えば盛大に滑りまくって、使わなければ全然滑らない状態になるんだね! 伏せてなくても歩ける状態になったんだし、水への適応進化は便利!


「さてと、それじゃ宝石系アイテムの捜索を再開です! これ、崩れてきた岩をひっくり返したら、その下にあったり……って、ありました!?」


 すぐ近くにあった崩した鍾乳石を押し除けてみたら、普通にキラッと青い光が反射する宝石が出てきた!? 待って、待って、待って!? 探すのを再開して、こんなにすぐ見つかるとは思ってなかったよ!?


サツキ : 早くも発見!

水無月 : 思った以上に早かった!?

金金金 : 驚いている狐っ娘アバター。サクラちゃんも、流石に今ので見つかるとは思ってなかったか。

G : 意識外だったから、物欲センサーが機能しなかったか?

こんにゃく : 意識してない時に、あっさりと出てきたりするからなー。

ミナト : あはは、確かにそういう事はあるもんね。えーと、青い光を反射してるだけで、元の色は無色だし……これはダイヤモンドだね。


「おぉ! 有名な宝石が、遂に登場ですね!」


 サイズは他の宝石よりも小さいけど、それでも小振りな真珠くらいはあるから……リアルで買えば相当お高い気がする! まぁゲーム内で出てくる宝石だから、お金にはならないけど!


金金金 : ダイヤモンドが登場か。宝石系アイテムは、見た目だけの違いで性能に差はないんだったよな?

ミナト : うん、適応進化の保存に使う場合はそうなるねー! 装飾進化に使う場合は、見た目こそが性能だから重要な部分だけど!

金金金 : あー、見た目を変える進化では、そこが最重要な部分か。


「あはは、確かにそれはそうですよねー! どこかでその『装飾進化』っていうのもやってみたいとこですけど……まぁ今はダイヤモンドを採取していきましょう!」


 ふふーん、次こそは普通の宝石として手に入れたいね! その後、もう少し探してみて、気が済んだら鍾乳洞の奥へと進んでいきたいなー!


 

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