第554話 再びの水への適応進化


 雷への適応進化はガーネットにちゃんと保存したし、今見ているのは水への適応進化を保存してるガーネットで間違いないはず!


「それじゃ、水への適応進化をしていきますねー!」


 という事で、『ガーネット【水】:増幅Ⅰ』を使用! ちゃんと水になってるし、大丈夫!


<成熟体【巧妙なライオン】を成熟体【巧妙なライオン【水】】に進化させますか?>


 もちろんですとも! ここで進化させて、滑りにくくするのですよ!


<成熟体【巧妙なライオン】を成熟体【巧妙なライオン【水】】へと進化します>


 ふっふっふ! ガーネットが砕けると同時に、水が一気に出てきたね! それにライオンの中から光の球になって飛び出て、私を中心に水が集まり始めた! 洞窟の中だから上空って訳じゃないけど、高さが変わって少し新鮮だね! 

 ふふーん、これも今日のサムネイル候補かも? これ、向きは変えられるのかな? あ、いけそう! よーし、向きを変えながら連写でスクショを撮るぞー! 


サツキ : 水への適応進化、2度目だねー!

ミナト : 視点が高くなってるし、ここから宝石系アイテムは……あ、あったかも?


「え、本当ですか!? どっちの方向です!?」


 進化の演出で視点が変わった間に、ミナトさんが宝石系アイテムを見つけたっぽいよ! ミナトさんが見つけられるって事は、私には確実に見えてる範囲だし……分かりません!


<成熟体【巧妙なライオン【水】】への進化が完了しました>


 あ、そうしてる間にライオンの中に戻っていって、進化が終わったね。うーん、自分じゃ見つけられなかったけど……それって割といつもの事な気がする!

 とりあえず、スクショは連写でしっかり撮れてるね! サムネイルにするかどうかは、配信が終わって選ぶ時に決めよー!


サツキ : サクラちゃん、水への適応進化は完了! ミナトさん、宝石は何処に!?


「最低でも使った分は回収したいので、教えてもらってもいいですかねー? 自分でも探してみましたけど、見つけられませんでしたし……」


 というか、水で周囲が覆われているような状態になってたのに、その状況でよく見つけられるよね! 流石はミナトさんと言うべきなのかな?


ミナト : うん、問題ないよー。多分だけど、位置的に見失っちゃってた鍾乳石を破壊した時のあれだしね。えーと、方向的には真後ろかな?

イガイガ : サクラちゃんは視点を回してた上に、水でそこそこ視界が塞がれてたのに、よく見つけるな!?

富岳 : まぁそれが出来るのが、実力派のサファリ系プレイヤーだからな。

こんにゃく : 正直、どうやって見つけているのかが分からんけどなー。

ミナト : んー、今回は偶然の要素が強いよ? サクラちゃん、光ってる水場のすぐ側ねー! 岩の影にあるけど、青い光を反射してるから!


「あ、はい! えーと、真後ろにある水場の近くの岩で、隠れてる位置ですね!」


 とりあえず伏せた状態のまま……じゃなかった! 進化が終わった時点でいつの間にか立ち上がってたけど、滑る気配はないよ!?


「あのー、てっきり『水化』が必要な……わっ!? 誤発動しちゃいました!?」


 ぎゃー!? 水への適応進化だけで滑らなくなってたっぽいのに、脚が水と同化しちゃった!? ぐぬぬ、これだと逆に地上は進みにくい……って、あれ?


「……ちょっと待って下さい。なんか勝手に動いてませんかねー!?」


 待って、待って、待って!? 急に後ろにスーッと動き出したんだけど、私はまだ何も動かしてないよ!?


咲夜 : 後ろに水場があるという事は、そこへ傾いているという事!

ヤツメウナギ : まぁ単純な話で、ある程度の傾斜があれば……その方向に勝手に滑っていくだけだな。

神奈月 : 『水化』ってそういうもんだしなー。

ミナト : あはは、まぁ宝石系アイテムがあるのはそっちの方向だし、問題ないんじゃない?


「……確かにそれはそうですね? でも、後ろ向きに滑っていくのはなんか怖いんですけど!?」


 水が溜まる場所があるんだから、そこに向けて滑っていってる状態みたいだけど……せめて前を向いてる状態にさせてー!?


「あ、水場に辿り着いたみたいですね!」


 もっと滑り続けるものかと思ってたら、それほど速度も出ない間に止まっ……てはないね!? あ、目の前に青い光を反射している石があった!


水無月 : あ、青い光を反射してるのがあるよ!

金金金 : おっ、あれがミナトさんが見つけた宝石系アイテムか。

ミナト : うん、そうなるねー!

いなり寿司 : さて、青い光源で無色の宝石が青く見えているだけか、それとも青い宝石なのか……どっちだ?

神奈月 : これは……どっちか分からんな!


「あ、そういう違いもあったりするんですね!」


 そっか、そっか! 宝石って言っても、色々種類はあるもんね! 青い宝石だと、サファイアとかアクアマリン? あんまり詳しくないから、それくらいしか思いつかないけど!


「まぁ採取すれば、何の宝石かは分かり……ちょっと待って下さい。なんかどんどん離れていってるんですけど!?」


 待って、待って、待って!? 止まらずに水面をスーッと滑っていってるからー!


金金金 : 慌て顔の狐っ娘アバター。そして、水面を滑りゆくライオン。

水無月 : サクラちゃん、放水! それで方向転換は出来ない!?


「あ、それがありました! 『放水』!」


 進んでいってる方向から、私に向かって放水開始! ふぅ、これで滑る向きが変わって……って、ちょっと待って!? 今度は勢いがあり過ぎませんかねー!?


「ぐふっ!?」


 ぎゃー! 勢い余って、宝石の前にある岩に頭から突っ込んだー!?


サツキ : サクラちゃん!? 大丈夫!?

水無月 : 勢い、つき過ぎちゃった?

ミナト : あらら、打ち所が悪かったみたいで『朦朧』になっちゃってるね。


「……なんとか止まりはしましたけど、ここで『朦朧』って酷くないですかねー!?」


 うがー! そんなに勢いをつけたつもりはなかったのに、なんでこんなに速度が出てるの!?


ミツルギ : 今のはまぁ縄張りでのステータス強化分を考慮に入れずに使ったからこそだろうな。

神奈月 : あー、今は思いっきり威力が上がってるとこだしな。

G : それを見えてない方向から使えば、まぁこうもなるか。

チャガ : 元のステータスが高いから、1.5倍になった時の強化幅も大きいからな。


「あ、そういえばステータスが上がってるんでした!?」


 むぅ……盛大にやらかしたっぽいけど、まぁとりあえずは止まったし、敵も近寄ってくる状態じゃないし、別にいいや! 目の前に宝石はあるんだし、『朦朧』も少しすれば回復するから問題なーし!


「あ、この宝石、青い光で反射してるんじゃなくて、元々青いみたいですね!」


 頭を打って『朦朧』で倒れちゃった状態だけど、それで光ってる水場から照らされなくなって様子が見えたね! ……光源を遮ってる形にはなるけど、それでも真っ暗になる訳じゃないし、色合いは分かるのです! まともに動けないから、今はまだ採取が出来ないけど!


ミナト : 透き通ってて淡めの青だから、これは多分アクアマリンだね。

富岳 : 原石じゃなくて、既にカット済みなのはゲーム的な都合だな。


「おー! これがアクアマリンなんですか! 綺麗な感じでいいですね! まぁ原石で出されても困る気はしますしねー」


 他のゲームのアイテムとして見る事もあるけど、装飾アイテムの一部としてだもんね。宝石そのままで見るのは、地味に初めてかも? なんというか、透き通ってる水をそのまま石にしたみたい!


G : 問題は、これが素直に宝石として入手出来るかどうかだな。

ミツルギ : あー、『再誕の道標』や『増幅石』になる可能性もまだあるからな。

神奈月 : 触れた瞬間に変化するもんな、あれ。


「……不穏な事を言わないでもらっていいですかねー?」


 まだ確定ではないのは事実なんだろうけど……ここは、普通に宝石として手に入れたいよ! 水への適応進化にするのにガーネットを使い切っちゃったんだし、補充は必要だもん!


いなり寿司 : 今回は咲夜さんが何も言及してないし、大丈夫じゃないか?

イガイガ : あー、確かに。

サツキ : 咲夜さん、サクラちゃんが採取するまでコメント禁止で!

G : ……反論があるかと思ったが、本当に書き込みがねぇな?


「あはは、まぁ咲夜さんも何か思うところがあるんじゃないですかねー?」


 本当にどういう事なのかと思うくらいに、色々なフラグになってきてたもんねー。今回はどういう結果になっても、自分は関係ないって言い切る為だったり?


「あ、『朦朧』が回復しました! それじゃ、アクアマリンの採取をしていきましょう!」


 お願いだから、そのまま宝石として入手させてください! という事で、いざ採取の為に触れるのですよ!

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