第541話 平原を飛ぶタカ


 うがー! 見通しが良くなったら、タカからの攻撃頻度が上がってきたよ!?


「わっ!? わわっ!? 上空から一方的に攻撃って、卑怯じゃないですかねー!? 『放電』『放電』『放電』!」


 見切りで反応を見て回避じゃ防戦一方だから、タカを見上げて走りながら、放電を連発! どれか、当たれー! ……むぅ、外した。


サツキ : サクラちゃんの反撃開始!

ミナト : 上を見ながら回避しつつ走るのはいいけど、周囲にも要注意ねー! 距離はあるけど、ゾウとかキリンとかが近くにいるから!

富岳 : ゾウもキリンも堅牢系統だったな。まぁ迂闊に近付き過ぎなければ、変に巻き込む事はないだろ。

いなり寿司 : 他には……あー、索敵だけに反応してて、姿は見えてないのが草むらの中にいるか?

水無月 : あ、確かに何か反応があるよ! サクラちゃん、要注意!


「あ、はい! 周囲にも注意が必要ですね!」


 マップが解放になったから、索敵がしっかりと仕事をしてる! でも、その辺を確認しながら、タカからの攻撃を避けつつ、更に反撃を当てるって難しくない!?


金金金 : 余裕がなさそうな狐っ娘アバター。まぁ確かに厄介な状態だとは思うけど。

こんにゃく : こういう空の敵、何気に厄介だからなー。

咲夜 : そうそう! 遠距離攻撃持ちだと尚更に!

G : 逆に、こういう攻撃を自分でやる時は楽しいんだけどなー。

真実とは何か : それもまた真実である!


「あはは、確かに上から一方的な攻撃は楽しそうではありますよねー! でも、やられる方はたまったものじゃないですけど! わっ!? わわっ!?」


 ともかく、今は走り回って回避ー! うーん、どうやってタカに攻撃を当てようかな? 前にも何度か空飛ぶ敵とは戦ってるけど、その時はどうやったっけ?

 あ、そうだ! 前に戦った時は、溜め攻撃を使って動きが止まったところを狙って……って、今はその時よりも高い位置にいる気がするよ!?


「なんか、前に戦った事があるタカより、上空にいませんかねー!? 『放電』! ……むぅ、当たらない!」


 狙う為に速度を落として見上げてからの攻撃じゃ、あのタカにはあっさりと避けられてる! 弱点は『生命』と『堅牢』と『知恵』になってるから耐久性はないんだろうけど、素早さはあるみたい! これ、向こうも見切りで避けてませんかねー!?


イガイガ : 何度かこの手の敵とは戦ってるけど、その時よりも相手も進化してるしなー。

ミツルギ : 遠距離攻撃は、育てば育つほど射程は伸びるしな……。器用系統なら尚更にだけど、サクラちゃんの攻撃も一応は届いてるだろ?

咲夜 : 当たってないけどな!


「当たってないのは事実ですけど、状況的に仕方なくないですかねー!? あ、こっちはマズいです!?」


 索敵で姿が見えてない敵の方に向かってたー!? 大急ぎで、方向転換! この状態で他の敵の追加とか、相手にし切れないもん!

 この辺は背の低い草むらになってるけど、その中にいる敵なら小型の動物かな? もしくは植物系の何か! まぁ今はなんであっても、相手にしてる場合じゃなーい!


富岳 : サクラちゃん、連発で当てようとし過ぎだ。それとピンポイントで狙い過ぎだぞ。

ミナト : あ、そこまで言っちゃう?

富岳 : 今のままなら、全然攻撃が当たらないままだろうしな。この程度のアドバイスはいいだろ。


「ピンポイントで連発し過ぎですか……? あ、普通に溜めればいいですよね!? 『放電』!」


 そっか、そっか! 当たらなさに焦って連発してたけど、放電の使い方はそれだけじゃないもんね! 射程は十分届いてるんだから、確実に当てられるようにしなきゃだよ!


「溜めてから、広範囲に広げるように放てば当たりますかねー? わわっ!?」


 ふふーん、回避成功! 私も攻撃は当てられてないけど、タカも私に攻撃を当てられてないもんね! ピンポイントで当てられないなら、放電の範囲を広げればいけるはず!

 冷静に考えたら普通にこの手段がいいんだろうけど、なんか焦ってた! アドバイスありがとうございます、富岳さん! さーて、走って攻撃を避けながら、タカに当てる放電を溜めていこー!


サツキ : 放電を溜めながら、駆けるサクラちゃん!

水無月 : サクラちゃん、ファイトー!

いなり寿司 : ほぼ正解のアドバイスが、ちゃんと反映されてるな。

ミナト : 答えを教えたようなもんだしねー。これで麻痺が入って落ちてくれば楽なんだけど……どうだろ?


「放電での麻痺は、そんなに高確率じゃないですしねー。咆哮は、今の状態じゃ当てられる気もしませんし……」


 そもそも咆哮はあの高さまで届くのかな? んー、試してみるのもありだけど、とりあえず放電で1回攻撃してみてだね。溜めてる間は、他のスキルは使えないし!

 とりあえず今は上を必要以上には見ずに、狙いを定めにくいように走って、そこそこ放電を溜めていこー! 他の敵に当たって発動しちゃっても嫌だから、周囲には要注意!


「あ、ちょっと参考までに聞きたいんですけど、ミナトさんならライオンの近接であのタカは倒せます?」


 少し気になったから、これは聞いてみよ! もしやるなら、どういう風にやるんだろ?


ミナト : んー、ライオンでだと……正直、面倒なだけだからスルーかな?


「あ、そうなんです? ミナトさんでも倒せない相手っているんですか」


 ちょっと意外な答えだったけど、そういう事も――


チャガ : サクラちゃん、ミナトさんは倒せないとは言ってないぞ?

咲夜 : 面倒なだけって言ってるし、倒そうと思えば倒せるのか? え、どうやって?

神奈月 : あー、多分聞いても真似出来ないやつな気がする。

ミナト : いつでも確実に倒せる訳じゃないけど、まぁ倒せない訳ではないよ? えーと、この場にある条件を使うなら、とりあえずさっきの森の中に戻って、木を何本か切り倒して、それを上空に吹っ飛ばして、足場にしつつ駆け上がる感じかな。


「え、そんな事が出来るんです!?」


 待って、待って、待って!? 思った以上に無茶な内容が出てきたよ!? 木を切り倒して、それを吹っ飛ばして足場にして空まで行くの!? 言われても出来る気が全然しないんだけど!?


ミナト : あくまで、それは上空まで上がる手段だねー。相手は飛んでるから、それに合わせて小石や木の実なんかを取り出して使うよ。攻撃に移る時の足場はこっちだね。

神奈月 : やっぱり聞いても真似出来ないやつだった……。

金金金 : その手の空中の移動方法、オンライン版での実力者がよく使うやつだな。

いなり寿司 : オンライン版だと自分で生成出来るし、位置調整も出来るけど……オフライン版はそれ無しだぞ。難易度が遥かに違う。

富岳 : やれなくはない手段だが、集中力と正確な挙動が必要だから面倒な手段ではあるな。

ミナト : そうそう、あんまり気軽な手段じゃないから面倒なんだよねー。どっちかというと遠距離攻撃を持つ周囲の敵を盾代わりにして、潰し合いにさせる方が楽かな?


「あ、そういう手段もあるんです!? それなら、私でも真似出来そうですね!」


 そっか、そっか。敵同士で潰し合いをさせるって手段もあるんだ! 昨日のヒマワリ集団みたいなのにタカの攻撃を押し付けて、そこで敵同士を戦わせるってのでいけそうな気がする! でも、この近くにはそういう敵はいなさそうだよねー。


「さーて、適度に放電も溜まったので、いきますよ!」


 ズサっと止まって、上空を見上げる! ピンポイントで狙って回避されるなら、回避出来ない範囲にすればいいもんね! 溜めた分だけ広げられる状態にはなったはずだし、網を広げるように放つのです!


「放電、いっけー! あ、当たりました!」


 やった! 回避しようとタカは動いたけど、それでも回避し切れずに当たってくれたね! うふふ、溜めた分だけ再使用時間を待つ必要があるけど、これなら確実に当てられる!


サツキ : サクラちゃん、ナイス!

水無月 : 見事に当たったね!

ヤツメウナギ : おっ、何気に今ので麻痺も入ったな。

咲夜 : 落下が始まったタカ! ……あれ? ちょい待った。この高さからだと結構な落下ダメージになるんじゃ?


「あ、それは確かにそうかもです! まぁそれだけで死ぬとも限らないので、落下地点まで急ぎましょう! 『疾走』!」


 落ちてきたところを思いっきり攻撃して、確実にHPを減らしていこー! その為にも少し離れた位置に落ちていってるタカの元へ――


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv 34に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


「あー!? 落下した先、岩がありました!? え、これで終わりなんです!?」


 待って! ここから追撃していくつもりだったのに、麻痺で落ちてそれで終わりなの!? 楽が出来たって事にはなるんだろうけど、なんか思ってたのと違うよ!?

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