第519話 残りのヒマワリ達


 ふふーん、『堅守の構え』を発動! うふふ、あんまり痛過ぎない程度の攻撃だから、死ぬような事はないはず!


「えーと、強化幅ってどの程度が可能性としてありそうですかねー?」


 というか、正確にどのくらいのダメージでどれだけ強化されるか、正確に覚えてなーい! 5段階あって、ⅣとⅤは現実的には難しいってのは聞いた覚えはあるけど! 確かⅣが85%減った場合で、Ⅴが95%減った場合だよね?


ミツルギ : 生命10%減で10%の『威力強化【Ⅰ】』、20%減で25%の『威力強化【Ⅱ】』、50%減で50%の『威力強化【Ⅲ】』、85%減で100%の『威力強化【Ⅳ】』、95%減で200%の『威力強化【Ⅴ】』だな。

富岳 : 今のダメージの範囲なら、ⅠかⅡってとこだろう。

ミナト : そんなに痛いダメージでもないし、半減まではいかないだろうねー。

神奈月 : 『堅守の構え』自体にダメージの軽減効果もあるし、今回は大した強化にはならなさそう?


「あ、よく考えたら、さっきまでより攻撃がよく当たってるのに、ダメージ量は減ってますもんね!?」


 うがー!? ここは死なない程度にHPが減ってくれた方がいいのに、ダメージを軽減しちゃってるから、思った以上に耐えられちゃってる!?


「あ、でも攻撃によって受けるダメージ量が全然違いますね!?」


 全然ダメージを受けてないのもあるけど、しっかりとダメージを受けてるのもある! えーと、どっちがどっちからの攻撃だろ? うー、これ、ちゃんとHP2割くらいまでは減るよね?


イガイガ : これ、場合によっては『威力強化【Ⅱ】』にも届かない可能性があるんじゃ?

こんにゃく : それはあるかもなー。『旺盛なヒマワリ』の方とか、ステータスでの弱点が『器用』だし……。

咲夜 : スキルとしては遠距離攻撃を持ってるけど、威力は低いやつ!?

ミナト : 『頑強なヒマワリ』の方は弱点に『器用』はないから、こっちが主にダメージを与えてきてる感じだねー。

富岳 : 『屈強』のステータスは遠距離攻撃には影響しないから、堅牢系統の敵で遠距離攻撃持ちは意外と威力が高い事もある。まぁステータスで『器用』が高いかどうかの違いだな。


「あ、よく見たらそうなってますね!? 『旺盛なヒマワリ』……『屈強』と『堅牢』と『俊敏』が弱点になってますし、その上で『器用』のステータスも弱いって、なんか生命に特化してません!?」


 『頑強なヒマワリ』の方の弱点は『屈強』と『俊敏』と『知恵』だけど、こっちはそれほどバランスが悪いとは思えないけども! なんかダメージの受け方が、思ってたのと違うよ!?


富岳 : ……むしろ、それでよく『獅子咆哮』を生き残ってもんだな。手前に他の個体がいたか?

ミナト : ヒマワリ畑って、死角が出来やすいからねー。仕留めた個体の後ろにいた可能性は十分あるし、生命自体は多いから、それで生き残ったのかも?


「他のヒマワリを盾にして生き残ったんですか!? ……そういう事もあるんですね」


 むぅ、強くはなくてもそういう生き残り方もあるんだ。というか、それなら『堅守の構え』まで使う必要はなかった気がする!?


「あ、でも、なんだかんだで受けたダメージは2割は行きましたね! 効果時間は切れましたけど『威力強化【Ⅱ】』にはなりました!」


 時間的にギリギリもギリギリだったけど、何とか『威力強化【Ⅱ】』にはなったよ! これで威力は25%の強化だー! えっと、強化時間は1分間だったはずだから、大急ぎで使っちゃわないと!


咲夜 : おっ、なんとか『威力強化【Ⅱ】』にはなった!

金金金 : これで25%の強化だな。てか、なんだかんだで25%って結構な強化だよな?

ミナト : んー、無防備に攻撃を受ける時間が必要だから、その時間を差し引くと微妙なんだよねー。その分、避けて攻撃した方がマシ!

神奈月 : 実力者の場合だとこういう意見になるが、まぁ一般的に見ても出来れば『威力強化【Ⅲ】』くらいは欲しいところ。

G : 正直、割に合ってるかというと……普通でも微妙だしなー。


「今回の発動、失敗だったって事ですかねー!? とりあえず先に『頑強なヒマワリ』を先に仕留めます! 『疾走』!」


 確かに『旺盛なヒマワリ』のダメージにもなってない攻撃を受けてたら、そういう気にはなってくるけども! それでも『頑強なヒマワリ』を倒すのに無駄にならないはず!


咲夜 : そういや、『頑強なヒマワリ』の方は生命を回復してない……って、言い始めたら回復を始めた!?

イガイガ : フラグ回収が早いな!?

ミツルギ : それでこそ咲夜さんって感じだけどな。


「回復フラグを立てないでもらっていいですかねー!? 一旦止まって……『咆哮』で!」


 ヒマワリの目の前にズサッと止まって、至近距離からの発動! 残りHP3割くらいまで減ってるのに、ここから回復させませんよ!


咲夜 : ちょ!? 今の、俺のせい!?

真実とは何か : 真実はしかと受け止めよ。

ミナト : あはは、まぁ今に始まった事じゃないけど、こうも色々と偶然が重なると……そう言いたくはなるよねー。

富岳 : まぁ確かにな。


「偶然というには回数が多過ぎなんですよねー。あ、回復が止まりました! 萎縮も入りましたね! 一気に仕留めます! 『爪撃』『連爪』『連爪撃』!」


 萎縮で動けなくなった『頑強なヒマワリ』で爪研ぎだー! うりゃりゃりゃりゃりゃりゃー! あれー? なんか手応えが変だし、思ったように削れてないよ?


サツキ : サクラちゃんの怒涛の爪研ぎ攻撃!

水無月 : あ、このヒマワリ、硬いね!? 25%の強化があっても、結構耐えてる!?

金金金 : 硬いというか……空振ってね?

ミナト : 葉っぱには当たってるけど、暖簾に腕押しな状態かなー。サクラちゃん、木が相手じゃないから当てる場所は細い茎になるし、そういう場合は爪を研ぐ感じじゃなくて、左右に薙ぎ払う感じがいいよ!


「あ、何か変だと思ったら、葉っぱに当たっただけじゃちゃんとダメージになってないんですか!? えーと、こうですかねー? 『爪刃乱舞』!」


 左右に薙ぎ払う感じだと……って、普通に動物系の種族を攻撃してる時のやり方でいいだけだー!? ぐぬぬ、背の高い植物だから、つい木の幹で爪研ぎをする感じでやってた! これで、どうだー! うりゃ、うりゃ、うりゃりゃー!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「『頑強なヒマワリ』の撃破完了です! 残りは『旺盛なヒマワリ』が1体だけですね! あ、再使用時間が過ぎてます! 『放電』『放電』『放電』!」


 地味に花びらや種を飛ばしてくるのが鬱陶しいけども、ダメージはほぼないから無視で! 距離を詰めながら、放電を連発! うん、HPは多いけど、普通に効きはいい感じ!


サツキ : サクラちゃん、いっけー!

水無月 : あと1体だー!


「はい! さっさと仕留めますね! 『体当たり』!」


 距離が近付いたから、そこから体当たりで突っ込んで……あ、またこのヒマワリは回復を始めたよ!? 今ので2割くらい削ったのに、あっという間に回復していってる!?


「回復させてたまりますか! 『覇気の咆哮』!」


 最大まで凝縮して、スキルのキャンセルを狙って……って、キャンセル出来ないよ!? うぅ、萎縮にもなってないし、完全な無駄撃ちー!


咲夜 : あー、キャンセル失敗か。

ヤツメウナギ : まぁそっちは確率低めだからなー。最大まで凝縮しても、ダメな時はダメだし……。

神奈月 : サクラちゃん、ともかく回復速度を上回るように攻撃で!


「あ、はい! あ、それならこれってどうですかねー? 『放電』の状態でえいや! あ、いけますね!」


 うふふ、放電を溜めてる状態で触れたら勝手に放たれるけど、その状態で爪を振り下ろしたら勝手に電気が流れていった! これは、地味に便利かも!


富岳 : おっ、放電と通常攻撃の連携か。そこに遂に辿り着いたな。

水無月 : こんな事、出来たんだ!?

ミツルギ : これも、雷への適応進化が最強格と言われる理由の1つだぞ。マニュアル操作がまともに扱えなくても、通常攻撃に乗せる形で発動出来るという強み!


「おぉ、そうなんですか!? 確かにこれは良さそうですよね! 『放電』『放電』『放電』『放電』『放電』!」


 なんでこういう使い方にこれまで気付かなかったの、私! スキルの発動は『放電』と言ってさえいればいいし、その状態で『爪刃乱舞』を使ってるようなイメージで連撃をどんどんやっていくのです!

 うりゃりゃりゃりゃりゃー! うふふ、このヒマワリのHPの回復速度はかなり早いけど、これならそれを上回れるかも! 

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