第517話 平原のヒマワリ畑


 次のエリアの平原エリアに来て早々に、『巧妙なヒマワリ』に襲われてるー!? というか、まだ距離があるだけで、他にもヒマワリが何体かいるよ!?


「あ、でもヒマワリ達はちゃんと植わってるんですね! 植物はそれでいいんですよ!」


 花びらや種を飛ばしてくるのは厄介だけど、何とかそれは見切り頼りで回避、回避、回避ー! その間に、放電の溜めも進んでいくね!


咲夜 : 残念ながら、ただ単に今の状況で植わってるだけだな!

ミツルギ : 状況次第だけど、根で移動はしてくるからなー。

神奈月 : ……慣れたと思ったけど、やっぱり根で動く植物は嫌なのか。


「あ、それは残念ですね……。流石に多少は慣れましたけど、やっぱり植物は植わっててこそじゃないです?」


 むぅ……ヒマワリはしっかり植わってるものだと思ったのは単なる勘違いだったみたい。私の桜の木みたいに、動かずに戦いなさーい!


ミナト : それを言ったら、ライオンは水中に潜るものじゃないよ?

イガイガ : あー、それは確かに……。

真実とは何か : それが真実である!


「まぁ、確かにそれはそうですけど……って、飛んでくるのが収まりました? わっ!? これ、危ないやつじゃないです!?」


 こうやって動きが止まった時って、溜め攻撃を準備し始めてきてるよね!? えっと、えっと!? この状況から回避するには、どうしたらいいの!?


金金金 : 慌て始める狐っ娘アバター。これは……溜め攻撃の兆候か?

こんにゃく : そうだろうなー。でも、色々と状況が悪い。

ヤツメウナギ : 下手に近付けば、他のヒマワリとも戦闘になるだろうし……。


「そうですよね!?」


 ぎゃー!? ここから溜め攻撃を防ぐにはどうしたらいいの!? 放電はまだ最大まで溜まってないし、でも溜めてる最中だから他のスキルは使えないし!? あ、そっか!


「まだ最大まで溜まってないですけど、今の段階で放ちます! 放電、いっけー!」


 巧妙なヒマワリに向かって、そこそこ溜まった状態の放電を飛ばしていくのですよ! うん、ちゃんと当たってHPの半分くらいは削れた! でも、麻痺まではしてくれなかった!


「この位置からでも、これは届くはずです! 『咆哮』! あ、キャンセルには成功ですけど……萎縮にはなってませんね!?」


 なんで萎縮になってくれないの……って、弱点の中に『知恵』が無いよ!? あ、弱点は『屈強』と『堅牢』と『俊敏』の3つになってる!? これ、HPは多くて、状態異常が効きにくい遠距離攻撃の敵だー!?


「わわっ!? HPを回復し始めたんですけど、このヒマワリ!?」


 ぎゃー!? 折角半分まで減らしたのに、凄い勢いでHPが回復しちゃってるんだけど!? 待って、待って、待って!? その回復速度はズルくない!?


ミナト : あらら、『水分吸収』で思いっきり回復されてるね。『萎縮』は知恵で弾かれちゃったし、地味に遠距離で向いてる構成だねー。

富岳 : 何気に周囲は近距離戦向きのヒマワリが控えてるから、下手に近付くのも危険か。

ミツルギ : ヒマワリ畑は、こういう危険があるからなー。

水無月 : このヒマワリ畑って、前にあったワサビの群生地みたいなもの?

咲夜 : おう、そうだぞ! 見えてないだけで、『聡明なヒマワリ』が仕切って集団で襲い掛かってくるやつだ!


「ちょっと待ってください!? あのワサビ集団と同じような感じなんです!? わっ!? わわっ!?」


 8割くらいまでHPを回復した上で、また花びらを飛ばし始めてきたから、回避ー! うがー! まさかこのヒマワリ畑が、あのワサビ集団みたいなものだとは思わなかった!? むぅ……『聡明なヒマワリ』まで混ざってるって厄介だよね!?


「だったら、いっそ全部仕留めた方がいいんですかねー? このまま避け続けても埒が明かないですし!」


 放電を中途半端な状態で放ったら、与えたダメージの半分以上は回復されたもん! 下手に近付いても知恵が高い個体と知恵系統での進化の個体が混ざってるなら、雷纏いも効果は発揮し切れないよね。


ヤツメウナギ : ぶっちゃけ、無理に相手にしないという手もある。この手の敵はランダム生成からは外れてる代わりに、変に追いかけてこない特徴もあるからな。

金金金 : ん? 敵は全てランダム生成って話じゃなかったか?

富岳 : それはそうなんだが……あれだ、ハチの巣と同じ系統だ。知恵系統のヒマワリが誕生したところに、ヒマワリ畑として集団が生成される感じになる。

ミナト : そうそう、そんな感じ! 他のヒマワリの個体がどういう個体で構成されるかは、完全にランダムなんだけどねー。

金金金 : あぁ、なるほど。


「あ、そういうパターンなんですか!? むぅ……離れるという手段もありなんですね」


 ヒマワリから飛んでくる花びらや種の回避は見切りで回避は余裕なんだけど……結局、何体のヒマワリがいるのかが謎! マップがまだ見れないから、索敵での確認が無理なんだもん!

 でも、このまま離れるのもなんか癪だよね……。うん、決めた! これでいこー!


「乱戦覚悟で、ヒマワリ畑の一掃をしていきましょう! 『獅子咆哮』!」


 ふふーん! しばらく動けなくはなるけど、胃袋は満タンにしてきたから多少の攻撃は受けても大丈夫なのですよ! まだマップは使えない状態だから射程は確認しにくいけど、ヒマワリ畑は見えてるから、その範囲を全部吹き飛ばすつもりで凝縮すればいいよね!


サツキ : サクラちゃん、ファイトー!

水無月 : ファイトー!

金金金 : おっ、新エリアへの進出の1戦目から乱戦へ突入か。

富岳 : まぁありな手段ではあるが……看破に反応してない個体が何体いるかだな。

ミナト : 何体いるかは固定じゃないからねー。まぁ『獅子咆哮』は敵の数で威力が変動する訳でもないし、この状況なら問題はないかな?

チャガ : なんだかんだで生命はかなり増えているから、攻撃をしてくる相手が1体だけなら耐えきれる範囲だろう。


「思いっきり花びらで斬られまくってますけど、まぁ何とか耐えれてますもんね!」


 獅子咆哮は溜めている間に動けなくなるのが欠点だけど……受けたダメージの分はすぐに胃袋のストック分から回復していってるから大丈夫! でも、1撃が地味に結構なダメージ量の気がする!?


「……これ、ちょっと堅牢も上げた方がいいですかねー? HP自体は多くなってるので大丈夫な感じではありますけど、1撃ずつが痛いです!?」


 ちょいちょい堅牢は上げてるけど、それでもステータス的には一番低いままだもん! 増えたHPで補えてはいるけど、堅牢自体を上げたら1撃ずつのダメージ量は減らせられるよね?


ミツルギ : 上げるべきかと聞かれたら、上げるべきだとしか言いようがないな!

イガイガ : 動けなくなる類の溜め攻撃を使うなら、堅牢は必須!

ミナト : んー、まぁ無くても溜めずに回避すればいいだけなんだけど……。

こんにゃく : それ、上級者で溜め攻撃の高火力を必要としない人の発言だから!

咲夜 : また出たな、ミナトさんの簡単発言!

G : 参考にしたら駄目なやつ。


「あはは、まぁこの状態じゃ回避しようもないですけどねー! それなりに進化ポイントは溜まってるはずなので、後でちょっと堅牢のステータスを解放しておきましょうか!」


 どこの分がどれだけ解放出来るかは分かんないけど、それはこの戦闘が終わってから考える! その為にも早く攻撃をしたいんだけど……溜めの終了はまだですかねー!?


「あっ!? こらー! またHPを回復し始めるんじゃなーい!」


 ぐぬぬ、このヒマワリ、また水分を吸収し始めたよ!? あー! 待って、待って、待って!? 折角放電で削った分が、もう全快になっちゃいそう!?


「むぅ、削った分が全快されました……」


金金金 : 不満そうな狐っアバター。でも、お互い様なんだよなぁ。

イガイガ : まぁサクラちゃんも、受けたダメージは回復していってるしなー。

咲夜 : 植わってる状態の植物系の種族って、水分吸収で回復するのが面倒。

ヤツメウナギ : 弱点に『生命』が出てないから、回復性能もそこそこあるって事だしな。


「確かにお互い様なんでしょうけど、なんか相手に使われると嫌なんですよ!」


 私が桜の木をやってる時にも重宝した『水分吸収』だけど、こういう風に使われるのは本当に厄介だよね! 植わっているのが問題なら、引っこ抜いてやりたくなるのですよ! まぁまだ近付けないけど……早く獅子咆哮の溜めが終わってくれませんかねー!?

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