第516話 次のエリアへ


 ふふーん、戻ってきたよ、雷への適応進化! 水への適応進化もよかったけど、私としては馴染みのあるこっちの方がやっぱり好き!


「さーて、次はどんなエリアが待ってますかねー? いざ、出発です!」


 思った以上に湖エリアので活動が多かったけど、ここでの予定分は終了! 他にも湖エリアはあるっぽいし、またどこかのタイミングで湖に行けたらいいなー! ともかく、北に向かって出発だー!


サツキ : サクラちゃん、出発!

水無月 : 出発! 次、どんなとこだろ?

金金金 : 浮かれた様子の狐っ娘アバター。未プレイ勢としては、普通に楽しみな部分だな!

G : ここの北だと……あぁ、あそこか。

神奈月 : 咲夜さん、ネタバレはするなよ!

咲夜 : 分かってるよ!?


「あはは、まぁすぐ着きますから、すぐに分かりますよねー!」


 えーと、看破と索敵に色々と反応は出てるけど……これはスルーでいいや! ここで戦ってたらキリがないし、次のエリアへ行くのを優先で! 気が早るけど、下手に疾走を使うのは無しで! 入って早々にエリアボスがいる可能性もあるんだから、要注意!


ミナト : あ、なんだかサクラちゃん、動き方が慎重になってるね?

富岳 : 確かにそうだな?


「エリアボスに襲われたくはないですからねー! 何度か襲われてますし、一方的に殺されないように気を付けていきます!」


 ふっふっふ、失敗から学習していかないとね! 何度もエリアボスに殺される私じゃないのですよ!


咲夜 : ……Lv差があるし、エリアを移動してすぐに遭遇した場合は大体死ぬよな?

G : 悪ふざけでもなんでもなく、大真面目にそれはそうだな。シンプルに格上だし、通常の個体よりも強いし……。

イガイガ : それが真実である!

真実とは何か : 台詞を取られた!?


「あはは、真実さん、ドンマイです! あー、皆さんでも普通に死ぬことがあるパターンなんですか!」


 んー、そういう事なら過剰に警戒し過ぎても仕方ないのかな? まぁ確かに次に行くエリアでの最強の個体になるんだし、切り替え早々に出てきたら死んでもおかしい状態ではないのかも?


ミナト : んー? 確かに他の敵より強くて時間はかかるけど、それでも倒せるけどなー?

富岳 : 倒すのが不可能でない事には同意はするが、容易ではないだろう。

神奈月 : くっ!? 実力者は簡単に言ってくれる!?

こんにゃく : そりゃまぁ、プレイヤースキルでどんな攻撃でも避け切れる人は1でもダメージが入れば、どれだけ格上でも倒せるもんな……。

真実とは何か : それが真実なのである!

サツキ : サクラちゃん! 無理せず、自分のペースで良いからねー!


「あはは、倒せと言われて倒せる気もしないですしねー。もし、そういう状況になったら逃げ一択です!」


 Lv差がほぼ無くなれば私でもなんとか倒せるけど、Lv差があったら勝てる気はしなーい! そういう場合は、冗談抜きで逃げに徹するのみだよね!


「さてと、もうエリア切り替えです! えいや!」


 マップの北の端まで来たから、ちょっとした木々の中をジャンプして切り替えていこー! どんなエリアかなー?


<『名も無き湖』から『名も無き平原』へとエリアが切り替わりました>

<規定条件の達成により『名も無き湖』のエリア名が変更可能になりました>


「おぉ! 一気に視界が拓けましたね! 次のエリアは平原エリアですか!」


 軽く見渡してみれば……ちょっと暗いけど、あ、ヒマワリ畑を発見! 他には背の低い草むらや背の高い草むらや小規模な森や小さな湖っぽいのも見えて、ちょっと小高い丘みたいなのもあって……あれ? なんだか、こういう光景ってどこかで見た気がする? 


「あ、ここって山麓エリアに似てる気がします!?」


 そっか、そっか! 傾斜こそないけど、色んなエリアの特徴が色々と見えるんだ! まだ夜のままだから見渡し切れてないけど、それでも雰囲気的には近い気がするよ!


ミツルギ : サクラちゃんの印象は正解だ。平原と名の付くエリアは、山麓エリアと同様に色んなエリアの特徴を内包しているエリアになるぞ!

富岳 : この手のエリア、2ヶ所目だな。

金金金 : なるほど、オフライン版の平原エリアの仕様がオンライン版の平原にも引き継がれているのか。

ミナト : そうそう、そうなるねー。山麓エリアとの一番の違いは、エリア全体での傾斜はほぼないところかな?

水無月 : ザっと見た感じ、そうだよね! あ、サクラちゃん、夜明けまであとどれくらい?


「夜明けは……あと30分くらいですね! 今日の配信の終わり頃には昼に変わりそうです! そうなれば、もっと見渡せそうですね!」


 うふふ、色々なエリアの要素が詰まったエリア、2ヶ所目だー! あ、そういうエリアって事は、あれがあるはず! 再誕の道標は設置したものの、まだ行ってないあの場所!


「ここ、ランダム生成の洞窟がありますかねー? 確か、こういう色々なエリアがごちゃ混ぜのエリアにあるって聞いた覚えがありますよ!」


 ふっふっふ、あの手の洞窟があるのなら、探さない手はないのです! 前に行った時は、すぐに行き止まりだったもんね!


ミツルギ : おう、あるぞ!

ミナト : ある場所も分かるけど……流石にそこはネタバレ案件だし、教えないからねー!


「あ、はい! そこは自分で探すので大丈夫です! ふっふっふ、新エリアに来て早々に目的が1つ出来ましたね!」


 どこに入口があるかは分からないけど、洞窟を探していこー! その為にもまずはマップの解放が最優先かな? ふっふっふ、見通しはいいし――


「わっ!? 何か飛んで……わわっ!? なんか黄色い葉っぱが飛んできまくってます!? ぎゃー!? 斬られてますよ!?」


 ぎゃー!? 何かに襲われ始めたんだけど、一体何事!? うぅ、何ヵ所か斬られたよ!? 今、どこから攻撃されたの、これ!? 見切りにも反応が無かったんだけど!?


金金金 : いきなりの奇襲!? エリアボスか!?

ミナト : 黄色い……あ、これ、あれだね! サクラちゃん、方向的に右! 距離は結構先の方!

富岳 : 見てない方向に、器用系統の攻撃を使う敵だな。エリアボスかどうかは、まだ分からんが……。


「右方向ですか! あ、飛んできてるの、葉っぱじゃないです!? 攻撃してきてるの、『巧妙なヒマワリ』ですか!? ヒマワリ畑の中に紛れてますよ!?」


 ぎゃー!? 飛ばしてきてるの、葉っぱじゃなくて花びらだー!? わわっ!? 確かにさっきチラッと周囲を見た時にも、ヒマワリは見えてた気がする! でも、夜の時に動くイメージってないんだけど!?


ミナト : えーと、エリアボスではなくて普通の個体みたいだねー。Lv31だし、ただ単に攻撃範囲に入っちゃっただけかな。

咲夜 : ヒマワリって、夜には活動が鈍らなかったっけ?

こんにゃく : 鈍るには鈍るけど、特定条件で動く事はあるんだったはず? 確か、何かに手段で光源を持っている場合……。

富岳 : それで正解だ。サクラちゃんの雷への適応進化は少しだが光ってるしな。

チャガ : 夜はしおれて地面の方を向くんだがな、ヒマワリの花は。まぁ少しの光でも割と反応してくるぞ。


「今、思いっきり私の方を向いてますよねー!? というか、そういう灯りで襲ってくるってありなんですかねー!? わっ!? わわっ!? 飛ばしてくるの、花びらから種に変わりました!?」


 ぎゃー!? 全然ヒマワリの植わってる位置は変わらないのに、次々と攻撃が飛んでくるんだけど!? いる位置が分かったから見切りへの反応で回避は出来てるけど、攻撃に移れないよ!?

 ぐぬぬ、このまま逃げ続けてても意味はないし、移動しながら溜めをして……あ、それなら!


「折角戻したとこなので、これでいきましょう! 『放電』!」


 ヒマワリ畑には変に近付かないように距離を保ちつつ、飛んでくる攻撃を避けながら溜めを開始!


ミツルギ : おっ、戻ってきた『放電』を溜めて使うか!

サツキ : やっちゃえ、サクラちゃん!

水無月 : やっちゃえー!

ヤツメウナギ : 『放電』での攻撃はいいんだが……敵のヒマワリは1体だけじゃないぞ? ヒマワリ畑だから分かりにくいが……。

真実とは何か : 真実は、よく見る事で分かる!


「……え? あー!? 本当です!?」


 ぎゃー!? よく見たら、ヒマワリ畑の中には『旺盛なヒマワリ』とか『雄健なヒマワリ』とか他の個体も混ざってるよ!? あ、でも距離があるから、攻撃してきてるのは『巧妙なヒマワリ』だけかも! これなら、ピンポイントで狙って仕留めるもの出来そうな気がする!

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