第514話 技術的な雑談
むぅ……いきなり水中から水面に出てきたカバにぶつかったー! 倒せたからいいけど……朦朧になってるから、やっぱり良くないよ!?
「なんで私は、水面に浮いてるんでしょうかねー」
まぁ朦朧になって動けないだけなんだけど!
金金金 : 朦朧となり、水面に浮くライオン。原因は前方不注意による衝突事故か?
サツキ : 急に飛び出てきたカバが悪いし、問題なーし!
いなり寿司 : まぁゲームだからそれで済むが……リアルの車だとどうなる?
咲夜 : あー、前方不注意と速度超過はありそう?
富岳 : サクラちゃんの方を車両と扱うのは確定としても、カバの方を歩行者として扱うか、車両として扱うかの問題はあるな。
G : 最近の車はAI搭載で、事故時の対象が人かどうかで問答無用に車が悪いって風潮は少なくなってきてるとはいえ……どうしても車の方が不利にはなるしなー。
ミナト : あとは、どういう道だと想定するかにもよるねー。
「あのー、なんで交通事故の想定になってるんですかねー? いやまぁそういう事故な気はしますけども!」
カバは死んじゃってるから、私が轢き殺したような形にはなるけども! どう考えてもいきなり飛び出てきたカバが悪いよね!? 車の免許、まだ取れないからその辺はよく分かんないけども!
いなり寿司 : あー、ついな?
G : まぁ歩行者でも事故に無縁じゃないからな! サクラちゃん、急な飛び出しは危ないから気を付けろよ!
咲夜 : 大真面目な話だなー。まだ自動運転は実現してないけど、あれはいつになると実現するのか……。
ミナト : 自動運転の自動車自体は、もう完成はしてるんだけどねー。単純にまだお高いのと、法整備と普通の運転する車が混在しちゃってるから、ちょっと時間はかかりそうかな。
「あ、そういえばそんな話は聞いた気がします! あれですよね、万が一事故になった時の責任が誰になるのかとかが問題になってた覚えがありますよ!」
確か何かの授業の時に、先生が話題にしてたのを聞いた覚えがある! 何の授業だったか忘れたけど!
ミナト : そうそう、法整備の方はそれ。機能面での不備として製造メーカーの責任になるのか、乗ってる所有者の責任になるのかで、ややこしい事になってるんだよねー。
ヤツメウナギ : 全てが自動運転になれば責任の所在も統一しやすいが、混在してるのがややこしい状態なんだよな。
サツキ : 私としては自動運転の車は欲しいから、早く実用段階になって欲しいんだけどねー。
咲夜 : まぁその方が事故は減りそうだけど……確か、道路側にも誘導用の設備が必要だったんじゃね?
富岳 : それは、フルダイブした状態でも安定した通信が出来る超高速のネットワーク整備が終わった段階で一緒に組み込まれてるはずだぞ。日本国内であれば、もうほぼ網羅済みだ。
咲夜 : あ、あれに組み込まれてんの!?
ミナト : うん、組み込まれてるよー! まぁあのネットワーク、ちょっと特殊なんだけどねー。
「えーと、それってフルダイブでのオンラインゲームが出来るようになったやつですよねー? なんか速いって事くらいしか分からないんですけど、何か違うんです?」
確か、フルダイブのVR機器が出た当初は今の配信みたいなオンラインでのフルダイブの使用は出来なかったんだよね! 最初はオフラインのゲームばっかり出てたはず! というか、今やってるモンエボもその時期の作品だよ!
サツキ : サクラちゃん、説明を聞いても分かる? ちなみに、私は分からなかった!
富岳 : まぁ、割と専門的な知識にはなるからな。使ってる人の大半が仕組みは分かってないだろうよ。
「そうなんです!? んー、まぁ聞くだけ聞いてみましょうかねー? あ、朦朧も治ったので、今度は速度を少し抑えめで進んでいきますね! 『放水』!」
次にまた何かが出てきたとしても、ちゃんと避けられるようにしておこうっと! 湖の半分以上は過ぎてるくらいにはなってるし、ぶつかった時の1撃じゃ倒せない可能性はあるもんね! 少なくとも、衝突した際に朦朧になるのだけは避けるのさー!
ミナト : んー、まぁサクラちゃんが聞く気があるなら、軽く概要だけでも説明してみようかな? 正直、上手く伝えきれる自信も無いんだけど……。
ミツルギ : あの辺の技術、よく分からん! 光ファイバーより速いって、光速を超えてるんだよな?
富岳 : 正確には、光ファイバーでの通信との併用なんだがな。特殊になってるのは、フルダイブでの操作情報の送受信の部分だけだ。
チャガ : その部分の通信速度は光速を超えるが、大容量のマップデータとかは光通信で予めダウンロードされているか、VR機器内部で生成されている。
「えーと? 一番速いのって、光じゃないです? 『放水』『放水』!」
うーん? 何がどう特殊なのかが分かんない! 光速以上の速さの何かがあるの!?
ミナト : 簡単に言えば、量子テレポーテーションを活用してるんだよねー。まぁこれは大容量のデータ通信まではまだ実用不可だから、VR機器でのフルダイブで読み取ってる操作の送受信だけに限定してる感じだよ。意外とその範囲に限れば、データ容量は少ないからねー。
富岳 : それを送受信する為の中継局の設置が日本全国で終わったから、フルダイブのオンライン化が解禁になった流れだな。
咲夜 : その量子テレポーテーションってのが、よく分からんのだが!
神奈月 : 同じく! テレポーテーションって付いてるくらいだし、瞬間移動でもしてんの!?
ミナト : その辺の説明が難しいんだよね……。私も専門家じゃないから、なんとなくの感覚でしか理解してないし……。
富岳 : まぁ光ファイバーだけでは間に合わないフルダイブでの操作の送受信を可能にしている、なんか凄い技術だと思っておけばいいだろう。
真実とは何か : それが真実なのである!
「あ、そんな理解でいいんです? 凄いんですね、今の通信技術! 『放水』『放水』!」
何がどう凄いのかは分かんないけど、ともかく凄い事をしてるって事が分かってればいいみたい! うん、技術の進歩って凄いんだ!
イガイガ : まぁ今のVR機器や、ARの携帯端末の仕組みも良く知らんけど、普通に使ってるもんなー。
G : わっはっは! それを言い出せば、その前身のスマホの時や、それより前の電子機器でも具体的な仕組みなんざ知らんわ!
富岳 : まぁそれなりに知識がある人でも、具体的にどう動作してるかは知らないだろうな。それこそ、開発側で原理を完全に把握して実際に作り出している人くらいなものだろ。
サツキ : いつの時代も、そんなものだよ!
神楽 : あはは、まぁ色々使ってきたけど、そんなもんだよねー。
咲夜 : そりゃそうだ!
「確かに、そういうのは知らなくても普通に使えてますもんね! 通信手段だけじゃなく、動作の仕組みを知ってるものとか皆無ですもん!」
それでもVR機器も携帯端末も、今の話題に出てた通信回線も普通に使えてるんだし、それでいいのさー! そういう原理が分からないものは、分からなくても問題なーし! 壊れたら専門の人に修理を頼むか、買い替えるかだもんね!
「『放水』! わわっ!? え、なんで急に水中に入ったんです!?」
待って、待って、待って!? ここまでいい具合に滑ってこれてたのに、いきなりなんで水中に潜っちゃった……って、あー!? 水化の効果時間が切れてる!?
ミツルギ : あ、『水化』の時間切れで、水面にいられなくなったか。
こんにゃく : どうもそうっぽいけど、まぁここまで来てれば問題ないだろ。
水無月 : もう、北側の湖の畔は見えてたもんね!
「ぷはっ! あ、本当にもうあと少しですね! ちょっと進めばもう、普通に脚も付きそうですし!」
浅い部分だったからすぐに水面に顔を出してみたら、湖の畔がしっかりと見えた! 完全に最後までは滑り切れなかったけど、それでもほぼ滑り切ったよ!
神奈月 : あのカバが出てなければ、そのまま滑り切れたんだろうなー。
G : それで滑り過ぎて、そのまま次のエリアまで突っ込んでいくのを期待してたんがが……残念だ。
咲夜 : あ、それは見たかった!?
イガイガ : こういう時こそ、咲夜さんがフラグを立てておいてくれよ!
G : そうだ、そうだ!
咲夜 : それ、無茶振り過ぎない!?
「そんなフラグはいりませんし、ここからそうはなりませんからね!」
とんでもない事を期待されてたけど、カバのおかげでそれは回避出来た! ……これ、カバのおかげって言っていいのか、凄く複雑な心境だけど! ともかく、あと少しでエリア切り替えの場所まで移動は完了だし、そこまで行ったら雷への適応進化に戻していこー!
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