第513話 湖面を滑って
雑談しながら、その辺の魚をバクバクと食べて、胃袋の回復分のストックは完了! ふぅ、色んな刺身を沢山食べた気分! まぁ満腹感はないけど!
「なんというか……普通にリアルで魚が食べたくなってきますね。こう、丸のままの魚から刺身の味がするのは変な気分です?」
生で食べてる事になるから刺身なんだろうけど、食べ方と実際の食感と味がなんか違ーう! あと、単純に刺身醤油とワサビが欲しいのです!
咲夜 : その気持ち、分かる! なんかリアルとの妙な食い違いがあって、実際にリアルで食べたくなるやつだ!
ミツルギ : 確かになー。……そう言ってたら、なんだか食いたくなってくる。
富岳 : 後で、見切り品の刺身でも残ってないか見てくるか。
真実とは何か : こうして、本日の晩飯が決まる人がいるのも真実である!
「あはは、そういう事は時々ありますよねー!」
ちょいちょい晩御飯の話題が出るけど、聞くと食べたくなる気持ちは分かる! 今日の晩御飯、刺身とは言わないから、何か魚であってほしいなー。
「あ、放水の再使用時間も過ぎましたね! それじゃ水面まで上がって――」
ミナト : あっ! サクラちゃん、ちょっと待って!
「え? ミナトさん、どうかしました?」
かなり湖の底の方まで潜ってたとこから上を向いたらストップがかかったよ? 何か私、変な事をしちゃった!?
金金金 : 動揺する狐っ娘アバター。一体何事だ?
咲夜 : サクラちゃんが何かやらかしてた?
神奈月 : そんな風には見えなかったが……。
ミナト : あ、ごめん、ごめん! 何かやらかした訳じゃないよ! ただ、ちょっと湖底の方を向き直してくれない? ちょっと自信ないんだけど……もしかすると宝石系アイテムがあったかもしれない。
「え、そうなんです!? それは見逃せないですね!? ミナトさん、どっちの方向ですか!?」
そういう話なら、大急ぎで方向転換だー! さっき向いてたのは、こっちの方向のはず! もう水化の効果時間が3分ほど過ぎてるけど、宝石系アイテムを逃してなるものですか!
ミナト : チラッと見えただけだったから、そこまで自信はないんだけど……あ、やっぱり見間違いじゃなかったね! サクラちゃん、見えてるとこの左下の辺り! もうちょっと深く潜って!
富岳 : あー、あれか。……よく見つけたな、ミナトさん。
水無月 : あ、ほんとだ! 一瞬、キラって反射して見えた!
ミツルギ : って、待てよ? 何の光が反射した?
「それは正直、どうでもいいです! 私も確認出来たので、ささっと採集してきますね!」
看破とかのセットは途中で再発動してるし、今の私はLv30! 何かいたとしても、格下ばかりだから問題なーし!
という事で、駆けて潜りながら、宝石の原石に近付くのですよ!
「わっ!? なんか妙にデカい……ヘビじゃないですね? あ、『巧妙なデンキウナギ』がいますよ!?」
湖の底に長い何かがいると思ったら、デンキウナギだった! なんか体表面に電気が走ってバチバチしてる!?
金金金 : ほほう? オフライン版にもデンキウナギはいるのか。
富岳 : 何気にレアな個体だぞ。ちなみにプレイは不可な種族の1つだな。
「あ、プレイ出来ないやつなんです!? このウナギ、放電を使ってきそうですね?」
私の専売特許を使うウナギとか、どうなってるんですかねー!? まぁライオンが電気を使う方がおかしい気がするけど! デンキウナギって、リアルに存在してたはずだもん。
「うーん、Lv24ですか。ちょっと戦ってみたい気もしますけど、水化の効果時間の都合もあるのでスルーしていきます! とにかく、宝石系アイテムの採集ですね!」
こっちを見てきてるデンキウナギだけど、私の方が格上だから襲ってくる気配はないもんね! ササっと宝石の原石に触れて……。
「あれ? またガーネットですね? まぁ種類はなんでもいいですか!」
ふっふっふ! これで1個、宝石系アイテムの予備が手に入ったのさー! 1個はこの後、湖を渡り終えたら使う予定なんだし、ここで手に入ったのはラッキーだよね!
こんにゃく : 探してない時だと、こうやってあっさりと見つかるもんだなー。
咲夜 : 物欲センサー、恐るべし!?
ミナト : あはは、その辺は本当にねー!
「本当に、物欲センサーは働かなくていいんですけどねー? まぁ今は素直に喜びつつ、水面へ急ぎましょう!」
急げ、急げ、急げー! 水化の残り時間、半分くらいになってきてるもん! 滑っていくには必須だし、放水の再使用時間が過ぎるのが思った以上にかかっちゃった!
サツキ : サクラちゃん、大急ぎ!
水無月 : ここまで大急ぎした方がいい状態なのかな?
富岳 : あの放水を使って加速して、湖面を滑っていくなら……まぁ5分もかからないはずだ。でも、余裕があるとも言えんか。
ミナト : 結構な速度にはなってたし、湖面を直線的に進むならそんなに広くもないからねー。
咲夜 : 何か変な事が起こる可能性はあるし、少しでも余裕を持った方がいいのは間違いない!
いなり寿司 : おい、変なフラグを立てるのは止めろ!?
イガイガ : 何かが起きそうな予感……。
「咲夜さん、不吉な事を言うのはやめてもらっていいですかねー!?」
因果関係は不明だけど、咲夜さんが言った事って実際に起こりやすいんだから!? うぅ……なんか急激に不安になってきた!
金金金 : 不安げな様子になった狐っ娘アバター。まぁ、今の発言は不安にもなるか。
神奈月 : 今までの実績を考えたらなー。
咲夜 : 今の、俺が悪いのか!?
G : そりゃもちろん!
真実とは何か : 何か起こるかどうかの真実は不明だが、不安にさせたのは間違いなく真実である!
サツキ : 不用意なコメントでサクラちゃんを不安にさせないでー!
咲夜 : なんか、俺がコメントする権利が侵害されていってる気がするんだけど!?
ヤツメウナギ : フラグになりそうな事のコメントを避ければいいだけでは?
G : まったく、学習能力というものがないのか?
咲夜 : ちょ!? そこまでボロクソに言われる理由ってあった!?
「あはは、まぁそういう時もありますよ!」
私だって、不本意な事を色々言われてた事はあるもんね! 最近は全く言われなくなったけど『ドジっ子』とか不名誉な称号を贈られてたし、その中に咲夜さんもいたはずだから、フォローはしないのですよ!
「さーて、水面に到着したので、一気に滑っていきますよー! 『放水』!」
水面に着地して、体勢が安定するようにピタッと水面にくっつくように伏せて、そこから背後から水を放っていくのです! うん、いい感じの滑り出し!
「どんどんいきます! 『放水』『放水』『放水』!」
私が滑っていく進行方向の先で放水の準備をして、通り過ぎた瞬間に加速するように水を放っていくのさー! いやっほー! どんどん加速し始めたのさー!
富岳 : 何気に、加速に使う『放水』の位置指定が的確なんだよな。
ミツルギ : 少しでもズレれば、こうも綺麗に加速はしていかないんだけど……距離感覚は相当正確なサクラちゃん。
いなり寿司 : 移動だけに専念出来てるのも大きそうな気がするな?
サツキ : サクラちゃんは1つの事への集中力はすごいもんね! どんどん、いっけー!
水無月 : いっけー!
「はい! もっと加速していきますよー! 『放水』『放水』『放水』!」
ふふーん、いい感じにどんどん加速出来てるし、姿勢も崩れてないし、これなら変な事が起こる余地はないよね! このまま、一気に湖の北側まで……あれ? これ、どうやって減速すればいいんだろ? あ、正面から放水を当てればいけるかな? うん、それで――
ミナト : っ!? サクラちゃん、前!
「え? あー!? なんでここでカバが出てくるんです!? 『放水』『放水』!」
ぎゃー!? 大慌てで減速しようとしたけど、速度が出過ぎてて間に合わない!? 正面衝突になっちゃ――
「ぐふっ!?」
<成熟体を撃破しました>
<進化ポイントを2獲得しました>
<サクラ【巧妙なライオン【水】】が成熟体:Lv31に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを4獲得しました>
思いっきり頭から突っ込んで……朦朧になっちゃった!? なんか倒せたみたいだけど、身動きができなくてプカーっと浮かんでる状態でどう反応すればいいの!?
いなり寿司 : ……本当に変な事が起きたな。
G : いや、本当に起きるとかどうなってんの?
神奈月 : 恐るべし、咲夜さん!?
咲夜 : ……えぇ、こんな事ってある!?
「なんでこんな事になってるんですかねー!?」
障害物なんか無いと思ってたのに、カバが水面に出てきて正面衝突になるなんて欠片も思ってなかったよ! 勢いがあり過ぎて、それで1撃で倒せたのも、もっと想像してなかったよ! ……早く、朦朧は治ってくれませんかねー?
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