第454話 湖の中へ


 ふっふっふ、月夜の下での湖だー! リアルじゃ夜で水場とか危ないけど、ゲームの中なら問題なーし!


「それじゃ湖の中に突入です! えいや!」


 ちょっと助走をつけて、大ジャーンプ! バシャっと水飛沫を上げて……。


サツキ : サクラちゃん!? そこ、浅瀬!


「……え? あ、そういえばそうでした!? わわっ!?」


 バシャっと水飛沫は上がったけど、普通に脚が浸かる程度の場所に着地! 飛び込む感じで動いたけど、普通に考えたらいきなり深くはなってないよ!? うー、川に飛び込むつもりでやっちゃった……。


イガイガ : ……なんで今ジャンプした?

ミツルギ : 深さがある場所へ飛び込むような雰囲気だったけど……そういう場所と間違えたか?

咲夜 : あー、暗いから分かりにくい?

いなり寿司 : いやいや、夜目でも見えている範囲だろ。

金金金 : バツが悪そうな狐っ娘アバター。特に何も考えずに、深い場所に飛び込むつもりでいたな?

ミナト : サクラちゃん、その辺は注意して見ていこうね?


「……あはは、了解です! それじゃ改めて、湖の中へ進んでいきましょう!」


 過ぎた事は気にせず、サクサクと先へ進んでいこー! 私のライオンは『遊泳』のスキルを持っているし、湖の中でも多少は戦えるもんね!

 水音を立てながら、浅瀬を歩いて進むのですよ! どの辺から深くなってくるんだろ? 少しずつ深くなってはいるみたいだけど、まだまだ全然余裕!


「そういえば、索敵に反応が少ないですねー? これ、なんでです?」


ミツルギ : 単純に浅瀬だからだなー。このエリアで出てくるメインの敵は、湖の中だ。まぁ浅瀬に敵がいない訳でもないけど、少なくはある。

咲夜 : ライオンには相当不向きなエリアだけど、そのまま泳いでいく?

富岳 : 今の時点で迷いのない進みっぷりだし、止まる気は無さそうだが……。

ミナト : スクショを撮るために無理はしなくていいからねー!

いなり寿司 : そこでミナトさんがその発言は意外だな?

こんにゃく : 嬉々として、撮りに行くのを推奨するのかと!?

ミナト : いやいや、無理強いはしないからね!? そもそもライオンで撮るのは不向きなのは分かってるから、変な無茶振りはしないよ?


「え、ライオンだと撮りにくいとかあるんです?」


 私としてもいつもは無茶っぽい内容を平然と言うミナトさんが止めてきたのはびっくり! でも、ミナトさんが難しいって判断するなら、それは本当に難しそう!


ミナト : んー、視点を低くするのは必須なんだけど、そこはまぁ泳いじゃえば何とかなるんだよねー。でも、波を立てたらいけないのが、どうしてもライオンじゃ難しくてさー。水面に留まるだけでも、泳いでなきゃだから……大型種族は向いてなくてね。

富岳 : ほう? スクショの撮影技術は分からんが、そういう難しさもあるのか。

G : スクショの撮影技術というか、普通にリアルでの写真の撮影技術を使ってるな! 向いているのは元々水中の種族が水面に顔を出すか、小型種族で水面に浮くか、飛行種族で水面ギリギリを滑空するかってとこか!

サツキ : おー、そうなんだ!

水無月 : 色々とあるもんなんだね!


「あ、リアルでの撮影技術なんですか、これ! まぁ確かに写真で見る構図なので、そりゃそうなりますよねー! んー、波を立てずにいるのって重要なんです?」


 普通にライオンの巨体で泳いでたら、どうやっても波は立ちそうだけど……今こうやって歩いて進んでいる時にも波紋は立ってるもん! でも、これがどう影響して……あ、水面に映った月の形が乱れてる!? あ、そういう事なの!?


ミナト : 今、水面に映った月の形が崩れてるでしょ? 波はあると空の様子が上手く映りこまないから、駄目なんだよねー。

イガイガ : それ、浅瀬で伏せてやるのは駄目なのか?

ミナト : んー、種族によってはそれでも良いんだけどね。ライオンだとどうしても見上げた時に視点が上に行き過ぎちゃってさー。顔だけ出る深さで、風がなくて波が立たずに、それでいて星空がちゃんと出ている時って制限が付くよ?


「それ、相当な運任せじゃないです!? あ、だから難しいんですか!」


 今は風はないけど、天候は変わるもんね。状況次第では風が吹いて波が立って、色々と台無しになっちゃうっぽい?


ミナト : うん、そういう感じ! ちなみに、視点を低くしないと、水面に映った空ばっか撮る事になるからだよー! 水面と空の両方を見えるようにするのが大事!


「……気軽に聞きましたけど、結構大変なんですね!?」


 うーん、簡単に撮れるものかと思ってたけど、全然そうでもなかった! ミナトさんからしてもあんまりライオンでの撮影は向いてなさそうだし、もし運よく撮れる機会に恵まれたら撮るくらいのつもりでいいのかも。


ヤツメウナギ : なんというか、サファリ系プレイヤーのスクショ撮影の全力に触れた気がする。

咲夜 : 確かに! スクショを撮る時に、視点の高さとか気にした事なかったわ!

神奈月 : というか、リアルでの写真の撮影技術を使ってるのか。

ミナト : リアルでは無茶な構図とかも撮れるから、ゲーム特有な部分もあるんだよ? モンエボでは大自然の撮影がメインだけど、色んな時代を舞台にしたゲームは色々とあるから、ゲームよりも撮影メインのプレイヤー層もいるからね!

ミツルギ : あー、実在する場所を舞台にしたゲームって色々あるもんな。

いなり寿司 : フルダイブ型のゲームが登場してから、何気に増えたプレイヤー層か。スクショを撮るのが第1目的で、その場に行く為にゲームを攻略してる層だよな。


「あー、そういう人達がいるのは聞いた事がありますね! なるほど、そういう人達がモンエボではサファリ系プレイヤーって言われてるんですか!」


 今まで全然意識してなかったけど、他のゲームでもそういう人達はいるんだねー! リアルでカメラが趣味な人とかには、お手軽に色んな場所のスクショが撮れて良いのかも?


ミナト : あはは、まぁ現実の写真と、ゲームを含めて仮想現実のスクショと、どっちが良いかで揉める事もあったりするけどね。現実派と仮想派みたいな感じになるんだけど、私としてはどっちもいいと思うんだけどなー。

真実とは何か : これまでにない新しい物が出てくると、争いになるのが世の常である!

富岳 : どっちも趣味なんだから、自分の好きにやればいいと思うんだがな?

咲夜 : そういやサファリ系プレイヤーの、サファリってどういう意味合い? サファリパークから来てる?

ミツルギ : どこの誰が言い出したかは知らないけど、まぁ元は多分そうなはず?

いなり寿司 : 『サファリ』自体に狩猟旅行って意味があるから、まぁ敵を倒しながら進むモンエボには向いているか。スクショを撮るプレイヤーじゃなく、景色を楽しむのを目的にしたプレイヤー層の事だから、旅行みたいなもんだしな。

イガイガ : あ、そんな意味があったのか。


「サファリって狩猟旅行なんですか!? ……確かに狩猟はしてますし、旅行と言えば旅行ですもんね!」


 凄い今更だけど、サファリ系プレイヤーの由来ってそういうとこから来てるんだねー! 私は普通にゲームをクリアして楽しんでたけど、楽しみ方は人それぞれって事!


「わっ!?」


 え、待って!? 普通に歩いてたら、急に深くなって脚が着かなくなったんだけど!? わわっ!? 沈みかけてるから、慌てて泳いで水面へ! こういう時は、慌てない事の方が大事!


サツキ : サクラちゃん、大丈夫?

水無月 : 急に深くなってた!?


「あ、はい! 急に深くなると、びっくりしますね!?」


 ちょっと雑談に気を取られ過ぎてたかも? でも、何とか水面まで泳いで顔は出せた! うーん、確かにこの状態だと波がない状態って難しいね!


ミツルギ : 入った場所にもよるから、その辺の深さの変わってくる場所って分かりにくいんだよな。

イガイガ : 少しズレれば、急に深くはならなかったりなー。

富岳 : 水面側には目印も少ないから、余計に分かりにくいのもある。

G : ぶっちゃけ、よくある事だな!

咲夜 : 種族や進化階位によっても変わってくる部分でもあるぞ!


「皆さんから見ても、そういう反応になるんですね!」


 そっか、そっか。出来るだけ焦らないように水面まで泳いで戻ってきたけど、

今のは私の不注意というよりは、普通にある出来事だったみたい! なんだか今の反応で、少し安心!


「……この湖、どのくらいの深さがあるんですかねー?」


 この辺からライオンでは脚は着かないみたいだけど、潜ろうと思えば潜れるかな? ちょっとやってみよー! それが出来るかどうかで、この湖エリアの進み方も変わってくるよね!

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