第453話 夜の湖へ


 うふふ、森林深部の名前は『緑茶の深林』に変更完了! それじゃ早速、この湖エリアの湖を見に行くのですよ! ふふーん、疾走は使わないけど駆け出していこー! 湖、楽しみ!


「……あれ? そういえば、湖って河川域の北側って話じゃなかったです?」


 今思い出したけど、そんな話があったような気がする! ここ、カラメル河川域から見たら、南東方面だよね? それもちょっと離れてるから、どう考えても北じゃないよ!?


咲夜 : そこの答えは単純! 湖は1ヶ所とは限らない!

ミツルギ : まぁ単純に複数あるってだけだな。

真実とは何か : それこそ真実なのである!

ミナト : 1ヶ所しかないエリアってそんなにないからねー。ほら、始まりの森林が複数あったじゃない? あんな感じだよ。


「あ、確かにライオンと桜の木では違う場所に行ってますもんね。始まりの森林も渓流エリアも別々の場所ですし、そういう感じで湖も存在してるんですか!」


 そっか、そっか。もう既に同じようなエリアが複数あるのは見つけてるんだし、前に話題に出た湖とは全く別物なんだね!

 んー、河川域を下っていくと海に出るって話だった気もするし、意外と海に近い湖なのかも?


「まぁ事情は分かったので、湖とご対面といきましょうか!」


 ふふーん、疑問を聞いている間にこのエリアの森部分は抜けそうだし、水音も聞こえてきた! 視界も開けてきたし、もう森を抜けるね!


「湖、到着です! おぉ!?」


 暗くて湖の全体は見渡せないけど、結構な広さがあるよ、この湖! うーん、全体を見渡すには、昼間の明るい時の方が良かった気がするねー? でも、今は今だからこその景色が広がってるよ!


「水面に映る月、良いですね! しかも満月です!」


 ふっふっふ、これは夜ならではの光景だし、スクショの撮影チャンス! スクショを撮るぞー! ……うん、撮れた! これは今日のサムネイルの候補だね!


水無月 : おー! 絶景だー!

ミナト : 良い感じに水面に月が映りこんでるねー! サクラちゃん、ナイススクショ!

金金金 : 夜ならではの光景だよな。そういや満月だけど、オフライン版って月の欠け方は変わってくる?

ミナト : オフライン版は、その辺には法則性がなくてランダムなんだよねー。

ミツルギ : 月の満ち欠けの状態は地味に運次第にはなるんだよな。

富岳 : まぁ特にゲーム性に影響する部分ではないから、スクショ狙いのサファリ系プレイヤーでなければそう影響はない。

いなり寿司 : こんばんはっと。あー、月の満ち欠けの話か。

ミナト : 満月が映りこむ湖を撮りたくて、何度も時間を飛ばしたって事はあったねー!


「月の満ち欠けってランダムなんですか!? それだと本当に狙ってスクショを撮ろうとしたら大変そうですね!」


 うーん、まさかのランダム要素! でも、一定周期で満ち欠けが切り替わる場合だと、どのくらい待たなきゃいけないかも分かんないもんね。……時間を飛ばし過ぎるのも危険だとは思うけど、そこはミナトさんだからこそどうにかなってるのかも?


富岳 : あー、一応補足はしておくぞ。満ち欠けの変化を狙って時間を飛ばすのは、いつでもやっていい訳じゃないからな。育成途中だと、やったらダメな手段だ。

咲夜 : 周囲のLvが上がり過ぎて死ぬからな!

ミナト : あ、その説明は忘れてた! 天気や月の変化をランダムで引き当てるのを狙うのは、その種族のクリア後ね! 最終進化に至った後の話! そこまで行けば、進化階位の差は発生しないから!

イガイガ : 流石のミナトさんでも、進化階位の差までは覆せないか。

こんにゃく : 根本的に進化階位が格上だと、まともにダメージが通らないからなー。


「あ、いつでも出来るって訳じゃないんですね。まぁ時間を飛ばし過ぎると詰むって話ですもんね!」


 ミナトさんだからどうにかなるって話じゃなくて、最終進化まで行けばそれ以上は進化階位が上がらないから大丈夫って話だった! でも、最終進化の後でもLvは上がりそうな気がするけど、その辺ってどうなってるんだろ? んー、まぁいいや! それはその時になってからの楽しみに取っておこう!

 というか、月の満ち欠けだけじゃなく、天気も狙ってやる事もあるんだね? あ、そっか。雨の中の光景とか、雷雲とか、スクショで撮れる光景って色々あるからかな? そういうのにこだわる人は時間を飛ばして厳選してそう!


ミナト : 進化階位が1段階違うくらいなら別に倒せない訳じゃないんだけど、どうしても時間がかかっちゃうからねー。流石に2段階も違えば無理だけど……。

咲夜 : サラッと出る、1段階上なら倒せる発言!?

富岳 : まぁダメージが0でさえなければ、プレイヤー側が死なない限りは理屈の上では倒せるからな。……2段階も違えば、ダメージが0になるのか? 流石に試した事がないんだが……。

神奈月 : そもそも2段階の進化階位の差が出来る状況になった事がないわ!

ミナト : 1度だけ盛大に時間を飛ばしまくってやった事はあるんだけど、富岳さんの言ってる通りダメージ0みたいで全然敵の生命が減らなくてねー。流石に攻撃を避けるのもしんど過ぎたから、そこで諦めちゃった。

ヤツメウナギ : やってる事がとんでもないな!?

G : それ、難易度ヘルを超えてるんじゃね?

ミナト : あはは、それは間違いないね! あれは勝てるようには出来てないよ!


「無茶な事をやってますね、ミナトさん!?」


 まだヘルが実際にどんなものかは体感してないから詳しくは知らないけども、それでもとんでもなく無茶苦茶な事をサラッと言ってるのは分かるよ! しかも、しんど過ぎただけで、避けれないとは言ってないのが無茶だよね!?


ミナト : うん、正直あれは時間の無駄だったねー。まぁ脱線はこれくらいにして……サクラちゃん、空の様子はどんなもの? 場合によっては、夜目を切れば満天の星空が湖面に映るっていう場合もあるんだけど……。


「おぉ! そういう事もあるんですか!」


 それは凄い良い景色な気がするし、上を見上げちゃえ! 高原エリア……えっと、名前は何にしたんだっけ? あ、思い出した! 『天象高原』だった! あそこで見た満天の星空が湖に映るような状況だと、凄い良いよね!


「えーと……あ、少し曇り空で、月以外の星はほぼ見えないです……」


 むぅ……期待したけど、残念な結果に終わっちゃた。まぁそれでも満月が映っているだけでも、かなり良い感じのスクショだし、問題なーし!


金金金 : 少し残念そうな狐っ娘アバター。まぁ今のを聞いたら、期待する気持ちは分かる。

ミナト : あらら、なんか期待させ過ぎちゃったかも……。あ、でもサクラちゃん! この程度の曇りなら、夜の間に晴れる事もあるから、まだ期待は出来るよ!

サツキ : 折角なら、その景色は見たいよね!

水無月 : それは見たい!


「あ、まだチャンスが無くなった訳じゃないんですね! それじゃ今日の配信中に、その景色が見られる事を期待していきましょうか!」


 まだ配信を始めたばっかりだし、天候の変化があるのは分かってるもんね! 運が良ければ、その景色を今日のサムネイルにしたいところ!

 んー、どうせなら空と水面を同時に映したいけど……ちょっとそれは難しそうかな? ああいうのって、どうやって撮ればいいんだろ? あ、そういうのが得意な人がいるんだし、聞けばいいんだ!


「ミナトさん、ちょっと質問です! 湖に映る空と、空そのものを同時に撮るのはどうやればいいんですかねー?」


 私の知識だけじゃ無理そうだから、素直に聞いてみる! そういうのにこだわってるミナトさんなら、多分やり方は分かるはず!


ミツルギ : おっ、サクラちゃんが妙にスクショを撮る気満々だぞ。

いなり寿司 : あー、結構見かける構図だけど……どうやるんだ?

ミナト : えーと……あれはリフレクション撮影って言うんだけど、どう説明したもんかな? とりあえず視界に両方が映る状況から作らないと……。

水無月 : なんだかミナトさんも本格的だー!?


「あ、確かに両方が見えないと意味ないですもんね! 夜目があっても月明りだけでは暗くて、湖の対岸が見えてないですし!」


 これ、夕焼けとか朝焼けだったら今の状況からでも撮れてそうな気はする! 夜で月しか明かりが無いから見通せないもんね! 地平線を見る感じになれば出来るのかな?

 うーん、もっと後ろに下がれば空も湖も同時に見える? 今の状況、湖と空の両方は同時に見えないもん!


ミナト : まぁそれもない訳じゃないんだけど、根本的にはあれは視点の高さの問題だねー。出来るだけ視点は低くして水面に近付く必要があるから、ここなら湖に入っちゃった方がいいかも? でも、出来るだけ波は立てないように!


「おぉ、そういう感じなんですね!」


 遠くから見渡さないと駄目なのかと思ったけど、そうでもなさそう? んー、視点を低くする必要があるんだね? あ、そうしたら水面と空が同時に見えるのかな? 湖を視界に入れつつ、見上げる感じになるのかも?

 まぁどっちにしても湖の中に入るつもりだし、その辺を試してみながら泳いで進んでいこー! ……波を立てるなっていうのが一番難しい気もするけど!

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