第442話 上がった移動速度


 ふふーん、今日は色々とスキルツリーを解放したけど、更に追加で解放! これで『移動速度強化』が使えるようになったから、多少は移動が速くなるはず!


「それじゃ移動再開です! 『疾走』!」


 ふっふっふ、威嚇を使っているから敵は近寄っては来ないし、残る距離はもうひたすらに走っていこー! それで北の端まで辿り着いたら、多分時間的に今日の配信は終わり!


「……あれ? あんまり速くなった気がしませんよ?」


 少し気持ち速くなったような気はするけど、それでもほんの少し? あれー? なんかこれは期待外れなんだけど!?


金金金 : 不満げな表情の狐っ娘アバター。相変わらず、感情が表情に出まくるなー。

水無月 : え、『疾走』はそんなに速くならないの?

ミツルギ : いきなり『疾走』で試すとは思わなかったけど、効果は出るぞ。ただ、ちょっと今は足場が悪い。

富岳 : 移動速度が上がった分、慣れるまでは少し色々とタイミングが狂うからな。今のサクラちゃんは、その感覚のズレが出まくって、折角の効果が上手く出てない感じか。

イガイガ : あー、そういやそうか。

神奈月 : そういやそういう部分もあったな!


「わわっ! 踏み外しかけましたし、危ないですね!? うーん、何がズレてるんです?」


 走り方は今まで通りだし、どの木の上に着地するかを意識しながら走ってるけど……今踏み外しかけたのは、少し通り過ぎかけたからだよね? そこにちょっとズレがある感じなのかな?


ミナト : えーと、『移動速度強化』は脚を動かく回数を増やして速くなってるんじゃなくて、歩幅が広くなる事で速くなってるからねー! 『疾走』を使ってる最中だと特にその変化幅は大きくなるから、並んで木が倒れてる場所では1本先の木を着地場所に選ぶくらいでいいよー! 今の状態だと、折角広くなった歩幅なのに狭い歩幅で動こうとしてる感じになってるからね。

水無月 : おぉ、そういう仕組みなんだ!

金金金 : なるほど、それなら確かにズレが出る訳だ。


「えっと、これって歩幅が変わってるんです!? 1本先に着地するのを意識して……あ、速くなりました!? わわっ! これ、速いですね!」


 わー! さっきまでだと届かないと思ってた場所に、あっさりと届いたよ! 言われた通りに意識を変えてみたら、どんどん速く動けてる!


神楽 : おぉ! 明確に速度が上がった!

ミツルギ : これが本来の性能だからなー。普通に平坦な場所を走っていたら気にもならないんだが、いきなり特殊な地形で試すから……。

チャガ : 急な歩幅の変更での感覚のズレが原因だから、普通の地形ならそのズレに慣れる事を意識する事も少ないんだが……まぁ、今回は場所が悪かったな。

富岳 : 普通の場所で使ってたら、感覚的にどの距離を通れるかってのは分かってくるんだがな。その過程を経ずにいきなり倒れた木々の上だったから、さっきみたいな事態になった。


「なるほど、そういう事なんですね! そういえば、成熟体に進化した時も歩幅は変わってましたもんねー」


 意識しないうちに成熟体で大きくなったライオンに慣れてる気もするけど、そういう慣らしが必要だったんだ! うん、今回は通る場所が悪かっただけっぽい!


「でも、分かってしまえば何とかなりますね! いぇーい! 速くなって、移動が快適です!」


 これまでの疾走も悪くはなかったけど、シンプルに走ってる最中に木を1本分だけ飛ばせるのは、視覚的に速くなってる感が分かりやすいもん! ふっふっふ、私1人だけでやってたら転びまくってそうだったけど、皆さんに説明をしてもらえるのはありがたいのですよ!


「さーて、このままの勢いで薙ぎ倒した木々の部分を駆け抜けていきましょう! まぁ北の端までは届いてないですけど、威嚇の効果中なら問題なしです」


 ふふーん、夕陽を背に……方向的に後ろじゃなかった!? うーん、まぁいいや!


「あ、今日のうちに次のエリアには……まだ行かない方がいいですかねー?」


 多分それくらいの時間はあるとは思うけど、そこは明日の配信開始の時までお預けにしておいた方がいいのかも? うーん、悩ましいね!


サツキ : そこはサクラちゃんにお任せで!

ミツルギ : サクラちゃんが行きたければ、行くのもありだぞ?

咲夜 : これは、再びのサイコロタイムが来るか!?

こんにゃく : またか!? 今日のサイコロタイム、地味に既に回数が多いな!?


「あはは、流石にサイコロで決める程でもない気がします? うーん、まぁそこはやっぱり明日の配信開始の時にやりましょうか!」


 何気なく聞いたけど、聞いてすぐ後にほぼ結論は出ちゃってたしねー。やっぱり配信を始める時に新エリア入りをした方が、気分一新って感じがするもん!


イガイガ : そういや、最近は実況外のプレイでライオンの育成は少ないな?

G : あー、確かに。やるとしても、移動が間に合ってない分の埋め合わせ程度?


「……そう言われると、確かにそうですね?」


 実況外のプレイ、最近はほぼ桜の木の育成がメインになってる気がする! うーん、たまにはライオンでがっつりと進化ポイント稼ぎをするのもありなのかも? 流石に新しいエリアに進むのは……配信でやった方がいいよね? あ、アイテム探しとかをするのもいいかも!


ヤツメウナギ : まぁそれが別に悪い訳ではないし、木の育成もあれはあれで楽しみではある。

サツキ : サクラちゃんの桜の木の育成、あれは気になるよねー!

神奈月 : まぁライオンとはまた別の、おかしな方向に進んでるからなー。

ミナト : あはは、実況外のプレイは視聴者不在だから……びっくりするような状況になってたりするもんね。


「え、そんなに驚くような内容なんです? 私としては、普通に育ててるつもりなんですけど……?」


 変だとすれば、根で移動するのをしてないくらい? でも、私的には根で歩くのはなんか嫌だもん! 流石に敵で出てくるのは慣れてきたけど、それをやる気はしないのですよ!


咲夜 : わざわざチュートリアルで『根の操作』を解放出来る進化ポイントが用意されているのに、それをスルーしてる時点でなぁ……。

富岳 : 何の為のチュートリアルなのか……。まぁ別に必須ではなんだが。


「私は意地でも『根の操作』は使いませんよ!? ……まぁ根で移動しなくても、大概おかしな木にはなってる気がしますけども!」


 本体は移動してないのに、根を広げて、その根から分体を作って攻撃って十分変だよね! まぁモンエボでそこを気にしたらいけないのは、もうよく分かってるけど!


G : まぁその辺も含めて、サクラちゃんの自由にやれば問題ないぞ。俺らはそれを好き勝手に見るだけだ。

いなり寿司 : そういう事だな。何かとアドバイスをする人も結構いるし、必要な事があれば聞いてくれればいい。

イガイガ : 旧作だからクリア済みの人が多いという利点はあるしな!

こんにゃく : 逆に、サクラちゃんのクリア方法が確立してない完全新作の実況を見てみたくもあるが……。まぁそれはモンエボをクリアしたらの話か。


「あー、それは区切りが付いたらやってみたい気はしますねー! でも、まだまだ当分先の話になりそうです?」


 まだモンエボの1種族目もクリアしてないのに、他のゲームに移る気はないのですよ! なんだかんだで、モンエボは気に入ってるもんねー!


サツキ : サクラちゃんの新作ゲームの配信……! 見てみたいかも!

ミナト : でも、新作で配信に対応している作品ってあんまりないよ? 体験版辺りなら、逆に多いけど。

ミツルギ : なるほど、新作ゲームの体験版の配信プレイか。

富岳 : それは少し興味あるな?

チャガ : 確かに、一味変わったものにはなりそうだな?

G : 気にはなるけど、問題はサクラちゃんの時間の都合だよな……。


「あー、体験版なら新作でもいけるんですか! でも、流石にやる時間が減っちゃいますから、何とも言い難いですね……」


 興味がないかと言われたらそうでもないけど、フルダイブの制限時間もあるし、実況外のプレイの時間も無くなる! あ、でも夏休みになってからなら出来るかも?


「その辺はちょっと検討ですかねー? 夏休みに入れば少し時間は出来るかもしれないですけど……夏休みは、色々作りたいですし!」


 配信用の和室の改造をやっていきたいから、そっちでフルダイブの時間を使う必要もあるもんね。とはいえ、毎日ずーっと作る訳じゃないんだし、やろうと思えば出来なくもない気はする?

 んー、今週末には夏休みになるんだし、姉さんのマンションに遊びに行った時に相談してみようかな? まぁそっちもまだ日程は決まってないけど!


「あ、そうしてる間に薙ぎ倒した木々の端まで辿り着きましたね! さーて、残りは普通に森林深部の森の中を進んでいきましょう!」


 なんだかモンエボとは全く関係ない話になっちゃったけど、この辺はどうなるかは全く未定! まぁ今は体験版の配信の件は置いておくけど、地味に期待されてるのならやってみたい気持ちはあるよね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る