第432話 移動の前に
いぇーい! 獅哮衝波で森林深部の木々を薙ぎ倒して、一直線に進めるルートが完成だー!
「さーて、それじゃ出来た道を通って進んでいきましょう! あ、でも色々と効果時間切れが近いですね?」
うーん、地味に『索敵』は完全に切れちゃってるし、『弱点分析』はもう切れる間近! 少し余裕があるのは『見切り』と『看破』だけど、それでもそんなに長くはないよねー。
ミツルギ : まぁ『獅哮衝波』を最大まで溜めてたんだし、効果時間切れになるスキルが出てくるのは仕方ない。
イガイガ : 溜めが長いしなー。
咲夜 : 少し待ってから、全部使えるようになってから出発か?
「……そうですね。その方が良さそうですし、そうしましょうか!」
うん、それで決定! という事で、少しの間は進むのはお預けだねー。
「さーて、それじゃ待ってる間に近くに採集出来るものでもないか、探してみましょうか!」
ふふーん、ただ待つのじゃ時間がもったいないから、こういう時こそ有効活用するのですよ! 色々と吹っ飛ばしちゃってるけど、別に全方位じゃないから無事なのもあるはず!
咲夜 : おし、採集物の捜索を開始! ミナトさんを出し抜くぞ!
ミツルギ : よしきた!
イガイガ : 今回こそ、勝つ!
富岳 : ……やるだけ無駄な気もするけどな。
ミナト : んー、見つけるのならもう見つけてたんだけど……『獅哮衝波』で吹き飛んだ木々の根元だったから、無事か微妙かも?
こんにゃく : サラッと出てくる、既に見つけていた発言。え、そんなのあった?
G : 自信はないが、少し先の方に僅かにキノコが見えてたはず!
咲夜 : あったのかよ!
ミナト : んー、まぁそれもなんだけど、自然薯に繋がる蔓もあったんだよね。でも、流石にそれを探すのは厳しいかも?
「え、自然薯って昨日話題に出てたモンエボ屈指のレアアイテムってやつですよね!? それがこの近くにあったんです!?」
わわっ! 凄い情報が出てきたけど……良くない情報もある気がするね? 一応周囲は見渡してみるけど、ミナトさんが厳しいって言ってる時点で私に見つけられる気はしないよ!
ミナト : それっぽいのはあったんだけどねー。あれは蔓を伝って探らないと本体を見つけにくいから、目印が吹き飛んじゃった後じゃ……んー、見当たらないかなー。
富岳 : あー、確かにあれは掘り出すのも面倒だが、それ以前に探すの自体が結構面倒だしな……。蔓を見つけて辿った先は、結構離れているという事もある。
こんにゃく : 目印が吹っ飛んだなら……流石のミナトさんでも厳しいか。
ミナト : 無事な蔓の部分を見つけられたら辿れるけど、探すならそこからになるんだよねー。ある先が、吹っ飛ばした方向って可能性もあるから……あんまり探すのはおススメじゃないかな?
「なんか思いっきり脱線しそうでもありますもんねー。自然薯には中々縁がないみたいですし、今回は諦めましょう!」
掘り出すのにどれくらいかかるか分かんないし、色々なスキルの効果時間と再使用時間を待つどころの話じゃなくなりそうだもん! 自然薯自体は気になるけど、そこまで脱線はしてられないですよ!
でも、待つ必要はあるから他のものを探しながら雑談でもしていこー! ふふーん、という事でしばらく周囲の散策だー!
咲夜 : そういや、今回は討ち漏らしは出なかったんだな?
水無月 : あ、確かに!
サツキ : 近付いてくる敵の気配なし!
「そういえばそうですね? 途中で堅牢系統の敵は巻き込まなかったっぽいです?」
まぁ途中でというか、目の前には堅牢系統のクマはいたけども! 少なくともマップで見える範囲で、獅哮衝波の射程範囲だった場所に交戦状態の敵の反応はなし! ……採集物の捜索の前に、こっちの確認をするべきだった気がする!
という事で、少し足を止めてマップを見てみる! えーと、元々の射程の表示と、実際の破壊の範囲が同じなのかは分かんないね? うーん、まぁいいや!
ミツルギ : どういう敵を巻き込むかは、その時の運次第だからなー。今回は……目の前にいたクマ以外は運が良かったのかもしれない。
いなり寿司 : あのクマは、運が悪ければ色々と邪魔になってただろうしな。使っていたのが『獅子咆哮』だと、確実に邪魔になっていた。
富岳 : 確かにな。『獅哮衝波』の3段階目の溜めだからこそ、仕留め切れたと思っていい。そうでなければ『堅守の構え』での効果が危険な水準になっていたはずだ。
チャガ : 思った以上にダメージの入り方は悪かったし、あれはかなり堅牢のステータスは高かっただろう。
金金金 : あー、余波で吹っ飛んだからこそ仕留め切れてた感じだもんな。
「……地味に獅哮衝波だけの効果じゃ仕留め切れてなかった感じだったですもんね。あれ? もしかしてお煎餅の丘みたいな拓けた場所で使うより、この森林深部みたいな障害物が多い場所で使う方が威力が出たりします?」
今ふと思った可能性! これまでは全然気にしてなかったけど、さっきのを思い返してみたらそういう事になるよね!?
富岳 : まぁ障害物が多ければ破壊する物がある分だけ威力の減衰はあるが、巻き込む物が多い分だけ別の効果に繋がる事は多いな。
ミツルギ : どっちが良いかはケースバイケースだから、一概には言えないんだよなー。
こんにゃく : そうそう! 遠距離の敵を狙い撃ちなら障害物はない方が安定するし、今回みたいに色々と巻き込みたい場合は障害物が多い方が良かったりもするからな。
「あ、なるほど。状態次第になる訳ですか!」
まぁ当たり前な話だけど、狙いが違えば有用性も違ってくるよね! あれ? ちょっと思ったけど、これって出来るのかな?
これはどこかの機会で試してみるのもあり……あ、獅子咆哮でも凝縮率を高めれば出来そうな気がする! 出来るかどうか分かんないけど……。
金金金 : 何か思いつたような狐っ娘アバター。表情は雄弁に語る!
水無月 : サクラちゃん、何を思いついたの?
「あ、そんなに表情に出てました? えーと、地面を掘って積み上げた土の山を作って、そこに向けて獅子咆哮や獅哮衝波を撃ったら散弾銃みたいに土が吹っ飛んでいかないかと思いまして?」
小石を弾くのが投擲として攻撃になるんだし、範囲攻撃で巻き込んだ周囲の物もダメージの元になるんだったら、これでも多分いける気がする! ふっふっふ、私は天才かもしれないのですよ!
金金金 : あー、オンライン版でなら誰かしらが似たような事をやってそうな内容だな。オフライン版だと、どうなんだ?
ミツルギ : ……試した事はないけど、理屈としては有効なはず?
ミナト : そだねー。掘り起こした土には小石も混ざってるし、上手く吹き飛ばせれば有効なダメージにはなるはずだよ。
富岳 : 多分、効果としてはいけるはずだ。ただ、その用意をするのが面倒だな。
こんにゃく : わざわざ地面を掘り起こす手間をかけるくらいなら、そのまま攻撃でいいだろうしなー。
「あー、そう言われるとそうなりますか……。確かにわざわざこの為に地面を掘り起こすのも面倒ではありますよねー」
手間を考えたら、微妙な手段な気がしてきた! むぅ……良い手段だと思ったんだけどなー? はっ!? 待って、まだ無駄と決まった訳じゃないよ!
「自然薯を掘る時に、その土を山にしておいて、それを使うのはどうですかねー?」
ふっふっふ、これならわざわざ用意する必要はなーい! むしろ、一石二鳥な手段じゃないですかねー?
G : 自然薯は掘り出すだけでも面倒なのに、その最中に土を山にしていくのか!?
神奈月 : 無駄な手間が増えるだけなような気がする?
チャガ : 手間に見合うだけの成果があるとも思えんな。オンライン版ならまだしも、オフライン版だと……。
富岳 : そうだな。どの程度の威力になるかは分からんが、元々の威力が高いからそこまでの手間をかける必要性もないだろう。
ミナト : オンライン版ならそういう土を巻き込んで使うのはありなんだけどねー。オフライン版では手間の方が遥かに上回るだろうから、下手におススメは出来ないかな?
真実とは何か : それが真実である!
「オンライン版ならありっていうのが地味に気になるんですけど!? まぁ皆さんが揃ってそう言うのであれば、諦めましょうか……」
わざわざ無駄な手間を増やしたい訳じゃないし、ただの思い付きじゃ駄目だったって事で! あ、そうしてる間にスキルの効果が切れて、その再使用時間まで過ぎてる!
「何も見つからないままでしたけど、まぁ再発動が可能になったので移動をしていきましょう!」
ふふーん、他の成果は特に何もなかったけど、目的自体は達成だもんね!
ミナト : ところで、サクラちゃん。足元にあるチドメグサは採集しないの?
「……え? あ、こんなにすぐ近くにあったんですか!?」
わー!? 近くにあり過ぎて、全然気付かなかった!? というか、足元過ぎて視界に入ってなかったよね!?
咲夜 : そんな近くにあったんかい!
ミツルギ : 灯台下暗しかよ! あー、近過ぎて見えてなかったのか。
富岳 : ……ミナトさん、ここに移動してきた時から気付いていたな?
ミナト : うん、まぁそうなんだけど……いつ気付くかなーって思ってたら、そのまま出発しそうだったからねー。
G : まぁよくある事だな。今までも何度もあった事だけど……今回のは、ミナトさんの観察力が凄かったのか?
神奈月 : 気付いてたの、ミナトさんだけっぽいしなー。
「……あはは、まぁサクッと採集しちゃいますねー! その後、出発です!」
本当に灯台下暗しとはこの事だよね! これまでもこんな感じで色々とスルーしちゃってたんだ。うん、まぁ過ぎた事は気にせず、足元のチドメグサを採集だー!
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