第431話 道を作って


 獅哮衝波の溜め、3段階目まで溜め終わるのはあと少し! この破壊での道を作るやり方は前に渓流エリアでやったし、進みやすくなるのは間違いないよねー!


「あと少しで溜めも終わるので、それまで敵が襲ってこないように祈りたいところですね!」


 心配なのはそこだけど、今のところは大丈夫! そのまま大丈夫なまま、溜めの完了になって欲しいよね!


咲夜 : そういう事を言い始めると、逆に襲いにくるように……。

富岳 : 咲夜さんのその発言もまたフラグになりそうだが……。

ミナト : あっ、本当に出てきちゃった。

ミツルギ : あー、『獅哮衝波』の射線上に『頑強なクマ』が出てきたな。

咲夜 : ……え、マジで出てくるの?


「出てきてほしくないって言ったところで出てこないでもらえませんかねー!?」


 うがー! 『頑強な』だから堅牢系統のクマだし、ただ出てきただけで襲ってくる様子ではないのがまだ救いかも! でも、堅牢系統の敵が近くにいたら、獅哮衝波が遮られたりしないかな?


「……これ、クマは避けて放った方がいいですかねー? クマの先には攻撃が届かないとか、あったりしません?」


 3段階目まで溜めはするし、今の2段階目までで発動する事はないけど……思った通りの威力にならない可能性も出てきたんだけど! 確か、これまでも堅牢系統の木を盾に生き残ってた敵とかいたもん!


ミツルギ : あー、ここまで近い距離ならクマごと吹っ飛んでいくから心配はいらないぞ。

いなり寿司 : まぁクマより先の部分は、多少は威力が落ちるけど……。

富岳 : 堅牢系統でも特に硬い状態の敵じゃなければ、この距離からの3段階目の溜め攻撃にはまず耐えられん。それでもどうしても威力が減衰して効果範囲が狭まるのは避けられないから、どうせなら少し凝縮して威力そのものを上げるのがいいかもな。


「あ、結果的に射程が短くなるなら、その分威力を凝縮させた方がクマを吹っ飛ばしやすいって事ですね! それなら衝撃凝縮をしてみましょう!」


 今の段階だと2段階目の状態での凝縮になるから、やるのは3段階目の溜めが完了してからになるけど! でも、そういう使い方もあるんだね!


金金金 : 目の前に壁になる敵がいれば、その先へは威力が落ちるんだな。当たり前と言えば、当たり前な話だけど。

チャガ : どうしても盾になる状態だからな。まぁ今のは盾ごと吹っ飛ばしてしまえって話になるんだが。

こんにゃく : まぁそれを実行に移すにはそれ相応の威力は必要だけど、その威力があるのが3段階目まで溜めた『獅哮衝波』か。

ヤツメウナギ : 発動にかなり時間がかかる分だけ、相応の威力は発揮するからなー。

G : 実用性は薄いから、どちらかというとロマン砲の類いなんだけど……。

サツキ : どんな壁があろうとも、壁ごと壊してしまえば問題なーし!

真実とは何か : それが真実なのである!


「あはは、確かにそれはそうですね! さーて、そうしている間に溜めが完了です! どの程度の凝縮率が丁度いいですかねー?」


 ずっとは待ってくれないけど、少しは調整する時間はくれるもんね! だから、3段階目まで溜まった状態で凝縮率を調整! ……というか、射程がミニマップ表示での表示範囲を超えてるよ!

 えーと、発射までの時間の猶予をちゃんと確認しつつ、マップを最大表示にして射程を確認! 今の段階でどのくらいの射程があるんだろ?


「……あのー、今の場所から北の端までの距離の半分くらいの射程があるんですけど、長すぎません!?」


 なんだかんだで今いる場所は中央くらいまでは来てるけど、これの射程って森林深部エリアの4分の1はあるって事だよね!? 思った以上にかなり射程が長いよ!


ミツルギ : まぁ森林深部はエリアとして狭い方だというのはあるけどな。

神奈月 : スキルLvが上がれば、まだまだ射程は伸びるぞ!

富岳 : 最終的にはもの凄い広いエリアでない限り、端から端まで届くくらいにはなる。まぁそこまで必要かと言われると、微妙だが。

チャガ : その辺は『衝撃凝縮』で威力に変えて運用する部分だしな。


「そんなに射程が伸びるんですか!? まぁあんまり長くなり過ぎても味気なくなりそうなので、3分の1くらいになるように凝縮させましょう!」


 ここから目的地までの3分の1の距離でも破壊出来たら、それで十分! それを基準にマップを見ながら凝縮率の調整だね!


 えーと、良さそうな感じは20%を超えたくらいだけど、こんなものかな? これくらいの凝縮率ならあんまり細くはなってないし、攻撃範囲は大丈夫そう!


水無月 : サクラちゃん、あんまり猶予の時間が残ってないよ! 急いでー!

サツキ : このクマ、カウンターとかしてこないよね!?

ミツルギ : その可能性は薄いとは思うけど、絶対に無いとは言えん。

ミナト : 多少は動いてるし、こっちを一度も見てないからただ無防備なだけだと思うよ? って、こっちを向いたね?

富岳 : あー、今の瞬間で交戦状態になったか。。動かなくなったから、『身構え』か『返しの突撃』か、その辺の何かの発動準備に入ったな。


「急がないとマズい状況で、そういう真似をするのはやめてもらっていいですかねー!?」


 うがー! もう放たなきゃいけないタイミングなのに、なんでこのタイミングでこのクマはこっちに気付くの!? って、わー!? もう余計な事を考えてる時間がないよ!?


「もうこのままいきます! 獅哮衝波、発射です!」


 もしカウンターで突撃が来ても、それはそれで仕方ないよね! 狙いを変えてる時間も、凝縮率を変えてる時間も無いから、そのまま撃ち放つのですよ!


金金金 : 身構えたクマが、周囲の木々と一緒に盛大に吹っ飛んでいく!

水無月 : 凄い威力だね!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv16に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv17に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


 なんか思った以上に沢山倒したみたい! いぇーい! 攻撃範囲の割には数は少ない気もするけど、一気にLv2も上がったんだから文句はないのですよ!


「えーと、さっきのクマも含めて6体撃破です! それにしても、凄い威力ですねー!」


 凄い音を立てながら木々が吹っ飛んでたし、今は盛大な音を立てながら倒れていってる! ふふーん、私の見る先は、かなり見通しが良くなったのですよ!


サツキ : 自然破壊による、サクラちゃんの専用ルートが開通!

咲夜 : 言い方ー!

いなり寿司 : 言い方はあれだけど、まぁ何も間違っていないからな。


「あはは、まぁ私が通っていく為の道ですからねー! 専用ルートなのは間違いないです!」


 現実の事なら気にしなきゃいけない破壊だろうけど、ゲームの中の事だから気にしない! 作り物のデータなんだし、壊す事も想定されているなら気にする必要はないのです!


「ところで、結局あのクマはなんだったんですかねー?」


 カウンター攻撃を警戒してたけど、そのまま吹っ飛んで死んじゃってたもんね。まぁ私としてはその方がありがたいけど、あれは何をしてたんだろう?


ミナト : あのクマは、多分『堅守の構え』を使ってた感じかな? 身構えにしてはダメージが入り過ぎてた気がするしね。

富岳 : 多分、そうだろうな。即死はしなかったけど、吹っ飛びながらあちこちにぶつかった結果の死亡か。

ミツルギ : 身構えなら、ギリギリ生き残ってた可能性はあるかもしれないけど……まぁそれでもあの距離でなら死んでただろうな。

チャガ : 至近距離から使ったら、吹っ飛ばした結果として、色んなところにぶつかっての多段攻撃になるのが大きい部分でもある。

水無月 : え? でも『踏ん張り』の効果って出ないの? 軽く吹っ飛んでたけど……。

G : 単純な話、コケの上では踏ん張りにくい! 絶対な効果じゃないからな、あれ。

こんにゃく : まぁそれもあるけど、『獅哮衝波』自体に吹っ飛ばす効果があるからな。3段階目ともなれば、ほぼ確定で吹っ飛ぶ。踏ん張る力と、吹っ飛ばす力、どっちが強いかって話だ。

富岳 : さっきのは、まぁ単純に『獅哮衝波』の方が上だったって事だ。

水無月 : あ、なるほど!


「おー、そういう効果があったんですか!」


 獅哮衝波自体は単発の攻撃だけど、それで吹っ飛ばした分だけ何かに当たればダメージになるんだねー! 理屈としては、岩に敵をぶつけまくるのと一緒なのかも? それに確定で吹っ飛ばせるのは、まぁ見た感じで納得!


「とにかく、変に反撃も受けずに済んでよかったです! さーて、それじゃ出来上がった倒木の道を進んでいきましょう!」


 森林深部は渓流エリアの森みたいにまともに通れないほど木々は密集してないけど、それでも木々は多いもんね! これなら倒れた木の上を駆け抜けていけるかも? あ、でも最短距離で進めるんだし、そこまで急がなくても良さそうな気もする!

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