第419話 耐えた後に


 堅守の構えを発動したけども、すごい勢いでHPがどんどん減っていくよ!? 残りHPは2割を切ったし、もうそろそろ止まってー!? このままじゃ、効果を発揮する前に死んじゃう!


「あ、『威力強化【Ⅳ】』になって効果が切れました! 大暴れ開始です! 『体当たり』!」


 今はとにかく、狙われまくっている現在地から少しでも動くのが先決! という事で、真正面にいる雄健なシカに向かって体当たりなのですよ!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「……え?」


 待って、待って、待って! 他の敵の攻撃を受けて弱ってたとはいえ、まさかただの体当たりで倒せるとは思わなかった! 他にも何体か巻き込んで倒したっぽい?


こんにゃく : おっ、体当たりでシカが吹っ飛んでたなー。周りの敵も数体巻き込んだか?

ミツルギ : 密集してるから、結構巻き込んだみたいだな。

金金金 : あまりの威力に、呆けている狐っ娘アバター。ボーっとしてる場合じゃないぞ!

ミナト : 今がチャンスだからねー! どんどん進化ポイントを稼いじゃえー!


「あ、確かに呆けてる場合じゃないですね! 『爪刃乱舞』!」


 今はともかく、ひたすら敵を倒せー! 余計な事を考えるのは後ですよ!


サツキ : サクラちゃん、最後の大暴れを開始! やっちゃえー!

水無月 : 死んじゃう前に倒しまくっちゃえー!


「はーい! って、痛いですね!? わわっ!?」


 連撃を当てていこうとはしてるけど、見切りへの反応が多過ぎるよ!? うがー! もう多少当たるのは仕方ないとして、体勢だけは崩されないようにしよう! それで出来るだけ残りHPの少ない敵を優先して仕留めていくのです!


「そこのイノシシ、仕留めますよ!」


 なんか溜めてるっぽい頑強なイノシシに向かって爪を連続で振り下ろすのさー! うりゃりゃりゃりゃー!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「既に弱ってるからか、経験値が少なめですね!? でも、問題なしです! 『双爪撃』!」


 堅守の構えでダメージ量を少し軽減してたから、今当たる攻撃は痛いけど……それでも1撃ずつの威力は耐えられない程じゃないもんね! ふっふっふ、数の暴力は凄まじいけども、それでも縄張りのステータス強化の効果は高いのですよ!

 落ち着いて、しっかりとHPの減ってる敵を狙って、邪魔な敵は体当たりして吹っ飛ばしつつ、地面に突き刺さってるクワガタ目掛けて左右の爪を同時に振り下ろす!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


 うん、クワガタも撃破完了! 威力は威力で、縄張りと堅守の構えでの2つの強化ありだから、相当強いよね! 次の敵は――


「わわっ!? なんか凄い音がしたと思ったら、木が倒れてきてるじゃないですか!?」


 ぎゃー! 何がどうなってそうなったか分かんないけど、回避ー! このままここにいたら、木に押し潰される!


富岳 : これは……敵の流れ弾が木を倒したようだな。

咲夜 : 『獅子咆哮』や『獅哮衝波』みたいな広範囲攻撃ではなかったみたいで一安心。


「あ、そろそろそういう溜め攻撃が飛んでくる可能性も……って、見切りに反応!? あ、避け切れな……ぐふっ!?」


 なんか上にリスが見えたけど、思いっきり頭を蹴られて、その勢いで地面に叩きつけられ……って、ぎゃー!? この状態で朦朧って、それは勘弁してー!?


チャガ : 今のはリスが『踵落とし』を決めてきたか。この状況で朦朧は……流石にもう無理かもしれんな。

ヤツメウナギ : ここで朦朧は致命的過ぎる。意外と奮闘してたんだが……。

イガイガ : 今のはリスの蹴りで朦朧? それとも地面に岩があって、そっちにぶつかっての朦朧?

ミナト : 朦朧になったのはタイミングはリスの『踵落とし』を受けた直後だよー! まぁそのすぐ後に叩きつけれた地面も岩だったけどね。

イガイガ : あー、やっぱりそっちか。


「わっ!? わわっ!? 身動きできないのをいい事に、やりたい放題じゃないですかねー!? ぐふっ!? がふっ!?」


 クマに腕を振り回されて吹っ飛ばされて、吹っ飛んだ先ではネコに爪を研がれて、あちこちの木の上から虫や小石や木の実が飛んできてるんだけど!?

 うがー! 全く回避が出来ない状況だし、もうHPも尽きて――


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が死亡しました>

<死亡した為、リスポーンとなります。リスポーンの手段を選んでください>


 うん、死んだ! そこは分かってたけど、最後のはなんか悔しいなー。まぁそれでも頑張って倒せた気もするし、HPが15%まで減ってからの戦闘だと思えば仕方ないよね!

 エリアボスらしき敵は確認できなかったし、『再誕の道標』を使う必要はないから、予定通りランダムリスポーンで! さーて、どこに出るかなー?


サツキ : サクラちゃん、ナイスファイト!

いなり寿司 : 最後はちょっと運が悪かったら、まぁあれだけ倒せれば十分だろ。

水無月 : うん、うん! 経験値は悪くなってきてたし、あれでいいと思うよ!

神奈月 : うーん、咲夜さんが溜め攻撃に言及してたから、その総攻撃を受けて死ぬと思ったんだけど……。

G : 俺もそれは思ったが……今回はフラグにはならなかったっぽいな。

咲夜 : ちょ!? そういう風に思われてた!?

富岳 : まぁ可能性としては十分あったし、リスにやられてなければ……おそらくそうなっていたな。


「……あはは、どっちにしてもあれくらいが限度だったって事ですね。流石に溜め攻撃の連発は避け切れる自信はありません!」


 そもそも、他の攻撃ですら回避し切れてなかったもん! 見切りの反応は過剰なほどに視界を埋め尽くしてたし、避けようがないもんねー。うん、まぁそれを考えたら十分倒したよね!


イガイガ : それにしても勝負の分かれ目が、まさかのリスの踵落とし。確かあれって性能として朦朧になりやすいんだっけか?

ミナト : 『踵落とし』は上から飛び降りながらじゃないと使えないけど、その分だけそういう性能が付いてるからねー! とはいえ、高確率ではあるけど、確定ではないけどさー。

富岳 : 朦朧は、知恵は関係なく入る状態異常だしな。使い所は限られるが、『踵落とし』は強力なスキルの1つだ。


「そんな蹴りのスキルがあるんですか!? うーん、リアルでは可愛いリスですけど、モンエボでは凶悪ですね!」


 スキルそのものに朦朧になる確率が設定されてるスキルとかもあるんだねー。まぁある意味、『萎縮』になるライオンの『咆哮』みたいなものなのかな?


金金金 : へぇ? オフライン版だとそういう性能なのか。オンライン版にはそういう性能は無かった気がするけど……。

ミナト : オンライン版は上に行く手段が増えてるからねー。その辺の都合で、削除された仕様だと思うよ?

金金金 : あー、なるほど。確かにその辺の自由度はオンライン版の方が上っぽいもんな。

ミツルギ : まぁ使える種族が多い訳でもないけどなー。まず、植物系と四足動物のスキルツリーに出てくる事はない!


「あ、そうなんです? まぁ確かに、蹴りが使えそうな種族に限定されそうですよね」


 蹴りが使える種族って何だろ? リスが使えるのは確実だとして、立ち上がれるクマとかは使えそうな気もする! まだ見かけてないけど、サルとかいれば使えそうではあるよね! うん、まぁその辺は今はいいや!


「さてと、いつまでも雑談してても仕方ないので、ランダムリスポーンでどこに出たのかを確認していきましょう!」


 という事で周囲の確認! 周囲の様子は……うーん、森の雰囲気は変わった気がしないねー。まぁ森林深部ってエリアなんだし、極端に変わり映えする場所でもないのかも?


ミナト : あらら、そんなにさっきの場所からは離れてはないね?

ミツルギ : あ、マジだ。マップの表示に、結構な数の赤い印が映ってるな。


「はっ!? 本当ですね!? これ、すぐに逃げないとヤバいんじゃないですかねー!?」


 ぎゃー! 折角のランダムリスポーンなのに、あんまり場所が変わってないよ! これじゃ、すぐに逃げないとまた囲まれて袋叩きにされちゃう!? 急いで逃げろー!

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