第415話 ちょっとした裏技


 ふぅ……姉さんの暴走は、多分だけど聡さんが止めてくれたはず!


「……なんだか無意味に疲れた気がしますけど、気を取り直してマップの解放を目指してどんどん進んでいきましょう!」


 なんだかんだで戦闘は回避して進めてこれてるもんね! 時々見える敵のLv的にも、まだ11や12が大半だから、厄介な構成の敵でなければ全然大丈夫!


水無月 : サクラちゃん、マップ解放を頑張れー!

金金金 : 頑張れ! それはそうとして……新エリアに来るたびに、このマップ解放からというのは、正直面倒だな。未踏破の場所が表示されないのはまだしも、マップそのものが使えないのはどうなんだ?

ミツルギ : まぁ、その気持ちも分かるんだけどなー。俺も始めはそう思ったし。

咲夜 : そこは誰もが通る道!

富岳 : 最初が不便なのは、ゲームとしてはよくある仕様だしな。


「あはは、まぁ1種族目をクリアしてから色々と解放要素があるみたいですし、その辺の都合ですかねー? とはいえ、確かにマップは早めに使いたいですけど……」


 あ、聡明な樫の木を発見。……植わって動く気配もないから、ここは迂回していこー! というか、今私はどの方角に向かって進んでるの!? 一応方角だけは表示があるけど、あちこち向きを変えて走ってるから、ちゃんと進めてるのかが分かんない!


サツキ : ふっふっふ、実は1種族目でもサクッとマップを解放してしまう手段はあるのだー!

水無月 : おぉ! そんな手段があるんだ!


「その手段は興味深いですね! あ、でもそれは盛大にネタバレ案件になりませんかねー?」


 気にはなるのは間違いないけど、どう考えてもネタバレ案件だよね!? それに、今まで誰も言ってこなかったやつ! ……どういう手段なんだろ? うがー! これは聞くか聞かないか、非常に悩むよ!


咲夜 : ……そんな手段ってあったっけ?

神奈月 : さぁ?

ミツルギ : あー、あるにはあるぞ。あんまり使う事がない方法だから、裏技的な手段だけど。

G : 裏技的なマップの解放方法……。何かで見た気はするが……あぁ、思い出した! あれか! 確かにあれは裏技だな!

ミナト : んー、聞いた事はあるような気はするけど、忘れちゃったなー?

富岳 : まぁあの手段はな……。ミナトさんが使う事はまずないだろうし、普通の人でも条件自体を達成するのは見落としがちだ。ただ、サクラちゃんは実行可能ではあるか。

いなり寿司 : 難しいというよりは、1種族目ではあまりしない系統の育成方法だしな。それを使う頃にはマップの解放については問題なくなってる事の方が多数だし。

ミナト : あ、思い出した! そっか、あれだねー!


「……えっと、本当にどんな手段なんですかねー? 私が実行可能で、条件を整えるのが難しい裏技的な手段って一体……?」


 断片的な情報ばっかだから、具体的に何をどうやればいいのかがよく分かんない! 裏技的な手段みたいだし、何かのスキルを使って強引にマップを解放しちゃうのかな?

 それにミナトさんが使わない手段の1つでもあるみたい? うーん、謎! あ、でも、何か思いつきそうな予感!


金金金 : ライオンの足が止まって、思い悩み始める狐っ娘アバター。まぁ俺はなんとなくだけど、どういう手段かは予想がついた。

水無月 : 私も、何となく予想は出来た!

神楽 : こんばんはー! あれ? 何をお悩み中?


「あ、神楽さん、こんばんはー! いえ、ちょっとネタバレ案件の話題が出まして、ちょっとどういう物なのか悩み中です!」


 気付いたら足も止まっちゃってるけど、色々考えこんじゃってそうだが止まっちゃったみたい。うーん、こうあと少しでこのネタバレ案件の内容に辿り着けそうなもどかしさがある!


神楽 : あらら、そうなんだ? あ、今度出る皐月堂のお茶の宣伝とかあるんだ! いやー、あそこのお煎餅って美味しいんだよねー! あられとか、おかきも美味しいけどさー!

サツキ : おー! 神楽さん、分かってるね!

神楽 : ふふーん、そりゃ皐月堂の大ファンですので! そこからこの配信を見つけたもんね! あれは本当に美味しそうに食べてたもんだもん!


「あ、神楽さんってそういう経路からこの配信を知ったんですか! わー! そういうパターンもあるんですね!」


 そっか、皐月堂さんが私のSNSにも反応してたし、お店に対するファンの人が私の方にも来る事はあるんだ! そういう視聴者さんの増え方は全然考えてなかったよ。どういう流れで見に来てるかは、本当に人それぞれなんだね!


ヤツメウナギ : 今回のネタバレ案件をスルーせずにどういう内容か悩むなら、いっそ運に任せたらどうだ? お茶の宣伝、経緯がよく分かってない人は結構いるぞ?

咲夜 : おっ、サイコロタイム開始か!

神奈月 : いいんじゃね? 今回のネタバレ案件、地味に気になるし。

サツキ : そういう流れになってるけど、サクラちゃん的にはどう?


「確かにサイコロタイムはありな気はしますねー! それじゃそうしましょうか!」


 なんだか姉さんが私を悩ませてサイコロタイムをやるように誘導してきたような気も少しするんだけど、まぁそれでもいいや! お茶に対する疑問は何人か言ってたし、いつもコメントがある人は大体もう来たっぽいし、今のうちにやっちゃえー!


 そうと決まれば、サクッと配信用の和室に切り替えなのさー! えーと、先にサイコロを振るのがいいかな? それともお茶の宣伝が先かな? うーん、気になってる事を先にしようっと!

 という事で、机の前から立ち上がって、箪笥の中からサイコロと笊を取りに行くのです! お茶を入れる湯飲みは、机の上に置いたままだから大丈夫! VR空間だから洗わなくても清潔だしねー!


「さーて、まずはネタバレ案件を聞くかどうか、サイコロで決めていきましょうか!」


 自分で考えてても答えが出てきそうで出てこないから、そこはもう諦めた! というか、もうちょっと考えれば出てきそうだけど、それだとサイコロタイムが無くなるから考えるのは放棄です!


富岳 : なんだか2択が続いてる気がするが、今回も丁半だな。出目が丁……偶数で『ネタバレを聞く』、半……奇数で『ネタバレは聞かない』でいいか?

ミツルギ : 先に言っておくけど、聞いたとしても実行に移すかどうかはサクラちゃん次第だからなー! 正直、そこで悩みそうな予感もするが……。


「なんだか気になる情報が増えましたけど、今回の選択肢はそれで大丈夫です! それじゃいきますよー!」


 実行するかどうかで悩むって、どういう事なんだろうねー? うーん、まぁいいや! 聞かない事になれば関係ない話だし、とりあえずサイコロを振っていこー!

 いつものように笊の中にサイコロを放り込で、振って、振って、振りまくって、ドンと机の上に置く! カランコロンと転がる音が消えたら、笊を上げて出目を見るのです!


「えーと、出目は1ですねー! 半なので、ネタバレは聞かない事に決定です!」


 うん、気になるままになっちゃったけど、それがサイコロ様のお告げだと言うのなら従うまで! ……流石に大袈裟な表現過ぎたかな? でもまぁ自分で考えろって事なのかもねー!


咲夜 : あー、聞かない方になったのか……。よし、攻略サイトを漁って手段を探ってこよう!

神奈月 : あ、その手があるか!

富岳 : 見てくるのは別に止めんが、うっかりとネタバレをするなよ? 特に咲夜さん!

咲夜 : ちょ!? 俺、名指し!?

こんにゃく : まぁ妥当な判断だと思うが……。

イガイガ : それは確かに……。

ミナト : そんな分かり切った事より、サクラちゃん、宣伝の方ねー!


「あ、はい! えーと、神楽さんも言っていましたけど、以前配信中に食べたお煎餅の皐月堂さんから、サツキさん経由で宣伝を頼まれています! 昨日の実況外の配信プレイでそれと知らずに飲んじゃって、そのまま成り行きでですけど!」


 まだ他の宣伝もやるとは決めてないけど……聡さんが後々で断りにくくなるって言ってた理由が分かった気がする。一度効果があると分かったら、それを頼む人は増えてくるもんね。

 逆に効果が無ければ話は来なくなりそうだけど……思った以上にお煎餅を買ってる人がいたから、効果はあるっぽいもん! 音声ありのコメントの人って一部の人だけだから、実際はもっと多そうだよね。


チャガ : やはり前の煎餅の時と、昨日の実況外のプレイからの繋がりか。

こんにゃく : あー、それで宣伝か。……サツキさんって、皐月堂の中の人? 漢字とカタカナの違いだし。

サツキ : 違うよ!? お店の人と友達ではあるけども!

いなり寿司 : 妹を使って、友人の店の宣伝をする姉である。

サツキ : そうだけど、何か問題でも!?

ミナト : あはは、全然否定しなかったねー。まぁ堂々と宣伝って言ってるし、コソコソと隠れてやらせをされるよりは良いんじゃない?

いなり寿司 : まぁそりゃそうか。


「あはは、まぁやらせは私としても嫌ですしねー! 堂々と言いたい事はそのまま言わせてもらいます! このお茶、ホッとする味で落ちつくんですよねー」


 試飲データを湯飲みに移して、ズズッと一口。……ふぅ、やっぱりこの味は落ち着くね。なんだか妙に考え過ぎてた頭の中がほぐれていくような……。


「あー!? 裏技的な手段に使うスキル、何か分かった気がします!?」


 なんだか一息ついて落ち着いたら、スルッと出てきたよ!? 合ってるかどうかは分からないけど、これなら皆さんが言ってた条件に当てはまる気がする!


咲夜 : まさかのお茶効果!?

ミナト : リラックスして、思考がまとまった感じかな?

富岳 : さて、思い至った事があるなら、答え合わせといこうか。


「あ、はい! そうしましょう!」


 まさかお茶を飲んでリラックスした結果でこうなるとは思わなかったけど、こうなるのならサイコロで聞かないになってよかったのかも!

 さーて、それじゃ答え合わせをしていこー! ……もしこれなら、実行するかはちょっと悩むのは間違いないね!

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