第414話 移動しながら


 カブトムシは地面に埋めて、毒で撃破! ふふーん、『屈強』が高い堅牢系統だったみたいだけど、攻撃をさせなければ問題はないのです!


「さーて、マップ解放を目指して移動再開です! あ、いつの間にか切れてたので再発動していきましょう! 『見切り』『弱――」


<『見切りLv2』が『見切りLv3』に上がりました>


「あ、見切りのLvが上がりましたね! これで、少しは大雑把さは抑えめになりますかねー?」


 確かスキルLvが上がれば、見切りの精度も上がるんだったはず! ふふーん、見切りは地味に便利だから、精度が上がれば回避距離も抑えられそうだよね。


ミツルギ : 見切りはシンプルながら、地味に精度が上がるのは純粋に便利だな。

富岳 : かなりマシにはなるとはいえ、まだまだLv3ではかなり大雑把だから過信はするなよ。


「あ、まだまだ大雑把なんですか。スキルLvがいくつまで上がるのか分かりませんけど、Lv3ならそんなもんですかねー?」


 私の使えるスキルの中では最高Lvは4だけど、どこまで上がるんだろうねー? 5が上限? んー、まだまだ先はありそうだし、10くらいかも? いくらなんでも15とか20は無いと思う!


サツキ : スキルLvの上限は、上げてみてのお楽しみだー! 私は、どのスキルも上限まで上げた事はないけども!

G : 上げた事、ないんかい!

いなり寿司 : まぁ上限まで到達するのは、別に必須でもないからな。あれこれと色々解放しまくってたら、そういう事態に陥りやすくはある。

ミナト : スキルのLv上げが面倒になれば、ステータスを上げて攻撃は通常攻撃だけでやるのもありだよー!


「あ、そういう方向でもいけるんですね! というか、意識して上げていかないと上限まで行かない事が結構ありそうです!?」


 姉さんはあれだよね! 間違いなく色々解放しまくって、スキルLvが全然上がってない状態になってそう! でも、ステータスも解放しまくってそうだから、その分の補いも出来てそう?


「というか、雑談をするにしても移動しながらですね! こっちも切れてるので、再発動です! 『弱点分析』!」


 うーん、こっちはまだLv1なんだけど、上がってはくれなかったみたい。やっぱりスキルツリーの先にあるスキルほど、スキルLvが上がりにくくなってるのかも?


 まぁその辺は移動しながらで、とりあえず駆けていくのです! 疾走は森林深部では扱い切れる気がしないから、疾走なしで! ともかく、これで移動再開だー!


「全体的に薄暗い感じですけど、時々ある木漏れ日が良い雰囲気ですよねー! あ、ちょっとスクショでも撮っていきましょうか!」


 少し拓けていて日の当たっている場所に近付いてるから、それを撮っていこー! 止まらずに駆けながらで上手く撮れるかな? スクショを連写で撮るぞー!

 ……あ、撮れたには撮れたけど、走りながらだと確認が難しいよ! うーん、まぁどういう風に撮れたかのチェックは後でいいや! 周囲の警戒を怠らずに、どんどん進んでいくのです!


ミナト : んー、結構ぶれちゃってたかな? でも、何枚かは良い感じで取れてたかも?

咲夜 : ちょ!? チラッとプレビュー表示が流れただけなのに、それで分かるのか!?

富岳 : 咲夜さん、実力派のサファリ系プレイヤーの観察力を侮るな。やつらの観察力や動体視力は異常だ。

真実とは何か : それが真実なのである!

G : 個人差はあれど、かなり凄まじいからなー。実力派のサファリ系プレイヤー。

チャガ : サファリ系プレイヤーでなくても強いプレイヤーはいるが、オンライン版で最強格に名を連ねる人達のサファリ系プレイヤーが多くいるのは間違いない。

ミナト : ふふーん、これでも私は強いんだからね! ……まぁ上に上がいるけどさー。


「え、ミナトより強い人っているんです!? ……恐ろしい話ですね!?」


 実際にミナトさんのプレイする姿を見た事がある訳じゃないけど、それでも絶対に強いのは分かるもん! でも、そのミナトさん以上に強い人達がいるってとんでもないね!?


 あっ、左側の木の根元に聡明なキノコを発見! まだ距離はあるから、迂回して避けていこうっと! 知恵系統の敵とは今は戦いたくないのですよ!


金金金 : ミナトさんより強い人……って、そもそもオンライン版で『ミナト』という名のプレイヤーに心当たりがない!

ミツルギ : あー、俺はその名前のプレイヤーには心当たりがあるが……サービス開始の少し後でログインしなくなった人だな。名前の重複不可だから、ここにいるミナトさんが『ミナト』の名前は取れないはず。

ミナト : あ、そうなんだ? 元々、別の名前で作ってるからそれは地味に知らなかったよ。まぁそもそもオンライン版での名前をここで明かす気はないけどね!

イガイガ : 知っていると語りながら、何も意味が無かった件。

ミツルギ : そこは放っとけ!


「あはは、まぁそれはそれで良いんじゃないですかねー! 必ずしも、全ての場所で同一人物だと明かす必要ってないですし!」


 姉さんとかまさしくそうだもんね! 場所によっての名義の使い分け! 私だってネット上とリアルでは名前は使い分けてるし、みんなそんなものですよ!


 今度は迅速な蛾が木の上に止まってるから、ちょっと警戒! ……うん、そのまま素通り出来た! このままの調子でどんどん進んでいこー!


「……ふと思ったんですけど、そういう名前の重複不可のオンラインゲームをプレイしなくなった場合ってどうなるんですかねー?」


 何気に私も、前に1度だけやったオンラインゲームのキャラの名前は放置状態になってるはず? あのゲームも確か、名前の重複は不可能だったよね? あの時のは『サクラ』は既にいて使えなかったから……なんて名前にしたんだっけ? うん、忘れた!


ミツルギ : 大体どのオンラインゲームも月額制だから3ヶ月の継続利用が無ければ名前は解放される事になってるな。まぁゲームによって多少の期間の違いはあるけど。

ミナト : 長期間ログイン出来ないけど再開予定はあるから名前を維持したい場合とかには、それ用の課金アイテムとかはあるね。

いなり寿司 : 名前維持で1年100円くらいが相場になってるぞ。

富岳 : ゲーム自体を解約した場合に即時解放になっていたりもする。まぁ解約はあまりする人もいないがな。


「なるほど、そんな風になってるんですね!」


 そっか、そっか! あのすぐに辞めちゃったオンラインゲームは、もう3ヶ月以上は前の話だし、私の覚えてもいない名前は解放されてるんだね! うん、今の今まで気にすらしてなかったけど、それは良かった!


 うーん、この辺は看破で敵の反応はないね? 見えてないだけで、色んなとこに隠れてそうな予感! 早くマップを解放して、索敵を使えるようにしないと!


富岳 : まぁ解放される名前が公表される訳ではないから、その辺は運次第だがな。それに、前の名前の持ち主と間違われる事もあるから要注意だ。

サツキ : ふと思ったから質問! オンライン版のモンエボには『サクラ』って人はいる!?


「それは普通にいるんじゃないですかねー? 自分で言うのもなんですけど、そう珍しい名前でもないですよ?」


 というか、そもそもそれを聞く意味って何かあるの? 姉さん、それを聞いて一体どうする気!? ……あんまり考えてないだけな気もする!


咲夜 : ……そういや、どうなんだ? 少なくとも俺は知らない。

金金金 : 聞いたことはないな?

水無月 : 始めてそんなに経ってないけど、聞いたことはないよ!

ミナト : うーん、オンライン版での『サクラ』さんかー。名前の一部に『桜』が入ってる人なら知ってるけど、そのままサクラちゃんと同じ名前の人は見た事ないかも?

G : あー、確かに『桜』が名前の一部にある人は何人か覚えがあるな。『サクラ』には覚えはない!

ミツルギ : 俺も『サクラ』には覚えがないけど、プレイヤーを全て把握出来る訳じゃないからなー。場合によっては、もうログインしてないプレイヤーかもしれんが……。

ヤツメウナギ : そもそも、よほどの顔の広さじゃないとそこまで大量のプレイヤーと知り合ったりは出来ないしな。だからこそ、異常な顔の広さの『渡りリス』なんて呼ばれる人がいるくらいだ。


「え、そんな異名を持ってる人がいるんですか! 『渡りリス』なら、リスのプレイヤーなんですかねー?」


 異名があるとか、他のプレイヤーがいるオンラインゲームだからこそなのかなー? 私には無縁な事だけど、そういう異名が付くって凄いよね! どんな人なんだろ、その『渡りリス』さん。まぁオンライン版をする予定はないし、会う事はないかー!


サツキ : そっか、オンライン版に『サクラ』がいるかは分かんないんだね……。うん、ちょっと作ってみて、いるかどうか確かめてみよー! オンライン版のダウンロードをしてこないと!


「サツキさん、それで何をする気なんです!?」


 待って、待って!? 姉さん、本当に何するつもり!? そんな事をして意味あるの!?


サツキ : えっ? サクラちゃんがオンライン版に進出する事があった時の為に、名前の確保だよ!

いなり寿司 : なんかとんでもない事を言い出してるんだが?

咲夜 : まだオンライン版のサービスが始まって3ヶ月は経ってないから!?

こんにゃく : ……時期の問題か?

サツキ : ふっふっふ、それでも辞めた人の可能性があるなら、その空きが出た瞬間を狙って確保出来るように毎日チェックをして……って、痛い!? あ、待って! 待ってー!?

ミナト : あ、旦那さんからストップがかかったみたいだね?

富岳 : サツキさんが旦那さんに怒られるのも、割といつもの光景か……。


「流石にそれは止めてもらいたいので、全力で阻止をお願いします!」


 姉さんの行動力は凄まじいし、ここで止めてもらわないと本当に実行しそうだもん! 姉さん、お願いだから色々と自重してー! 聡さん、姉さんの暴走を止めて下さい!

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