第412話 駆ける場合の注意点


 ふふーん、経験値の多めのリスをいきなり倒せて、今日は幸先のいいスタートだね!


「さーて、どんどん進んでいきましょう! 目指せ、マップ解放です!」


 足元に注意しながら、速度は控えめで! 今のところ、滑りやすいって感じはないけど……渓流エリアではコケで滑ったりしたし、その辺は要注意で!


サツキ : サクラちゃん、ファイトー!

水無月 : ファイトー!


「はーい、頑張ります! 木の上も、ちゃんと確認しておいた方が良さそうですねー!」


 昨日は木の上に逃げたヘビに絞め殺されたし、さっきのリスも木の上にいたから、上もちゃんと確認しないと危険っぽい気がする!


ミツルギ : その辺を見落としそうだと思ってたけど、意外と普通に確認してた。

イガイガ : 上からの敵に気付かず、奇襲を受けまくると思ってたんだけどなー。

金金金 : あー、そういう可能性があったのか。

ミナト : 別にそういう事があるのは森林深部に限った話ではないんだけど、上からの奇襲が多めなのが森林深部の特徴ではあるからねー。内緒にしておこうと思ったけど、サクラちゃんが警戒してるなら言っても良いって事で!


「あ、そんな気がしましたけど、やっぱりそうなんですか!? むぅ……警戒範囲が広いですね」


 足元はちゃんと見ておかないと色々な要素で起伏が多いから進みにくいし、上も注意しないと奇襲があるのは結構厄介かも。


富岳 : 森林深部は上からの奇襲が多いとはいえ、イージーならそれほど頻度は高くはないけどな。

神奈月 : 上にいる敵ばかりじゃないしなー。地面にいる敵への警戒を忘れると、それはそれで痛い目を見るぞー!

チャガ : あぁ、そうか。この辺は難易度でも変わってくる部分だったな。イージーだと上からの奇襲が少なくて、ノーマルとハードではどんどん上からの奇襲確率が上がってくるんだったか。

ミナト : 逆にヘルまで行くと、奇襲じゃなくて強襲になるし、地上と木の上の敵の攻撃頻度は変わらないんだけどねー! そうなったら、あんまり脅威でもなくなるよ?

こんにゃく : 変わらないというか……ただ、ヘルでの攻撃が苛烈過ぎるだけ……。

咲夜 : サラッと脅威ではないって言い切るのが、流石のミナトさんだな!?


「……あはは、いつかはやりますけど、ヘルってやっぱりとんでもない感じですねー」


 ミナトさんだから軽く流してる感じだけど、地上からも上から攻撃が苛烈なのは厳しそう! うん、どれだけ苛烈なのかが逆に見てみたい!

 もうヘルに関してはクリアできるものとは思ってないし、いかに凄まじいかを体験したいよね!


「それにしても……マップが解放されてないと、索敵の意味がないですね!」


 うがー! なんか色々と小さな物音は聞こえたりするんだけど、敵の姿が見当たらない! 索敵の効果はマップに表示されるけど、肝心のマップが表示されてないんだからどうしようもないよ!?


ヤツメウナギ : まぁそこは仕方ない部分だからなー。

ミツルギ : そういう仕様だから、今は我慢あるのみ!

水無月 : サクラちゃん、頑張れー!


「これは大急ぎでマップの解放をした方が良さそうですねー!」


 うーん、疾走を使うのは止めておいた方がいい気がするんだけど……もう転ぶのを覚悟で、思いっきり駆け抜けちゃう? コケに覆われてない地面も点々とあるし、そこを通っていくつもりでいけば大丈夫かも?


「……転んだら転んだ時です! 『疾走』!」


 今回はエリア切り替えの場所に『再誕の道標』の設置をしてるんだから、転んだ隙に襲われて仕留められても何とかなるのさー! ふっふっふ、まぁ最初はランダムリスポーンにしてみるけども!


サツキ : サクラちゃん、疾走開始!

金金金 : 大真面目な話、ここって疾走しても大丈夫なのか?

ミナト : 足元に気を付ければ、基本的には大丈夫だよ?

金金金 : ……逆に言えば、足元に気を付けなければ危ない訳か。

ミツルギ : まぁそれってここに限った話でもないんだけどな。

咲夜 : どこのエリアでも、敵を踏みつける事はある訳だし?

富岳 : 注意点としては、足元ばかり気にして木の上の敵の存在を忘れないようにする事だな。

真実とは何か : それが真実なのである!


「あはは、まぁそれは確かにそうですよねー! 上にも注意しながら、足元にも気を付けろって……地味に難しくないですかねー!?」


 上と下で全然向きが違うんだけど……ミナトさんは全然そんな事は気にせずに言ってそう!? 上の敵を忘れちゃいけないし、やっぱり疾走は使わない方が……って、わわっ!? 変に上に意識が逸れたら、踏み外して少しバランスが崩れた!?


「あ、危ないですね!」


 ふぅ、転ばずには済んだけど、焦ったー! むぅ……これはやっぱり、疾走は止めといた方がいい気がする!


ミツルギ : おー、転ばずに立て直せたか。

いなり寿司 : 今のは転んだかと思ったけど、そうでもなかったな。転び慣れてきたか?

咲夜 : あー、それはありそう?

こんにゃく : 転びやすいという事を認識してたら、立て直しもしやすいか。


「私としては転びそうにならないように進みたいとこですけどねー! というか、上と下の確認をしながら進むのは難しいので、やっぱり疾走は止めておきます!」


 今のは転ばずに体勢を立て直せたけど、この感じだと絶対に転びそうだもん! という事で、急停止なのですよ! いつものようにズサッと……。


ミツルギ : サクラちゃん、それは待て!

いなり寿司 : あー、そうなるか。

金金金 : ん? 何かある感じか?

富岳 : あるというか……先にこっちを説明しとくべきだったな。


「え? って、わわっ!? これ、踏ん張り切れてないです!? ぐふっ!?」


 ……止まり切れずに、転んだんだけどー! むぅ……特に朦朧にはならなかったし、転んでダメージも受けてないけど、なんで止まれなかったの!?

 とりあえずすぐに起き上がろう! いつまでも転がってはいられないのさー!


イガイガ : 森林深部のコケは特に濡れてはいないから滑りやすくはないけど、踏ん張りが効きにくいんだよな……。

ミナト : 駆け抜ける分には問題ないし、効果時間切れで速度が落ちていく分には問題ないけど……急停止すると、踏ん張れなくて転ぶよー! ……もう遅かったけど。

サツキ : え、そういう要素があったんだ!?

富岳 : 疾走していくのは敵にさえ気を付ければ問題はない。ただ、敵に注意っていうのは……急には止まれないという意味合いもあってだな?

いなり寿司 : まぁ一番やったらダメなパターンを実行したのが今だなー。

こんにゃく : その辺は、割と大型種族で来た時にやらかしがちだけどな。小型種族じゃ、そういう事は起きないし。

G : 体格……というか、重量の問題だな。


「そうだったんです!? 思いっきりやらかしましたね……」


 うがー! やりがちな事みたいだけど、急には止まれないという落とし穴があるとは思ってなかった!

 うぅ……確かに、普通の地面とは違ってコケに覆われてる部分が多いから、それが原因で踏ん張れないのは、言われてみれば分かる気もする!


「……そうなると、完全に敵は無視して疾走で駆け抜けるか、敵に注意しながら疾走を使わずの2択ですかねー?」


 正直、急に止まれない状況から戦闘をする自信はないもん! というか、この深い森の中で、疾走中でどうやって戦えばいいの!? 攻撃用のスキルって、疾走を発動中だと使えないよね!?


ミツルギ : 一応、敵を見つけたらその周囲を回りながら止まれる場所を探して、そこで止まって戦うというのは出来るけど……まぁ、無理にする必要はないぞ?

咲夜 : 敵の注意ってのは、敵の攻撃に注意と考えれば問題なし!

イガイガ : まぁ攻撃の方向が見えてないと、『見切り』の効果は出ないけどな。そういう意味で、木の上の敵に注意でもある。

サツキ : サクラちゃんが思うようにしてくれていいけど、悩むなら早速サイコロタイムに行っちゃう?


「まだ配信を始めてそんなに経ってないですけど、サイコロタイムをもうやるんです!?」


 うーん、でもありと言えばありなのかも? お茶の事を疑問に思ってる人もいたし……って、わー!? 視界の上の端に赤い表示が出たって事は、見切りの効果が出てきたっぽいよ!?


「あ、危ないですね!? 何が襲って……なんか地面に突き刺さってるカブトムシがいるんですけど、これはどんな間抜けなんです?」


 前にジャンプして躱して後ろを振り返ったら、そんな状態のLv11の『頑強なカブトムシ』がいた! 私が回避して空振りに終わった結果、地面に刺さっちゃった? うーん、硬そうなカブトムシ!


ミツルギ : まぁそういう敵もたまには出てくるぞー!

富岳 : 間抜けな状況にはなってるが、油断はするなよ。躱した結果でそうなってるだけで……堅牢系統は襲ってきにくいのに、襲ってきた意味を考えてみるといいぞ。

ミナト : 答えは弱点分析での表示の中にあるからねー!


「はっ!? 確かにそれはそうですね!?」


 弱点分析を見てみれば弱点の表示は『生命』『器用』『知恵』! 『屈強』と『俊敏』はどっちも出てないから……これは厄介そうな感じかも! 襲ってきやすくなる『屈強』が地味に高そうな予感!

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