第410話 配信前の雑談


 作っておいた方がいい物の気付いたのが準備し始めてからだったけど、もうそれは今度の機会にやるしかないよねー。根本的に、今日やるつもりはなかったから仕方ないもん!


水無月 : サクラちゃん、こんにちはー! ちょっとした宣伝って……あ、この巻き物に載ってるお茶?

ミナト : ありゃ? 昨日の実況外のお茶って、これの事?

ミツルギ : おーっす! ……昨日のお茶の事な気がしてたけど、既にURLが張られているとは!?


「……え? あー!?」


 ぎゃー!? 宣伝用の巻き物、位置調整の確認をしてそのまま出したままだったー!? えぇ!? すぐに取り下げた方がいい!?

 でも、昨日の実況外の配信の影響みたいで、既に認知もされてるような気もする!? この事態、どうすればいいの!?


ヤツメウナギ : こんばんはっと。なんか開始早々に、困惑している狐っ娘アバターだなー。

金金金 : 昨日の実況外のプレイの話を聞こうと思っていたら、なんか配信事故っぽい様子。


「えーっとですね……?」


 思いっきり想定してた手順が狂っちゃったんだけど、どうしよう!? 昨日の実況外のプレイの事は話題に出そうな気はしてたから、そこで宣伝しようと思ってたんだけど、これじゃ順番が逆だよ!?


サツキ : サクラちゃん、落ち着いてー! はい、深呼吸!


「あ、はい! そうですね! すーはー!」


 姉さんからの落ち着けというアドバイスに従って、深呼吸! ……ちょっとは落ち着いたけど、なんかまだ落ち着き切らないよ!?


金金金 : ん? なんだか緊張気味か?

ミナト : なんだか提供ありの宣伝みたいだし、これはサツキさん繋がりかなー?

サツキ : んー、そこは私から言っちゃ駄目な部分だね! サクラちゃん、ここは自分で頑張ってー!


「あ、はい!」


 なし崩し的にだけど、私が引き受けたものだもん! 報酬はアップデートしたアプリの代金に回ってるけど、お金が発生してる事は間違いないんだし、そこはしっかりしないと! 無責任にやっちゃ駄目なのですよ!


水無月 : サクラちゃん! これが昨日のお茶なら、飲んだら落ち着くんじゃない?

ミツルギ : あー、昨日もそれで落ち着いてたしな。

神奈月 : こんばんはっと。なんか妙な事になってんなー。


「あ、そうですね! 飲みながら状況を説明していきますね!」


 水無月さん、ナイスアイデア! お茶を飲めば落ち着けるし、宣伝用だからか試食データも複数貰ってるから大丈夫!

 普通に貰うのだと複数は貰えないんだけど、宣伝用途だと多めに貰えるようになるのは初めて知った! 姉さんがいくつか持ってたのって、そういう事なんだねー!


 という事で、湯飲みを箪笥から取り出してきて、机の前に座り直し! そして持ってきた湯飲みを机の上に置いて、お茶のデータを展開だー! ふぅ、湯気が上がって温かい緑茶が出てきたね。とりあえず一口っと!


「……ふぅ、落ち着く味です」


 なんかこう、温かいお茶ってホッとするよねー。今まで比べて見た事は無かったけど、私は深呼吸よりこっちの方が落ち着くみたい。


金金金 : 安心し切って緩んだ顔の狐っ娘アバターである。……美味そうに飲むもんだな。

ミナト : あはは、確かにねー!

水無月 : サクラちゃん、落ち着いた?


「あ、はい! もう大丈夫です!」


 ふぅ、パニックになりかけてたけど、なんとか立て直し完了! さーて、それじゃ宣伝をやって……もうやってるような気がする!?


富岳 : 今日も見に来たら、湯飲みで何か飲んでホッとしている状況……。あー、これは昨日のお茶の宣伝中か? というか、なんとなくそんな気はしてたが、まだ発売前の提供品か。

真実とは何か : それが真実のようである!


「あはは、まぁそういう事になりますねー! 私の今飲んでるお茶も、昨日飲んでたものと同じになります!」


 よーし、話題に乗っかる感じでいっちゃえー! これ、ある意味昨日の実況外のプレイの時に飲んでてよかった気がする!


「このお茶に関してはサツキさん経由で話があった、宣伝になります! あ、でも、昨日のはサツキさんが完全にその事を忘れ切ってた、ただの事故なので気にしないでください!」


 昨日の件については、ちゃんと言っておかなきゃねー! あれは私が頼まれた宣伝とはまるで無関係な流れで出てきたものだもん! その犯人は姉さんです!


いなり寿司 : 提供が皐月堂って事は、前のお煎餅のとこか。

神奈月 : あの時もサツキさんが持ってきてたんだよな?

ミナト : サツキさん経由って言ってるし、前のお煎餅で売り上げが良かったのかな? まぁ私も買っちゃったし。

ミツルギ : 俺も買ったなー。あれは普通に美味かった。

金金金 : いやー、煎餅を専門店で買ったのは初めてだったが、その辺の量販品とは質が違うな!

真実とは何か : 美味い、それが真実!

ヤツメウナギ : そういうコメントが続くと、どういう物か食べたくなってくる。

水無月 : その気持ち、分かる!


「わわっ!? 意外と買ってた人がいましたよ!?」


 思った以上にあの時に買ってた人はいるんだー!? 確かに宣伝効果自体はあったっぽいね! なるほど、こうして実際に効果があったという声を聞くと納得!

 あのお煎餅は姉さんが送ってきたのがまだ残ってるから、水無月さんに明日学校で渡してみよっかな? 折角だから、味わってもらいたいもんね!


イガイガ : 米菓専門店が扱うお茶かー。これ、飲食スペースがあったりする店?

サツキ : うん、そんなに広くはないけどあるよー! 焼きたてのお煎餅がまた美味しくてねー!


「そうなんです!? ……今度、実際に行ってみたいですね」


 あ、意識せずにズズッとお茶を飲んでた! ふぅ、やっぱり安心する味だねー。そういえば、販売前ってなってたけど、いつから販売なんだろ?

 別に配信でホームページは見せて良いとは聞いてたから、配信のカメラを私の目に移して開いちゃえ! えーと、ホームページを見るやつは何もログイン状態にはなってないし、余計な物は映ってないね。うん、大丈夫!


「えーと、飲食スペースは6人までとなってますね! このお茶は、8月から店頭販売を開始、通販も可能となっています! 私が飲んでる試食……じゃなかった! 試飲データも配布中みたいなので、興味がある方はどうぞ!」


 宣伝なんだから、この辺はしっかりと伝えていこー! そういえばこのお店はどこに……あー、姉さんが今住んでるマンションから結構近いんだ! 


 まぁよく考えたら、そうだよねー! というか、姉さんが住んでるのって割と都会の方なんだけど……何気に好立地のお店なのでは!? 姉さんが私の住んでる所から離れて仕事場兼住居を用意したのって、そっちの方が利便性が色々良かったからだよね?


ミナト : ありゃ? 前はお店の位置まで確認せずに通販にしちゃったけど、普通にお店に行ける距離だね。サツキさん、もしかして割とご近所さんだったりする?

サツキ : ミナトさんとは実はご近所!?

水無月 : ……えっと、住所的なのは出しても大丈夫なの?

ミナト : あはは、大丈夫、大丈夫! 都会の方だから、これくらいで家を特定は出来ないよー!

富岳 : あー、確かにこの店の住所だけじゃある程度の範囲は絞れても、あくまでそこまでだな。

ミナト : そういう事!


 わー! ミナトさんと姉さんが意外と近くに住んでる可能性ってあるんだねー! まぁ水無月さんが同じ高校の同級生だったんだし、そういう偶然はあってもおかしくない! でも、リアルの姿に繋げる情報がなければ分かんないはず!


「という事で、皐月堂さんのご提供のお茶のご紹介でした! 好き勝手に言っていいとは言われてるんですけど……ふぅ、やっぱりこの味、落ち着きますね」


 気の利いたグルメレポートなんてのは出来ないけど、私の率直な感想はこれしかないのですよ! どこかほっとする、そんな味のお茶! あ、カメラの映す位置は戻しておこうっと。


金金金 : ほんわかとお茶を飲む狐っ娘アバターを見てると、なんだか和む。

咲夜 : こんばんは! 状況がよく分からんけど、その感想には同意!

神奈月 : ほのぼの空間だなー。というか、昨日はマグカップだったけど、今日は湯飲みなんだな?

ミツルギ : あ、そういやそうだな?


「ふっふっふ、この湯飲みは今日の午前中に作ったものですね! 結構な自信作なんですけど、どうですかねー?」


 よりリアルな質感の出し方も姉さんに教わったから、今までの感覚で作ってた時よりもかなり出来はいいもんね! 今までの机や畳とかも、一回作り直したくなっちゃったもん!

 あ、これの作り方って床の間に置くつもりの小物の壺にもそのまま反映させられそう! チラッと考えてた風鈴とかも出来そうかも?


富岳 : 確かにかなり出来はいいな。

水無月 : 凄い良い出来だと思う!

ミナト : やるね、サクラちゃん!

金金金 : これは普通に売り物であったとしてもおかしくないな!

咲夜 : あー、サクラちゃんはそういう評価は……。


「あはは、売り物になると言われると嬉しいですねー! さてとそろそろ18時ですし、モンエボのプレイを始めていきましょうか! あ、サイコロタイムでお茶を飲むかもしれないので、その時はよろしくお願いします!」


 ふふーん、これまではお世辞としか捉えてなかった部分だけど、そうじゃないと分かった今なら素直に嬉しいもんだね!


ミツルギ : ……なんか反応が変わった?

イガイガ : 何事!?

金金金 : これまでは過剰過ぎる謙遜があったのに……今のはそれが無かったな?

咲夜 : 何があった!?

ミナト : 何か心境の変化でもあったのかも?


 なんか皆さんに驚かれてるんだけど!? まぁ今までの私の反応とは全然違うんだから、そうなるよねー! とはいえ、事情も説明しにくいから、申し訳ないけどその辺の内容はスルーで!

 という事で、その辺は置いておいて……今日の配信も頑張っていこー! 森林深部エリアの探索開始だー!

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