第350話 凝縮した威力


 ふふーん、『弱点分析』がどういう風に表示されるのかは分かった! このカタツムリの弱点は『俊敏』と『器用』!


「ふっふっふ、これは遠距離で仕留めろという事ですね! それなら『衝撃凝縮』の出番です!」


 まだどんな性能なのかは正直分かってないんだけど、やってみれば分かる! 多分!

 それで分からなかったら、教えてくれる人もいるのですよ! えーと、獅子咆哮と獅哮衝波のどっちでやろうかなー?


富岳 : 確かに試すなら丁度いい機会か。

イガイガ : 『俊敏』と『器用』が弱点とか、遠距離から攻撃してくれって言ってるようなもんだしな。

金金金 : でも、それってカウンターは大丈夫なのか?


「はっ!? 確かに、堅牢系統だとそれがあるんでした!? これ、攻撃しても大丈夫ですかねー?」


 うがー! カウンター攻撃がある事をすっかり忘れてたー!? むぅ……その辺が地味に堅牢系統の厄介なとこかも?


ミツルギ : あー、今は交戦状態になってないから大丈夫だぞ。

ミナト : そだねー。えっと、この辺の大丈夫な時の見分け方のコツは教えとこうかー?

神楽 : おっ、そういう見分け方ってあるんだ。

G : ネタバレと言えばネタバレだけど、小技の類だなー。

ミツルギ : ゲーム内で教えてくれる情報じゃなくて、自分で観察して見つけろってタイプの情報だ。

サツキ : そんなのあったんだ!? 聞くかどうかは、サクラちゃん次第だね!


「そんなのあるんです!? うーん、どうしましょう?」


 確かにそこは姉さんの言う通り、私が聞くかどうか次第だもんね。今の状況的に交戦状態にはなってないのは、まぁそうだよね?

 それを明確に見分ける手段があるなら、知っておきたいかも! ネタバレ案件ではあるみたいだけど、内容的に私が自分で気付く以外の方法はないみたいだし……今の状態で観察すれば、分かるのかなー? うーん、どこがどうなってれば分かるの? うぅ、交戦状態かどうかはマップが解放出来てたらすぐに分かるのに!


金金金 : 悩み顔になり始めた狐っ娘アバター! さて、どういう決断になるのか。

いなり寿司 : 聞くか、聞かないか、考え中か。

咲夜 : 俺は聞く事をおススメする! 自分が悩んだとこだし!

ヤツメウナギ : 自分でプレイしてた時には気付かなかったけど、後から攻略サイトを見て知る事ってあるよなー。

水無月 : そういうタイプの内容なんだね!?


「むぅ……自分で確認してみたかったけど、さっぱり分かりません! その情報、教えてもらってもいいですかねー?」


 自分だけで悩み続けても分かる気がしないから、ここはもう素直に聞いちゃおう! こういう内容なら、まぁネタバレ案件でも問題なーし!


ミツルギ : おうよー。まぁ交戦状態に入ってなければ……正しくは、何とも戦っていなければ、カウンターを心配する必要はないぞ。

ミナト : 今みたいにマップが解放されてない状況でなら、相手が動くかどうかが重要になってくるよー。少しでも移動する様子があったら、カウンターは発動してないね。


「あ、凄いシンプルなんですね!? という事は……ゆっくりですけど、今は動いてるカタツムリは攻撃しても大丈夫そうです!」


 もっと何かややこしい条件とかありそうな気がしてたけど、全然そんな事はなかった! ビックリするくらい、見たままだったー!?


G : シンプル過ぎて、逆に見落とす部分だったりするんだよな。

咲夜 : そうそう。初めの頃は、必要以上にカウンターを警戒したりしてさー!

こんにゃく : 堅牢系統は硬くて倒すのに時間がかかるし、その間にカウンターが発動する事が増えてくるから、どうしても避けたくなるんだよな。その辺が分かってない時って。

チャガ : 意外とよくある話なんだよ、これ。


「そうなんです!? あ、でも確かになんか分かる気はします!」


 要は、倒しにくい敵は避けたくなるって話だよね! さっきはカウンターを受ける可能性がすっぽ抜けてたけど、その辺を考えたら分かる話! でも、交戦状態に入ってなければそこはただの杞憂なんだね!


「とりあえず状況は把握です! だったら、最大威力で一気に仕留めるのが良さそうですね!」


 ふっふっふ、そういう事なら少し時間はかかるけど、あれの出番! ……まぁ長過ぎたら、途中で使ってもいいよね!


「『獅哮衝波』の出番です! あ、ここで『衝撃凝縮』を使うかどうかの確認が出るんですか!? えっと、とりあえずお試しで使ってみましょう!」


 元々そういうつもりでいたんだし、どういう風になるのかお試しなのですよ! ふふーん、これでどうなるんだろ? あ、溜めが開始になったと同時に……何か出た?


「凝縮率ってなんです……? それにこの半透明な白い表示はなんです?」


 なんか視界に今まで存在してなかったゲージやら、変な半透明な白い太いラインが出てきたー!? え、このゲージってなーに? 

 白い半透明なのは……もしかして、獅哮衝波の進む方向? 真正面に長く伸びてるし、これが『戦意の把握』の効果の一部?


ミツルギ : 実際に使ってみた方が早いんだけど……この辺は口を出すべき?

富岳 : 悩ましいとこだな……。

ミナト : うーん、まぁこれだけは言っておいた方がいいかな? 凝縮率0%だと、通常の発動との差はほぼ無いからねー!

ミツルギ : あー、確かにそこだけは言っとくべきとこだな。


「0%では使っても意味ないって事なんですね! うーん、まぁよく分からないですけど、聞かずにやってみます! えっと、0%で変わらないなら、100%なら思いっきり変わりそうですね!」


 ふふーん、そういう事なら100%でやるのですよ! どういう効果なのかは分からないままだけど……って、あれー!? なんか半透明の白いラインが凄く短くなった!? 結構先の方にあった端が見やすい位置まで来たよ!?


「あのー、これってもしかして獅哮衝波の射程が短くなってます?」


ミツルギ : 正解だ、サクラちゃん!

いなり寿司 : 『獅哮衝波』の場合だと、射程を縮める代わりに威力強化だな。

咲夜 : 『戦意の把握』で射程が見えるようになるからこそ、分かる部分だぞ!

こんにゃく : まぁ前提として絶対に取るスキルだけどな。


「あはは、まぁそれはそうですね! という事は、2段階目の溜めや、3段階目の溜めの長い射程も……威力に変えられたりするんです?」


 溜めの段階の違いで効果そのものが変わるって事はないんだろうけど、どの程度まで変わるんだろ? 3段階目までの溜めだと射程があり過ぎて使いにくかったけど、それが見える範囲まで抑えられるなら……使いやすくなりそう!


ミナト : かなり短くはなるけど……まぁ今は使うのはおススメはしないくらいだねー!

富岳 : 凝縮するにも、流石に限度があるからな。

ミツルギ : 本質的に、遠距離用なのは変わらんぞー。まぁその辺はマップを解放してからの方が早いんだが……。


「あ、それもそうですね。んー、それなら1段階目の溜めが終わった時点でちょっと使ってみましょう!」


 1段階目までの溜めならそんなに時間はかからないし、今の時点でも凝縮した事で威力は上がってるはず! ふっふっふ、この頑強なカタツムリ相手にどれだけのダメージを与えられるかが楽しみだね!


金金金 : そうしている間に、1段階目の溜めが終わった。

サツキ : やっちゃえ、サクラちゃん!


「はーい! それじゃ獅哮衝波、発射です!」


 ふふーん、これまでは正確な効果範囲が分からなかったけど、今は明確に半透明な白いラインが目印になってるから狙いやすい! いっけー! どのくらいのHPが削れるかなー? って、えー!?


「……あの、堅牢系統の『頑強な』ですよね? なんで、今ので9割も削れてるんです? というか、カタツムリが吹っ飛びすぎじゃないですかねー!?」


 予想以上に威力があるんですけどー!? 見失ってはいないけど、カタツムリ自体もかなり吹っ飛ばされちゃってる!?


G : サクラちゃん、1つ重要な事を言っておこう。今の効果は、第12段階のスキルのものだぞ?

咲夜 : まぁ当たり前といえば、当たり前な話。


「はっ!? 今の時点じゃ、この辺の敵相手よりもかなり格上なスキルになりますよねー!?」


 その辺、全然考えてなかったー!? そっか、そうだよね。姉さんのサプライズプレゼントを貰ったからこそある進化ポイントで解放したスキルだもん。むしろ、これくらいの威力があってくれなければ困るよね!


「そういう事なら、どんどんぶっ倒していきましょう! 今の私は強いのです! 『放電』! って、ぎゃー!?」


 うがー! 吹っ飛んだカタツムリに放電をしたら、カウンターで私に向かって吹っ飛んできたー!? うぅ……直撃して、HPが3割くらいも削られたよ!?


金金金 : 調子に乗って、手痛い反撃を食らうサクラちゃんであった。

チャガ : 遠距離には強くなったが、打たれ弱いのは解消してないしな。

咲夜 : というか、今のは完全にカウンターの事を忘れてたよなー!?

真実とは何か : それが真実である!


「……否定する言葉が見つかりません!?」


 今のは流石に調子に乗ってましたー! うぅ、遠距離攻撃は強くなっても、やっぱり堅牢はどうにかしないと! でも、その前にこのカタツムリの始末が先なのですよ!

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