第343話 邪魔な敵の排除から


 成熟体からの進化の名前を種類自体は確認したから、ちょっと整理して考えたい! 考えたいけども、今は襲い掛かってきてる『雄健なイタチ』の相手が最優先! このイタチ、屈強系統の進化だよね!


「わっ!? このイタチの攻撃を下手に受けたら、あっという間に死にますね!? 『放電』『放電』『放電』!」


 飛びかかってひっかいてきたけど、飛び退いて回避! 凶悪な攻撃の威力がある屈強系統とは、近接では戦わないのが正解だよねー! ともかく距離を取って、ひたすら放電あるのみですよ!


ミツルギ : なんだかんだで、見切りは役に立ってるんだな。

富岳 : まだ回避行動が大き過ぎるとこではあるが、屈強系統の場合はその方がいいか。


「え? そうなんです? わわっ! 『放電』『放電』!」


 距離を取っても、すぐに詰めてくるんだから油断ならないよー! うがー! 回避した後に放電すればちゃんとHPが削れてるのはいいけど、近付けないのは痛い!


いなり寿司 : 近接攻撃がメインの場合は、すぐに次の攻撃が届く距離の事も多いからなー。

咲夜 : そうそう! 噛みつきを回避したら、そのまま爪でやられるとかなー!

金金金 : あー、まぁ当たり前と言えば当たり前の話か。

ミナト : どうしても近距離だと、遠距離よりはその手の狙いが早くなるからね。まぁ敵に限らず、プレイヤーのサクラちゃんにも言える事だよー!

神奈月 : 実際、ちょいちょいやってるしな。爪撃から連爪への連続攻撃とか、体当たりからの強牙とか。

サツキ : 要はコンボって事!


「あ、なるほど! 確かに躱されてもコンボは出来ますもんね! わっ!? わわっ!? 言ってたとこから、体当たりから爪でひっかいてきたんですけど!?」


 そこで実演をしてくれなくてもいいよ!? うぅ、タイミング的に放電し損ねたー! むぅ……こうなったら、咆哮で動きを止めてしまうのもありかなー? でもHPはもう半分以上は削れてるし、それはなんか勿体ない気がする!


「むぅ……縄張りを使いたくなりますけど、流石に今はまだ無理ですかねー?」


イガイガ : それは……うん。間違いなく止めといた方がいい。

ミツルギ : 断言できる。間違いなく死ぬと!

G : 死ぬまでに何体倒せるかってとこだなー。

ヤツメウナギ : それはそれでありじゃね? サクラちゃんが死ぬの、いつもの事だし。

咲夜 : それは確かに。あ、でも1体も倒せないという可能性も!?

チャガ : ……可能性は0ではないからな。


「なんだか失礼な事を言われてるような気はするのは気のせいですかねー!? 流石に死にたくないので、やりませんけど! わわっ!?」


 ぐぬぬ、このイタチめ! ちょいちょい体当たりを混ぜて距離を一気に詰めてくるのは止めてくれないですかねー!? 何度距離を取っても、すぐにこうやって距離を埋められるのは面倒!


サツキ : サクラちゃん、回避に専念するなら、その間に放電を溜めとくのはー?


「はっ!? 確かにそういえばそうですね!? わっ! 『放電』! そうしますね!」


 うがー! 放電を溜めながら回避してればよかったのに、なんでそんな事も忘れてたの!? 姉さん、アドバイスをありがとう!

 そして、放電を溜めながら、回避、回避、回避ー! うん、屈強系統の敵相手にはこれでいこう! 凶悪な攻撃には近付かないのが1番! あ、だったらこれも良いかも!


「更にここからこれでいきましょう! 『疾走』!」


 ふっふっふ、これで……って、発動しないー!? え、なんでー!?


ミツルギ : サクラちゃん、疾走と攻撃用スキルは併用出来ないから……。

いなり寿司 : ど忘れしてたか?


「……あはは、冗談に決まってるじゃないですかー! やだなー!」


 うん、完全に忘れ去ってた! なんか知らないけど、使えるようになってる気がしてたー!? むぅ……なんでそんな勘違いをしたんだろ? って、今はそんな事を気にしてる場合じゃなーい!


「あんまり溜めすぎたら再使用時間も伸びますから、一度撃ちます! 放電、発射!」


 これで死んでくれるか、麻痺してくれたら嬉しいんだけど……流石にそうもいかないねー。でも残りHPは1割ちょっと! もう少しで倒せるもんね!


サツキ : サクラちゃん、あと少しだよー!

G : こうして見ると、なんだかんだで器用がかなり高くなってるから、遠距離攻撃の威力は大したもんだよな。

ミツルギ : まぁ器用系統の得意分野だし、当然と言えば当然だけどなー。

ミナト : んー、でももう少し溜めて、今ので倒し切った方が良かったかも? 微妙にHPが残った状態で再使用時間に入っちゃったし……。


「むぅ……やらかしましたね……。溜めのタイミングが任意なので、その辺の威力の加減が難しいです!」


 成熟体へ進化して間もないって事もあって、その辺の匙加減が今まで以上によく分かんない! その辺の変化した感覚、ちゃんと把握していくのが課題だね!


「まぁいいです! 再使用時間が過ぎるまでは走ってましょう! 『疾走』!」


 ふふーん! このイタチからの攻撃は、最初の不意打ち以外は受けてないもんね! 疾走で速度を上げたら、攻撃なんて届くはずもないのさー!


いなり寿司 : 走って時間稼ぎはいいけど、他の敵を忘れるなよー!


「そこは要注意ですね! おっと、『聡明なヘビ』は危険そうなので迂回です!」


 戦闘中という事を除いても、知恵系統の敵とはあんまり戦いたくないかも。看破で見えてるんだから、交戦状態に入る前に距離を取って戦闘回避!


「あ、見切りが切れました!? むぅ……まぁ今の戦闘中なら大丈夫ですね!」


咲夜 : そうして油断していると、さっきみたいに下からドンっと!

G : 無いとは言えない可能性。


「それ、見切りじゃ見えてない攻撃だから、あんまり関係なくないですかねー!? って、わわっ!? え、今なんか、目の前を通り過ぎて……あ、『迅速なバッタ』です?」


 ふぅ、ただバッタが目の前を横切って逃げていっただけみたい? あ、慌ててたから、疾走を止めちゃったみたい。むぅ、まだ止まるつもりはなかったのに、邪魔するんじゃないですよ、バッタ!


「まぁ敵の追加になった訳でもないので、なんとか――」


咲夜 : あ、嫌な予感。

サツキ : サクラちゃん、イタチから目を放しちゃ駄目!


「え? ぐふっ!? ぎゃー!?」


 待って、待って、待って!? なんか前脚の横から衝撃を受けて、バランスを崩したと思ったら、イタチが脚に噛みついてきてる!? わわっ!? 今のでHPが半分を切ったし、噛みつかれてから更にどんどん減っていってる!?


ミツルギ : 油断大敵だな。放電は……再使用まであと少しかかるか。

いなり寿司 : ヘビを迂回して地味に距離が近付いてたタイミングでの急停止だったし、1番注意するべきタイミングだったな。

こんにゃく : なんとか乗り切れ!


「もう勿体ないとか思ってる場合じゃないです! 『咆哮』!」


 このまま噛みつかれ続けたら、間違いなく死ぬもん! ここは殺される前に殺すしかない! うん、ちゃんと萎縮になってくれた! ふっふっふ、これで私の勝ちですよ!


「よくもやってくれましたね! これでトドメです! 『強牙』!」


 って、あれー!? 微妙にほんの少し残っちゃった!? うぅ、最初こそ不意打ちだったけど、その後は順調だったのに、最後の最後でこれは酷い!


「今度こそトドメです! 『体当たり』!」


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv2に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


 ふっふっふ、間抜けな事をしてしまったような気はしなくもないけど、それは気にしなーい! そんなのを気にし過ぎたら、先には進めないのですよ! そんな事よりも今はこっちが大事!


「上がりそうな気はしてましたけど、Lvアップでの進化ポイントの入手量も増えてますねー! これはありがたいです!」


 ふふーん、未成体の時はLvが上がった時は3貰えてたけど、成熟体からは4に増加! 撃破時に貰える進化ポイントも増えてるから、嬉しいとこだねー!


サツキ : この調子で、どんどん進化ポイントを溜めていこー!

咲夜 : マップの解放も忘れずにだぞ!


「そうですねー! ともかく今は、マップの解放と『弱点分析』の解放を目指します! あ、でもその前に敵の成熟体の名前の整理をしてもいいですかねー?」


 バラバラに遭遇してるし、そもそも進化したてで馴染んでないから整理しないを訳が分からなくなりそうだもん! それをしようと思ったのに、さっきのイタチが邪魔だったもん!


ミナト : 回復は必要そうだし、それで問題ないよー!

ミツルギ : まぁ最後ので、かなり生命も減ってるもんな。

富岳 : 周囲には気を付けて、回復しとけー。


「はい、そうしますねー!」


 言われてみれば、今の私のHPは2割くらいまで減ってるよ!? 敵の名前の整理の前に、そもそも動くにも動けない状態だったー! うん、とりあえずゴロンと転がって、HPの回復からだね!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る