第286話 次に進む方向は


「早く、湧き水ー! このままじゃ死んじゃいます!?」


 思いっきり危険水準になってきてるライオンのHPをすぐに回復しないと! ぎゃー! 出血でどんどんHPが減っていくー! 急げ、急げ、急げー!


「ぷはっ! 間に合いました!」


 はぁ……焦ったー! もう死ぬ寸前だった……。湧き水がすぐ傍にあって、本当に良かった! 水の中だけど、ホッとしたし少し気を抜いて浸かってもいいや。


咲夜 : ギリギリセーフ!

サツキ : サクラちゃん、危なかったね!?

いなり寿司 : 湧き水が傍にあってよかったな!


「はい、本当に助かりました!」


 この湧き水が無かったら、今さっきのでまた死んでたよ! 別にランダムリスポーンでも良かったんだろうけど、エリアボスに勝った後はちゃんと生き残りたいもん!


ミツルギ : お疲れさん、サクラちゃん。

イガイガ : ボス戦、お疲れ! って、気付けば結構な時間だな?

水無月 : お疲れさまー! あ、ホントだね!


「そういえば全然時間を見てなかった気が……って、いつの間にか残り10分ちょっとしかないじゃないですか!?」


 ぎゃー!? 思った以上に時間が経ってたー!? え、残り10分ちょっとって殆ど出来る事がない気がするよ!? この辺ってマップの中央に近いのに、踏破も出来てないよ!?


「エリア端まで行けそうにないですね、この残り時間じゃ……」


 うぅ、完全に時間を見るのを忘れてて、時間配分を間違えたー! そこはちゃんと確認しようよ、私! 配信時間の把握は大事だよ!


金金金 : 動揺しまくる狐っ娘アバターである。

神奈月 : まぁエリアボスは倒したんだし、今回はそれで良いんじゃね?

ミナト : そだねー! サクラちゃん、今日も実況外でのプレイはやるんでしょ? 他のエリアまで進むのはそっちで良いんじゃない?

いなり寿司 : あー、まぁ踏破はそっちでやってしまえばいい話か。

こんにゃく : 確かにそりゃそうだ。

富岳 : その道中で進化ポイント稼ぎもすりゃいいんじゃねぇか? なんだかんだで、このエリアの最大Lvまでは上がったんだしな。


「あ、はい! 言われてみればそれもそうですね!」


 ふふーん、そうだよねー! エリアボスのタカがLv22で、私もLv22になったもん! このエリアでは最高Lvになったのですよ! ……あのタカによく勝てたね? まぁ1回死んだから、勝てたのは『再誕の道標』のおかげ!


「……そういえば、こんな中央付近になんでエリアボスがいたんです?」


 ここ、ちょっと気になったとこなんだよね? なんでこんな位置にエリアボスがいたんだろ? もっと先にいるもんだとばっかり思ってたんだけど……。


ミツルギ : 別にエリアボスは、どの辺に出てくるかってのは決まってないぞ。まぁLvの高めの方に出やすいって傾向はあるけどな。

富岳 : あくまで傾向だから、出てくる時はそれこそエリア切り替えをした目の前に出てくる事もある。

咲夜 : あー、初めてそのパターンに遭遇した時は……うん、びっくりしたわ。

サツキ : 何事!?ってびっくりするよねー!

金金金 : ほほう、そういう事もあるのか。それこそ、何も知らないサクラちゃんの反応を見たかったとこだが……。

咲夜 : あっ!

サツキ : あー!?

いなり寿司 : あーあ、折角の面白い反応を見るチャンスを潰しちゃったよ。

ヤツメウナギ : 確かにそう言われると、見たかったとこではあるな……。

こんにゃく : それは確かに……。


「皆さん、私にどういう反応を期待しているんですかねー!? まぁ理由は分かりましたけども!」


 Lvが高くなってくる所でしか出てこないっていうのは、単なる私の思い込みだったって事だよね! なんか地味にエリア切り替え早々に出くわすって情報も聞けたし、変に驚かなくて済むよ!


サツキ : まぁ、そこは置いていこー! それで残り時間は少ないけど、どうするのー?


「……なんか誤魔化そうとしてる感じもしますけど、まぁ時間も時間ですからスルーします! うーん、どうしましょう? まだ距離はありますけど、次のエリアへ向けて移動ですかねー?」


 途中で終わる事になるとは思うけど、この際それは仕方ないかな? 別に実況外のプレイでやっても良いって話も出てたし、ある程度は進化ポイントも溜めておきたいしね。でも、どの方向に進もうかなー?


「あ、だったらこうしましょうか! 今日はまだやってなかった気がしますし、次に向かうエリアをサイコロで決めちゃいましょう!」


 うん、これなら配信の〆をするまでの時間でも出来る範囲! 実況外のプレイでは、これで決まった方へ進みながら進化ポイント稼ぎをすればいいのですよ! ふっふっふ、これならいける!


咲夜 : お、今日は無しかと思ったけどそうでもなかった!

サツキ : サイコロタイムの開始だよー!

水無月 : どうなるのかなー!?


「それじゃ一旦、和室の方へ切り替えますねー!」


 という事で、モンエボの操作から配信用の和室へと切り替え! ふふーん、折角サイコロ用の笊を作ったんだし、その辺はどんどん活用していかないとねー!

 とりあえず正座してた状態から立ち上がって、箪笥の中からサイコロと笊を持ってきて、再び座って準備完了!


ミツルギ : えーと、ここの『始まりの森林』からなら、北が『渓流エリア』だからこれは除外。東、南、西の3方向には進めるな。

富岳 : 今回は出目が1か2なら東、3か4なら南、5か6なら西でいいか?

いなり寿司 : もう手慣れたもんだなー。サクラちゃんも、視聴者側も。

サツキ : 楽しければそれでいいの!

真実とは何か : それこそ、真実なのである!

ミナト : ゲームは楽しんだもの勝ちだしねー!

チャガ : まぁなんだかんだ言いながらでも、いなり寿司さんも楽しんでるだろ。

いなり寿司 : それはそうだなー。楽しんでなけりゃ、視聴は続けてないわ。

真実とは何か : それもまた真実!


「あはは、楽しんでいただけてるなら何よりですね! さーて、それじゃそんなに時間も残ってないので、サクサク行きましょう! えいや!」


 サイコロで決めるのにそんなに時間はかからないとはいえ、これが終わったらもう〆に入った方が良さそうな時間になってきてるもんね!

 という事で、笊の中にサイコロを放り込んで、振ってから机の上に置く! カランカランと音がして、音が止まった! ここで笊を持ち上げる!


「さーて、出目は何になりましたかねー? おぉ、今回は1ですね! という事は、今回の進出先は東です!」


 いぇーい! 東へ進んでいくので決定なのですよ! VR空間の和室での用は済んだから、手早くモンエボの方へ戻そう!

 ここの東のエリアはどんな場所かなー? 今から行くのが楽しみ! 走りやすいエリアだといいなー? そういえば次のエリアでは夜になるタイミングになりそうだし、そういう意味でも動きやすいエリアだと嬉しいね!


イガイガ : ここから東だと……あぁ、あそこか。

咲夜 : 言うなよ!? どんなエリアかは言うなよ!?

イガイガ : 言わねぇよ!

G : 咲夜さんじゃないんだからなー。

ミナト : あ、サクラちゃん、少しだけ位置関係の話をしてもいい? ほんの少しネタバレにはなっちゃうんだけど。

富岳 : あぁ、なるほど。それは話しといた方が良いかもな。


「ネタバレというよりは、知っておいた方が良いって感じの内容っぽいですね? 位置関係って事は……あ、もしかしてどこか今までのエリアと繋がってるエリアだったりするんです?」


 ここから東だと……えーと、湿原エリアからここまではずっと南に来てて、その前の方向は丘陵エリアが東側になるのかな? あ、そういう事! あそこは広いから、この可能性は充分あるはず!


「次に行くエリアって、もしかして北側が丘陵エリアに繋がってたりします!?」


ミナト : サクラちゃん、大正解! まぁ今言う必要もないんだけど、知っておいた方が後々やりやすいだろうからねー!

金金金 : あぁ、そういう風に繋がってるのか。というか、丘陵エリアの北から南までって、湿原エリアと渓流エリアの2エリア分あるって事か!

ミツルギ : そうなるなー。だから、渓流エリアで東側に切り拓いた場合は丘陵エリアに辿り着くぞ。


「あ、そうだったんですか!」


 渓流エリアで切り拓く先は西側か南側のどっちかの2択になってたけど、そういう可能性もあるにはあったんだね! まぁそこは済んだ事だし別にいいかな? それに今は獅哮衝波があるから、切り拓くのは遥かに簡単だもん!

 ふっふっふ、何気に丘陵エリアに繋がってるというのが分かったのは良い情報だしね! 場合によっては次のエリアから丘陵エリアに戻って進化ポイントの乱獲もありなはず! まぁ早くてもそれは明日の話だし、もう時間も無いから今日の配信の〆をやっちゃおうっと!

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