第285話 エリアボスのタカ
うがー! 真上から首に爪を立てられてるけど、これはどうすればいいの!? 感覚的にそうなってるだろうって予想だけで、実際には見えてないし!
「とにかく離れてください! 『放電』『放電』『放電』!」
うぅ、タカの姿が見えないから、触れてる部分から直接放電で電気を流していくしかないよ! ぎゃー!? もう残りHPが4割を切ってるんですけどー!? 劇的に威力が高い訳じゃないけど、この攻撃は厄介過ぎる!
サツキ : サクラちゃんが大ピンチだー!?
金金金 : 完全に死角を取られたらキツイだろうなー。
ミツルギ : これはサクラちゃんの『噛みつき』に相当する、タカの『タカの爪』だな。
水無月 : さっきも思ったんだけど、なんで『タカ』が付いてるの?
咲夜 : タカは大体そういうスキル! 他の種族での『索敵』が、ほぼ性能変わらずに『タカの目』とかになってるし。
こんにゃく : 『威嚇』が『タカの眼光』とかにもなってたか。まぁちょいちょいある開発の妙な遊び心の部分だな。
「話の内容的には色々と気になるんですけど、その前にこの状態をどうにかする手段ってありませんかねー!? 『放電』『放電』『放電』!」
振り落とそうと滅茶苦茶に暴れながら放電を繰り返してるけど、引き剥がせない! うがー! あっ、私の噛みつきに相当するって事は、スキルの発動が終わらないとタカ自身も離せないの!? だったら、こうだー!
「えいや!」
湖に飛び込んで、水深は浅くても口さえ浸かってしまえば可能性はある! いる場所は分かってるんだから、多少強引でもいけるはず!
咲夜 : 湖に飛び込んだ!?
いなり寿司 : 何故そこで仰向けになる……?
サツキ : あー! 寝っ転がってタカを押し潰してる!?
ミナト : あ、そっか。良い手段を考えたね、サクラちゃん!
ふっふっふ、狙うべきはタカの窒息! 直接見えてないから上手くいくかちょっと不安なんだけど、HPと状態異常の情報は戦闘中なら敵が視界に入ってなくても出てくるからそれで確認!
「やった、窒息になりました! そのまま暴れまくるといいですよ!」
いぇーい! 作戦、大成功! ふっふっふ、出血と窒息の両方でタカのHPが猛烈な勢いで減っていってるよ! このまま押し潰して、一気に仕留めちゃえ!
ヤツメウナギ : おぉ、中々にえげつない攻撃だ。
富岳 : ボスとはいえ、窒息には耐性は持ってないからな。このまま死ぬまで抑えきれるなら、良い手だ。
神奈月 : それほど甘くもなさそうだけどなー。
「……あれ? なんだか妙に大人しくなりましたけど……って、まさか!?」
妙に敵が大人しくなった時は、溜め攻撃の兆候! 出血でのHPの減りは鈍ったし……あー!? 窒息も解除になっちゃってる!? ぐぬぬ、やっぱり正確に位置が見えてない状態で今のは強引だった?
「もう少しHPを削りたかったですけど、一旦退避です!」
咆哮の再使用時間は……うん、もう過ぎてる! 一度距離を取って、ちゃんとタカを視認してから、溜めは潰すのですよ! 私のライオンの残りHPはもう3割もないし、萎縮にしてその間にちょっと回復させないと!
名無しのカカシ : あー、脱出されちまったか。
サツキ : あのまま潰されててくれたらよかったのにねー。サクラちゃん、あと少しだから頑張れー!
「はい! とにかくこれで、そのため攻撃は潰します! 『咆哮』! って、躱されました!?」
え、ちょっと待って!? 今の状態って溜めてたんじゃないの!? なんで今の咆哮を受ける前に、上空へ一気に飛び上がったの!? ここにきて、遠距離戦へと切り替え?
いなり寿司 : ちっ、このタイミングでそういう回避をするって事はあれか!
ミツルギ : サクラちゃん、それはヤバいやつだ!
ミナト : この位置なら湧き水で全快を……あ、もう遅い?
「ぎゃー!? ぐふっ!」
<サクラ【巧みなライオン【雷】】が死亡しました>
<死亡した為、リスポーンとなります。リスポーンの手段を選んでください>
初めの溜め攻撃と同じような挙動で突っ込んできたタカに、爪で切り裂かれて死んだ……。うぅ、折角残り1割半くらいまで弱らせたのに死んだよー!
水無月 : あれ? 今までとなんか違う?
金金金 : そうみたいだな?
あれ? 確かに今までと何か違うよ? 10秒からカウントダウンが始まって、今はもう残り6秒……? あ、これってさっき設置した『再誕の道標』をリスポーン場所として選べるんだ! だったら、選ぶのはこれしかないよね!
<『始まりの森林』でリスポーンします>
残り時間1秒だったけど、大急ぎでリスポーンは成功! 『再誕の道標』を設置した場所から、リスポーン完了! 湖の中を歩いて湧き水を飲みに来てるタカの前に立ち塞がるのさー!
「湧き水は飲ませはしませんよ! 『放電』『放電』『放電』!」
ふっふっふ、まさか私がこんな近くで復活してくるとは思ってないみたいで、タカは無防備! ゲームの敵だから考えてはいないと思うけど! 私もこんなに早くに役立つ時は来るとは思ってなかったからびっくりだけども!
慌ててタカが飛び立ったから放電は当たらなかったけど、湧き水を飲むのは阻止出来たのは充分な成果! そして何よりも、リスポーンした事で私のHPは全快!
金金金 : あー、なるほど。今までは即座にランダムリスポーンだったけど、『再誕の道標』があれば10秒間の猶予時間が発生するんだな。その間でなら、今みたいにリスポーン出来る訳か。
ミナト : そういう事になるねー! まぁ今みたいに同じ戦闘へ即座に戻るって事は中々出来ないんだけど。
富岳 : 今回のはラッキーとしか言いようがないな。
「そうみたいですねー! このチャンス、最大限に活かすのみです!」
えっと、えっと、言ってはみたものの実際に活かすにはどうすればいいかな? 看破は死んだから効果は切れた。再使用時間は死んでもリセットされないから、まだ咆哮は使えない。
放電は湖から出ないとタカには届かないけど、今この場所から離れると全快されそうな気がするからなしだよね? ここから届いて、タカに当てられそうな攻撃……。
「あ、これでどうですかねー! 『獅哮衝波』!」
今までの攻撃で、このタカは遠距離攻撃は使ってくる気配はない! もし使われたら……まぁその時考えよう!
ふと思ったけど、さっき私を仕留めたタカの攻撃って多分これと同系統のスキルだよね!? 1段階目までの溜めの間なら移動が出来るから、それで咆哮を避けられたんだ! なら、その攻撃で仕留め返すのみなのですよ!
サツキ : サクラちゃん、仕留めちゃえー!
ミナト : 死角は取られないようにね! 遠距離攻撃はそんなにしてこないタイプみたいだから、さっきみたいに背後さえ取られなければ当てるチャンスはあるよ!
こんにゃく : 湧き水も飲ませるなよー!
富岳 : そう言ってる間に、もう突っ込んできたな。
「みたいですね! わっ!? わわっ!」
湧き水を飲ませたら振り出しに戻っちゃうから、それだけは阻止しないとね! それ以外は溜めが終わるまで回避し続ける!
あっ、くちばしで刺す様に突っ込んできたけど、これは普通に回避したら湧き水の方へ行くやつ! これは避けたら駄目だー!
「ぐっ! どうやったって、湧き水は飲ませませんよ! えいや!」
思いっきりライオンの右前脚の付け根辺りを刺されて、3割くらいHPを削られて、出血にもなったけど、それでも回復は食い止めた! そのまま左前脚でタカを抑え込んで、ついでに羽根にも噛みつく事に成功! このまま強引に動きを封じちゃえ!
うがー! 暴れるなー! くちばしで連続で刺してこないでー! 折角全快したHPが凄まじい勢いで減っていくよ!? タカの方も出血にはなってるのに、私より減り方は鈍い気がする! これってエリアボスでHPが多いから!?
金金金 : 凄い状態での削り合いだな。
咲夜 : すぐ近くには全快出来る湧き水があるというのも、相当やばい。
こんにゃく : これは溜めが間に合うかどうかが勝負の分かれ目か。
サツキ : あ、溜めが終わったねー! やっちゃえ、サクラちゃん!
「はーい! 私の勝ちですよ、タカ! これでトドメです!」
タカの羽根を咥えていたのを離して、至近距離から1段階目まで溜めが終わった獅哮衝波を発射! 残りHP的に過剰な威力な気もするけど、これで私の勝ち確定! この状況からは逃げられないもんね! いっけー!
<未成体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<エリアボスを討伐しました>
<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv21に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを3獲得しました>
<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv22に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを3獲得しました>
「わっ!? 一気にLv2も上がりましたね!」
いつもエリアボスを撃破した時はLvが上がってる気はするけど、今回は私よりLvが高かったから余計に経験値が多かった感じかな? って、HPが2割を切ってるよー!? 大急ぎで湧き水を飲んで回復だー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます