第263話 発動には要注意


 長い……本当に長い、獅哮衝波の再使用時間! まだ使えるようになるまで時間がかかりそうだけど、早く実戦で使いたいー! どう進めるにしても進化ポイントが必要だけど、マップの解放よりもこっちを優先しようかな? そうなると……うん、これはありかな?


「どうせならここで乱戦をやっちゃいましょうかねー?」


 看破の効果時間はまだ残ってるし、今なら雷纏いも使えるもんね! 『獅子咆哮』を使って……って、ぎゃー!? なんか獅子咆哮が発動になっちゃった!?


ミツルギ : あっ!

咲夜 : 獅子咆哮、誤発動ー!?

ミナト : あらら、使おうって考えて誤発動しちゃったかー!

いなり寿司 : 割とありがちなミスだな。

富岳 : まぁ乱戦自体はありだが、そのままやってくか?

サツキ : サクラちゃん、そのままやっちゃえー!


「うぅ、誤発動した以上は仕方ないですよね!? 獅子咆哮の無駄撃ちも嫌なので、このまま乱戦を始めます!」


 むぅ、使う手順を考えていたら誤発動になるのはどうにかならないかなー? 今のはまだ使う予定じゃなかったんだけど……まぁなっちゃったものは仕方ない!

 という事で、意識を切り替えて乱戦の準備を開始! 渓流エリアで森林エリアへの切り替え付近では敵よりLvは高くなってるんだし、やるならここがベスト! Lvが離れすぎてるって程でもないから、それなりに経験値にもなるもんね!


「溜めが早く終わってくれませんかねー?」


 獅哮衝波の2段階目や3段階目に比べると早いけど、それでも獅子咆哮の溜めは決して早い訳じゃないんだよね。まぁその分だけの威力や範囲はあるから、ここは我慢!

 

イガイガ : まぁ誤発動がいきなりぶっ放すものでなくて良かったんじゃね?

神奈月 : それは確かに。

G : いきなりぶっ放して、予定外の奇襲になるよりはマシか。

富岳 : 非戦闘時の誤発動は、それほど変な事にもなりにくいけどな。

チャガ : まぁ戦闘中に比べると、ただの空振りで済む事も多いしな。そもそも攻撃方向の指定の段階で一度止まる。

こんにゃく : 逆に、戦闘中に溜め攻撃の誤発動は痛い。

富岳 : そのパターンが誤発動としては一番厄介なパターンか。


「あ、そうなるんですね!?」


 言われてみれば、確かにそうかも! 溜めでない攻撃スキルは狙いをつける段階があるもんね! でも溜め攻撃はすぐに溜めが発生するから、戦闘中に誤発動は痛い! うん、気を付けよう!


「さてと、そろそろ溜めが終わりますけど、どっちの方向に敵が沢山いますかねー?」


 敵の数に関しては、看破で見えてるだけじゃ分からないもんね。何体か見えてる敵がいるけど、才智はとりあえず見当たらない。でも、見えない位置に才智がいる可能性はあるから、その辺は運次第かな?


G : 敵の多い方向かー。ミナトさん、分かるか?

ミナト : 右側の森の奥の方に、才智のハチがいるねー。移動してて看破の情報が出たり消えたりしてるけど、サクラちゃん、分かる?

水無月 : あ、ホントだー!

富岳 : あの距離なら、獅子咆哮の射程範囲内だな。


「右側に才智のハチですか? えーと、あ、確かにいますね!」


 飛んでて、木に隠れた時に看破の効果範囲から外れてるっぽい。才智のハチってどう考えても、才智のハチとか私のライオンとは相性が悪いやつだー!


咲夜 : 才智のハチがいるなら、近くにあれがあるんじゃね?

水無月 : 何かあるのー?

G : あー、あれか。ネタバレ案件だから、それ以上は無しな。

咲夜 : あ、そういえばそうだった!?

チャガ : ……またか。才智のハチは場合によっては相当厄介だから、乱戦で避けた方がいいな。


「何かあるっぽいですし、とりあえずハチのいる方向は無しで!」


 見えてる才智にわざわざ攻撃する必要はなーし! それに何か他にもあるっぽいし、変に攻撃しない方が良いのかも。うーん、何があるんだろ?

 Lv15の才智のハチだけど、Lv2差は油断していい差じゃないしね! あ、獅子咆哮の溜めが終わったー! えーと、えーと、どの方向にするかがまだ決まってないよ!


「もう正面でいいです! 獅子咆哮、発射!」


 全方向のチェックは出来てないけど、明確に才智が見えてないのならどこでもリスクは変わらないもんね! という事で、真っ正面へいっけー!


「おぉ、流石の破壊力です! さーて、どんな敵がいますかねー?」


 ふっふっふ! 盛大に木々を薙ぎ倒して、拓けた場所が出来上がった! 木々の密度が湿原エリアや渓流エリアほどは無いから、結構良い感じで適度に倒れてくれたよ!

 あえて全然敵が見えない真っ正面に向かって放ってみたけど、どうだろ? 見えてた範囲だと小動物の集団だったんだけど、戦いにくいから避けたんだけど……あ、出てき始めたね。


「えーと、Lv15の強烈なオオカミが2体に、Lv14の堅固なイノシシと……え? 巧みなキツネさんが2体……」


 うそ、なんでこんな時にキツネさんが出てくるの……? Lv15とLv16のキツネさん、他の敵もだけど、もう既に4割くらいは削れてる。イノシシだけは3割も削れてないけど……うぅ、ここで動揺してちゃいけない!


金金金 : 戸惑いの表情を浮かべる狐っ娘アバター。まぁキツネはサクラちゃんのお気に入りだもんな。

ミツルギ : まぁその辺はこだわりがあるみたいだしな。それが2体も出てくるのは……運が悪かったか。

G : 分かる! 分かるぞ、その葛藤!

サツキ : サクラちゃん、無理はしないようにねー!


「……大丈夫です! 倒してでも進むって決めましたもん! 『雷纏い』!」


 Lv15のキツネさんと、Lv16のキツネさん、倒すのは心苦しいけどね……。とにかく敵はこの5体っぽいから、才智は無し! 私の心境部分は別としても、雷纏いで無力化しやすい相手ばかり! まずは全部に麻痺を――


「わわっ!? え、火の球が飛んできましたよ!?」


 えぇ!? 今の火の球の攻撃って、キツネさん!? わっ!? わわっ!? 遠距離から、次々と火の球が飛んでくるよ!? 


「もしかして、これって狐火ですか!? 『身構え』!」


 オオカミとイノシシへの距離を詰めようと思ったら、結構キツネさんからの攻撃が激しい! キツネさんで、遠距離攻撃で、火の球ってなったらこうだよね!


ミツルギ : おう、器用系統で進化してる狐は火が使えるぞー!

水無月 : おぉ、そうなんだ!

金金金 : ほほう、キツネにはそういう要素があるのか。

ミナト : オフライン版にはねー。オンライン版では火属性に統合されちゃったみたいで、固有のものとしては無くなっちゃった部分だけど。

富岳 : なんちゃって魔法の1つだな。操作感覚は放電に近いやつだ。


「おぉ、そうなんですか! これは、自分でキツネさんをやる時の楽しみが増えました!」


 ふっふっふ、まさかキツネさんだと火が使えるようになるとは思ってなかったよ! でも、ここで巧みなキツネさんに会えてよかった! 倒さなきゃいけないけど、それでも狐火が使えるっていうのが分かって、なんか嬉しくなったよ!


「とりあえず攻撃の邪魔です! 『放電』『放電』『放電』!」


 2体のオオカミとイノシシが迫ってきてるし、キツネさん2体は放電で動きを少しでも鈍らせる! ここで攻撃を躊躇するのは、倒すと決めた以上は逆に失礼だもんね!


「キツネさん達は後で! まずはオオカミ2体を麻痺させますよー! 『体当たり』!」


 迫ってきている以上、放置していると危険なだけ! うん、先に噛みつこうと口を開いて飛びかかってきたオオカミへカウンター気味に体当たりして麻痺にした! 爪を振りかぶってきてたオオカミにぶつかったのもありがたいかも!


「とりあえずもう1体のオオカミもこれで! 『爪撃』! わっ!?」


 オオカミを爪で切り裂いたとこにイノシシが突っ込んできて、ジャンプして回避ギリギリだったー!? あ、イノシシにキツネさん達の火の球が直撃してるよ。うん、私、ナイス回避だね!


「イノシシも大人しくしておいてください! 『強牙』!」


 距離を詰めてガブっと噛みついて、イノシシも麻痺させるのに成功! 麻痺させなきゃいけないのは、あとキツネさん2体! 雷纏いの効果時間は長くないから、大急ぎでやらないと!

 あ、獅哮衝波の再使用時間が過ぎた! ふっふっふ、これは雷纏いの効果が切れたら実戦で使ってみようっと!


サツキ : サクラちゃん、ナイスだよー!

金金金 : どんどんやっちまえー!


「はい、頑張っていきますよー! 『疾走』!」


 キツネさん達が次々を遠距離から火の球を放ってくるから、今は疾走で一気に距離を詰める! 急加速でLv16の方のキツネさんへと通常攻撃での体当たり! 急な速度変化をしたら狙いがちゃんと定まらないみたいだね! 麻痺させるのは、残りあと1体のキツネさん!


「方向転換です! えいやー!」


 どうせ思いっきり獅子咆哮で沢山の木々を薙ぎ倒してるから、その辺の木を蹴り飛ばして方向転換! 木は折れたけど、向きは変わった! そのままLv15の方のキツネさんに体当たりをして、こっちも麻痺させるのに成功!


富岳 : お、良い方向転換だな。

ミツルギ : やっぱり足場の悪いエリアから解放されてから、かなり動きが良いな。

いなり寿司 : まぁやっぱりそういう影響はあるよな。

サツキ : 良い影響だから、問題なし!


「そうですよねー! さーて、それじゃ仕留めていきましょう!」


 雷纏いの効果はあと少し。その間に、もう1回ずつ麻痺を上書きしておきたいとこだよね! という事で、疾走での急加速を開始! これでどんどん体当たり攻撃だー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る