第8章 次の進化を目指すのです!

第257話 暑い夏の日


 暑いー。溶けるー。夏の暑さは凶悪過ぎるー。面倒な学校は終わったし、今日は木曜日だから明日を凌げば、月曜日は海の日で祝日! 土日月の3連休! そして来週末まで頑張れば、夏休みに突入だー!

 そうやって考えてみたら、ホームサーバーの買い替えって凄い良いタイミング? うん、そんな気がしてきた!


「姉さん、ありがとう! 夏休み、頑張るぞー!」


 あ、つい声に出た。なんかこっちを変な目で見てる人がいるけど、失礼しましたー! 普通に恥ずかしいよ、何してるの私! このまま家に逃げ帰るみたいなのはなんか嫌だし……よし、コンビニでほとぼりが冷めるまで退避ー!



 ふぅ、コンビニの中は涼しいねー。ホームサーバーの買い替え費用は姉さんが出してくれたから、私の貰った投げ銭は自由に使っても大丈夫かな? あ、そういえば広告収入の方ってどうなってるんだろ? 全然確認してない気がする!

 えーと、携帯端末からでも確認できるのかな……? うーん、確認の仕方が分からない! まぁそれは家に帰ってから兄さん謹製のマニュアルを見ながらにしようっと。


 あ、そうだ! 今のうちに我が家の冷房を入れておこう! そうすれば帰ってすぐに涼む事も出来る! うん、ここを押せばスイッチが入ったはず! 

 さてと、それじゃコンビニで何かおやつを見繕って買って帰ろう! お煎餅はまだまだあるけど、今回は毎日無理に消費していかなくても大丈夫な量だもんね。アイスが良いかなー? デザート系が良いかなー? それともスナック系がいいかなー? レジ横にある揚げ物系も捨てがたい?


「どうせなら、何か変わったものないかなー?」


 折角貰った投げ銭で買うんだし、ここは普段なら買わない類のチャレンジ的商品も良いよね。この前のミラクルフルーツ味のアイスとかSNSに載せたら結構反応があったし! よし、とりあえずまずはアイスコーナーを見てみよう!


「……無くなってるね、ミラクルフルーツ味」


 本当にそこに並んでいたのかすら分からないほど、跡形も無かった! うーん、あの手の変わった商品はちょいちょい出てくるけど、大体1回見たら終わりだもん。正直、アイスとしては美味しくなかったから消えても仕方ないよね。


「あ、変わり種といえば、飲み物系も何かあるかな?」


 変な味のジュースとかも時々あるし、ちょっとそっちの方を見てみよう! あ、変なのを発見! 夏野菜ジュースシリーズだって! きゅうり味のサイダーって何!? あ、ナスジュースとかもある。でも、トマトジュースは普通なような? でも、全部炭酸入りなんだね。

 なんかどれも美味しそうなイメージが無いからパス! 変ではあるけど面白みに欠けるし、他のものを探そう! 変なものより、美味しいものを優先で! この前あった、美味しいプリンはあるかなー?


「むぅ……売り切れ……」


 売り切れって思いっきり張り紙がされてた……。というか、ARでの表示じゃなくて、普通に張り紙なんだ! 大体、どこも携帯端末を介したARでの表示なのに張り紙って珍しい……って、これは違う!? これ、張り紙に見せかけたARだー!?

 ぐぬぬ、なんという無駄な表示をしているの!? これは、間違いなく技術の無駄遣い! さり気なくお詫びで頭を下げているキャラのイラストも上手! こういうの嫌いじゃないよ!


「あの店員さん! ここの写真を撮ってもいいですかー? ついでにSNSの載せちゃったりしても大丈夫です?」

「あ、はい、構いませんよー! 少し待ってくださいね。はい、どうぞ」

「ありがとうございます!」


 よし、店員のお姉さんには許可を得た! ということで、無駄に再現度の高い張り紙の表示データを重ねた状態で写真をパシャリ! うん、ちゃんとARの表示込みで撮れてる! この辺、表示してる場所の許可がないと一緒には撮れないもんねー。あ、ついでにAR表示無しでも撮っておこ。うん、張り紙無しバージョンも撮れた!

 さーて、なんか無駄な技術を見て満足したし、そろそろ家も冷えてるだろうから帰って……って、おやつを買うんだったー!? もうなんか満足しちゃったから、普通のバニラアイスでいいや! それを買って帰ろー!



 ◇ ◇ ◇



 無難なバニラアイスを買って、家に到着! コンビニから家までの間が猛烈に暑かった! むぅ、途中で涼むのはいいけど、その後が辛いー。ん? 家の鍵が開いてるから、もう兄さんも帰ってるのかな? 帰る時間が重なるなら、兄さんの分のアイスも買って来ればよかったかも?


「たっだいまー!」

「……おい、なんで冷房が切ってある?」

「兄さん? わっ、なんで家の暑いの!? 遠隔で冷房入れたのに!?」

「……あぁ、なるほど。……一応、俺が間違ってという可能性もあるから履歴をチェックしとくか」

「に、兄さん……?」


 ちょっと待って、兄さんも帰ってきたばっかって感じだけど、なんでそんなに不機嫌そうなの? え、私、なんかやっちゃった? 何かチェックしてるみたいだけど、何をチェックしてるの!?


「……やっぱりか。遠隔で冷房入れる時は、誰かが先に入れてるかどうかチェックしてからにしろって言っただろうが。俺が入れた後に切ってんじゃねぇかよ……」

「はっ!? そういえば状況を確認してなかった気がする!?」

「稼働状態と、オンオフの切り替えの表示は同じ画面の筈なんだがな? 何をどうすれば、見落とすんだ?」

「すみませんでしたー!」


 わー!? 完全にやらかしたー! 涼めると思って帰ってきて、この暑さは地獄だよ! なんというタイミングの悪さ! うん、私の確認不足が原因です!


「はぁ……。まぁ、済んだことはもういい。だが、少しだけ設定を変えるから、権限の許可を出せ」

「はーい。って、設定をどう変えるの!?」

「オフには出来ないように設定しといてやる」

「え、それは困る……あれ? 特に困らない?」

「俺が困るのを防止する為だしな。オンには出来るから、困りはしねぇよ」

「それなら問題なしだね! はい、どうぞ!」

「おう。あー、シャワーを浴びるならさっさと浴びてこい。俺も汗が気持ち悪いが、設定変更の方が先だ」

「先にいいの!?」

「俺も浴びたいから、早めに済ませろ。あと、着替えを忘れるなよ」

「はーい!」


 流石に着替えは忘れない……去年、何度か忘れて兄さんに着替えを取ってきてもらった覚えや、バスタオルだけで自分の部屋まで戻った覚えがあったー!? あれ? 去年だけじゃない気もする? うん、気を付けよう! 

 自室に戻って、荷物を置いて……あ、冷房が今入ったから兄さんがオンにしたのかな? まぁ私の携帯端末、兄さんが遠隔で操作中だしね。とりあえずその辺は任せて、サッサと気持ち悪い汗を流してくるのさー!



 ◇ ◇ ◇



 手早く汗を流して、ちゃんと着替えて気分はさっぱり! それじゃ買ってきたアイスを……アイス? ちょっと待って、買ったアイスはまだ暑かった自分の部屋に置いてきちゃった気がする!?


「お、出たか。設定は終わってるからな」

「はーい!」

「おい、階段は走るなよ!」

「はーい!」


 兄さんに注意されたから、走らないように階段を急いで登っていく! 私のアイス、無事でいてー!? 食べる前から溶け切ったアイスとか、アイスじゃないから! 自分の部屋に戻ってきて……アイスは、あそこだー! アイスは溶けて……。


「……うぅ、完全に溶けてる」


 折角買ってきたのに、台無しになっちゃってるよ!? これ、冷凍庫に入れたら復活する!? でも1時間とかじゃ無理な気がする。……これは完全にやらかしちゃった。 この悲しみ、誰かに伝われー!


サクラ☆モンエボ実況配信中! #***

 食べる前に全部溶けちゃった……。


 溶けたアイス.jpg


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 しょうもない内容だけど、これくらいの呟きは良いよね。あ、なんか気付いたら思った以上に時間経ってた。悲しいけど、この溶けたアイスは飲んでしまおう。あぁ、味は美味しいはずなのに、なんだか悲しい味がする……。



 ◇ ◇ ◇



 それからちょっとアーカイブのコメント欄やSNSに来てたコメントをチェックしてる間に、配信を始める時間が近付いてきた。その間に、さっきの悲しみのアイスに同意してくれる人も結構いたねー。

 なんか溶けたアイスは、冷たさが残ってる間に早めに食べろとか言われた。あと、溶けたアイスの復活方法とかもあったけど、既に食べた後だった上に、結構時間がかかりそうだったのでパス! 色々とコメントが来るもんだねー。


「さてと、気分を切り替えて今日の配信もやっていこー!」


 という事で、VR機器を頭に被って配信準備だー! ホームサーバーの配信用の和室のVR空間の起動は完了! フルダイブ、開始ー!


<配信を開始しますか?>


 今日は配信8回目! 配信を始めてから1週間が過ぎたねー! そして今回は【初見プレイ】Monsters Evolve part.8になるのです! さぁ、今日もしっかりやっていこー!


サクラ☆モンエボ実況配信中! #***

 18時から第8回の配信をやっていきます!


 配信会場はこちら!

 【初見プレイ】Monsters Evolve part.8

 URL:*tp://***


 今日から行く新しいエリアはどんなところかなー?


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 なんとか昨日の実況外のプレイで、マップの南端までは辿り着いたもんね! あ、固定表示に設定しておいた『ネタバレ厳禁』と『配信時間18時~20時』の表示もちゃんと出来てる! うん、こういう所はしっかりと改善していこー!

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