第205話 放たれるメダカ達


 ぎゃー!? 身構えはしてるからダメージはそれほどでもないけど、次々と飛んでくる一般生物のメダカが当たると同時に爆発していくのがなんか怖い!?


「いくらなんでも、これはネタ過ぎる攻撃じゃないですかねー!? 一般生物を魚雷に変えるってなんですか!?」


イガイガ : モンエボの開発の、ネタ要素の代表例みたいなとこだしなー。

富岳 : 変なとこに変なものがあるのは、まぁよくある事だ。

G : イノシシの猪突猛進も、まぁ種族由来の一種のネタスキルだし。


「そう言われると、確かにそうですよねー!?」


 うん、根で駆けまわる植物とかあるし、猪突猛進で止まれないとかもあるし、変なスキルがあるのは今更過ぎるほど今更だった! そういや水を飛ばしてくる魚もいたもんね!

 あ、そうしてる間にメダカの爆撃は収まってきた! 群れの姿が見えなくなってるし、残っているのは巧みなメダカがLv5とLv6が一体ずつ!


「でも、一般生物のメダカを使い切ったみたいですね! あ、水を飛ばし始めましたよ!」


 メダカも魚だし、魚の遠距離攻撃はやっぱり水を飛ばしてくるんだ! でも、その程度は問題なーし! 放電で……って、最大まで溜めてたからまだ使えない!


「雷纏いを使う程でもないですし、今はこれで確実に一体仕留めます! 『咆哮』!」


 水を飛ばしてくる攻撃を使った瞬間に、Lv6の方の本体を狙って咆哮発動! 回避はしなかったから飛ばしてきた水は当たったけど、その代わりに着実にメダカに咆哮が当たって、水面に浮かんだ!


サツキ : ナイスだよ、サクラちゃん!

いなり寿司 : ま、この状態で雷纏いは勿体ないか。

ミツルギ : 放電が思ったほど威力分散せずに、もうHPの半分くらいは削れてるしな。


「川の中で、近くにそれほど敵がいなかったのがありがたいですねー! えいや!」


 とりあえずまずは1体ずつ仕留める為に、川へ飛び込む! この手の水を飛ばしてくるタイプの魚は陸地に上げたら何も出来なくなってたもんね!


「それじゃメダカ1体、水揚げです! 『振り回し』!」


 こう、狙いをしっかり定めて水面に浮かんでいるメダカを掬い上げるように……標的が小さいから、集中! もう1体のメダカからの水が次々と飛んできてるけど、今はスルー!


「今です!」


 地面へ吹っ飛んでください、メダカ! おぉ、綺麗に打ち上げ成功! ふっふっふ、これで片方のメダカへの地形的優位性は確保したよ!


咲夜 : おぉ、ナイス!

こんにゃく : メダカってかなり攻撃が当てにくいのに、綺麗に当てた!

富岳 : まぁ咆哮で萎縮になってるのはあるけどな。

ミナト : もう1体のメダカの攻撃にも要注意だからねー!


「はい、分かってます! よいしょ!」


 今は無防備に攻撃を受けまくってる状態でどんどんHPが減ってるけど、そのままにしてたら死ぬだけだもんね! いくらなんでもその状態はマズいし、近くの木を盾にしちゃえ!


「とりあえず打ち上げたメダカは確保していきますね!」


 という事で、がぶりと咥えていく! このサイズを咥えられるか怪しいと思ったけど……なんか口の中に含んだだけで、噛みついてる事にはないってないっぽい! だって、HPが減ってないもん!

 わわっ!? 連発で水を飛ばしてき始めて攻勢が激しくなってきたから、退避を急げー! その辺の木の後ろに隠れる! ……って、あれー?


「飛ばした水の3連発でへし折るって、どんな威力してるんですかねー!?」


 その辺の木を盾にするつもりだったけど、全然盾にならなかったー! うぅ、どこかに硬い盾になる木はいない!? 


チャガ : そこらの一般生物じゃ、もう耐えられない威力だからな。

咲夜 : サクラちゃん、自分はその攻撃に耐えられているという事実はあるぞー!


「はっ!? そういえばそうでした!」


 よく考えてみたら、その攻撃はさっき私も受けてたよ! HP1割くらい削れてたけど、あの木の折れ方を見たら、相当丈夫にはなってるんだね。でも普通の木が盾にならないのは困る!

 いつまでも口の中に萎縮中のメダカは入れておけないし、かといって攻撃を無視するにはいかない。うーん、2体相手でも雷纏いを使っておくべきだった?


ミナト : サクラちゃん、川の対岸に渡れる!? そっちに堅固な樫の木がいるよ!

ミツルギ : え、マジか!

咲夜 : どこだ!?

名無しのカカシ : ……マジでどこだ?

イガイガ : どこにいるのか分からん!

ミナト : 今は看破の情報が出てないから見えないよ! 少し角度を変えてみて!


「え、ミナトさんしか見つけられてないんです!? とにかく対岸側ですね!」


 ミナトさんが嘘をつくとは思わないから、ただミナトさんの見つけ方がとんでもないだけ! えっと、対岸側に堅固な樫の木は……あ、木々の隙間からちらっと看破の情報が見えた! 本当にちょっと角度がズレたら見えなくなるっぽい!


「見つけました! えいや!」


 メダカからの連続した水を飛ばしてくる攻撃を避けつつ、川を飛び越える! 川幅は狭いから、この程度はライオンなら簡単なのですよ!

 ともかく堅固の樫の木の元まで、急げ、急げ、急げー! 元々硬い樫の木なら、私の盾になってくれるはず! Lv4だったけど、それくらいなら何とかなるさー!


サツキ : サクラちゃん、駆け抜けろー!

咲夜 : ミナトさん、よく見つけたな!?

富岳 : 絶妙な位置関係で、少しのズレで見えなくなる位置か。


「わっ!? わわっ!? なんというか、未成体になってからの敵って自然破壊もお構いなしですね!?」


 樫の木の所まで走っている最中に、周囲の木々が何本もへし折られていくよ!? でも、なんとか樫の木を盾に出来る位置に移動出来た!


「いつ暴れ出すか分からないので、もう出しておきます!」


 ペッと、口の中のメダカを吐き出して地面へ放り出す! そしてちょっと水を吐き出してくる口は私の方を向かないように、爪でちょいちょいと方向調整! あ、どうせならそのまま抑え込んでおこうっと!


サツキ : 無事に辿り着いたねー!

水無月 : 敵なのに、そんな風に盾に出来るんだ!?

ケースケ : そんなのありなのか!

名無しのカカシ : あー、機会さえあればやるやつ。

富岳 : 状況さえ揃えば、この状態は結構良いからな。

ミナト : 結構、サクラちゃんはこの手段を使うしねー!

ミツルギ : 今日のサムネイルは、この樫の木か?


「樫の木、頑張ってください! あ、確かにサムネイル候補ではありますね!」


 なんとか樫の木が川の中から水を飛ばし続けてくるメダカを引き付け始めてくれたから、今のうちに私は持ってきたメダカの方を倒すのさー! 私の背中は任せたよ、樫の木! サムネイル用のスクショは、後で撮るからね!


「って、あれ? 持ってきたメダカ、勝手に弱っていってません? というか、状態異常で窒息になってますね」


 萎縮の効果はまだ出てるけど、それでも攻撃自体は何もしてないよ? え、未成体になったらもっと丈夫なものかと思ってたけど、そうでもないっぽい? 気付いたらいつの間にかもうHP1割で瀕死だよ?


いなり寿司 : そりゃ陸地だからなー!? 魚にとっての窒息は陸にいる時だから!

富岳 : 環境への不適応が、ダメージとしては一番大きいんだよ。

ミツルギ : そうだぞー! サクラちゃんも、窒息で凄い勢いで死にかけただろ?


「はっ!? 確かにそれはそうですね!」


 言われてみたら、そうだよね! ふっふっふ、未成体になっても魚は魚ということなんだね! 地上で活動出来ない魚は、私にとっては脅威でもないんでもないのさー! 


「あ、萎縮が切れて暴れ出しましたね。でも、全然が力が入っていないです!」


 ふっふっふ、水は飛ばしているけども、ライオンとの体格差もあって口が私の方に向いてないからどうしようもないよね!

 このまま窒息で仕留めて、そこから後は後ろでなんか色々と倒れていくような凄い音がしてるメダカと樫の木の戦闘に加わるのみ!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「あ、メダカが死にましたね!」


 よーし、これで1体は撃破完了! そろそろ放電の再使用時間も過ぎるから、樫の木を盾にしながらもう1体のメダカも倒すのさー!


「というか、さっきから凄い音がしてますけど、どうなってるんですかねー?」


 メダカと樫の木の戦闘には背を向けてる状態になってるから、具体的な状況は把握出来てないんだよね! それじゃ状況を確認する為に振り向いて……。


「……なんか想像以上に凄い事になってるんですけど!?」


 え、川と樫の木の間にある木々はほぼ全てへし折られて、視界が凄く悪くなってる!? ちょっと、環境破壊をし過ぎじゃない!? うーん、とりあえず樫の木がちゃんと写るように位置を調整して、この様子をスクショに撮ろう! スクショを撮るぞー! ……うん、撮れた!

 さてと、それじゃ少し果物を食べてHPを回復させてから私も戦闘に加わろうっと! ……うん、8割くらいまで回復完了! 待たせたね、樫の木!

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