第204話 奥へと進んで


 なんだか思った以上にあっさりと終わってしまったヤナギの木の討伐だけど、逃げる敵は経験値が多いという事が分かったのは良かったね! まぁ進化ポイントも溜めなきゃだから、あんまりLvだけを上げてばかりでも駄目だけど。


「さーて、それじゃ奥へと進んでいきましょう! エリアボスを見つけないとですね!」


サツキ : 探索再開だねー!

金金金 : さて、ここのエリアボスはどんなのが出るか。

咲夜 : 色々と期待!


 ふふーん、ネタバレされかけたワサビも見つけたいけど、このエリアのエリアボスを探していこー! エリアボスを倒さないと先に進めない……あれ? そういえばエリアボスって絶対に倒さないといけないの? もし見つけられなかったらどうしよう!?


「ちょっと疑問に思ったんですけど、エリアボスって絶対に倒さなきゃダメなやつですか? 相性が悪ければスルーして良いって話をしてた気もしますけど……」


G : 別に絶対に戦う必要はないな。戦いたくなければスルーでいい。

ミツルギ : まぁ時間経過させたい時には撃破必須だけど、逆に言えばそうでなければ気にする必要もない。

チャガ : 見つけられないまま、素通りって事もあるにはあるからな。


「あ、やっぱりそうなるんですね!」


 そっか、そっか! やっぱりスルーしたければスルーでも良いんだね! それにちょっと心配してた見つけられないまま次のエリアの場所まで行っちゃう可能性もあるんだ。

 うーん、でもやっぱりこういう配信でやってるからには、エリアボスとの対決は見所だから出来るだけ戦おう!


サツキ : サクラちゃん、エリアボスを避けるの?


「あ、いえ、出来るだけ避けずに戦っていきますよー! ただ、見つけられない事が心配になっただけですから!」


 お煎餅の丘では嫌ってほどエリアボスの前にランダムリスポーンしたけど、あんなことは早々ないはず! むしろあのエリアの広さで、あっさりとエリアボスを見つけられた方がラッキーだったのかも!


サツキ : あ、なるほどねー!

咲夜 : なんだか今回は見つけられないフラグが立った気がする?

いなり寿司 : あー、これでしっかりとしたフラグが成立してしまった……。

イガイガ : サクラちゃん、ファイトだ! フラグをへし折っていけ!


「はい! 意地でもエリアボスは見つけてみせますよ! 咲夜さんのフラグには負けません!」


 ふっふっふ、私の全身全霊をもって、必ずともエリアボスを見つけようではないですか! あ、でも見つけるまでに『再生強化Ⅰ』を解放しておきたいなー。

 あと、根本的にここのエリアボスのLvはいくつなんだろ? 未成体からは変化してるって言ってたもんね! ここはしっかりと覚えていたのさー!


咲夜 : またそういう扱い!?

チャガ : 何かありそうだと思っても、言わなきゃいいだけなのでは?

真実とは何か : それこそ、真実である。

こんにゃく : まぁ確かにそりゃそうだ。

咲夜 : うぐっ!? でも、コメントする楽しみが!?

サツキ : うんうん、その気持ちは分かる!


「まぁその辺りはご自由にお願いしますー!」


 私としては咲夜さんよりも姉さんに念入りに釘を刺しておきたいんだけど、ここで迂闊な事を言い過ぎると私の方が変な事を言っちゃいそうだから自重! 姉さんの方には旦那さんがいるんだし、そっちに任せよう!


「さーて、それじゃエリアボスを探して探索です! とりあえず川の沿って上っていきましょう! 『看破』!」


 川の上流にはワサビがあるって話だし、採集出来るアイテムだったらいいなー! もしワサビがアイテムとして採集出来るなら、効果としてありそうなのってなんだろ? うーん、分かんないから別に無理に考えなくてもいいや!


「あ、メダカが群れで泳いでますねー! ……巧みなメダカが一般生物のメダカを率いているみたいに見えるのは気のせいですか?」


 少し進んでいたらそんなのを見つけた! なんというかこうやってメダカが泳いでるのを見るのは大自然って感じもするよね! まぁ実際にリアルで見た事がある訳じゃないし、おじいちゃんが昔はよく見たって聞いたからなんだけど。それがこういう風に見れるのっていいよねー!

 それはともかくとして、ゲーム的にはメダカは小さすぎてライオンで倒すのは面倒な気もする。放電で攻撃したら、どうなるんだろ? Lv5の巧みなメダカ、進化ポイントや経験値的には倒しておきたい!


ミツルギ : あー、一部の種族ではそういう風に一般生物を従えたり出来るぞ。

いなり寿司 : 群れのボス的な感じでなー! 大体、器用系統での進化。

富岳 : まぁ一般生物だから、すぐに殺されたりもするぞ。どちらかというと、回復用の生餌と万が一の為の囮用だな。


「結構殺伐とした関係の群れでした!? え、囮なんです!?」


 まさかの切り捨て前提の一般生物のメダカだったよ! そういう風に見てみると……このメダカの群れって、割と残酷! 巧みなメダカが食べたり、逃げる為に存在してる一般生物のメダカの群れ!? そういう器用さなの!?


ミナト : あはは、まぁリアルでも群れって生き残る為のものだったりするけどねー。

富岳 : 違いがあるとすれば、モンエボだと群れのボスに利用されるってとこだな。

ミツルギ : 一般生物をどれだけ守りながら戦えるかとか、どこまで群れを拡大できるかとか、生き残らせるのを前提とした遊び方もあるぞー! 群れの数が増えれば、一般生物でも強化して戦わせる事も出来るからな。

咲夜 : あ、やった事あるけど、それって地味に難しいんだよな。

いなり寿司 : だよなー。全滅した時の徒労感よ……。

水無月 : わっ! そんな事も出来るんだ!?

金金金 : へぇ、オフライン版は種族によってゲーム性は変わるとは聞いた事があるが、そこまで変わるとは。


「おぉ、なんだか一気に別ゲームに変わるような気がしますけど、それはそれで楽しそうですね!」


 群れを守りながら戦うメダカの操作、ちょっとやってみたい! いつになるか分からないけど、配信中でそういう事も出来たら楽しいよね! うーん、その為にも1種族目をクリアしてアンロック出来るようにしなきゃだよ!


「さてと、それじゃこのメダカは倒しちゃいますねー! 『放電』!」


 正直川の中へと放電を使うのは躊躇いもあるんだけど、どこまで効果があるのかは試しておきたいとこでもあるもんね!

 魚といえば口から水を吐いてきてたけど、今なら雷纏いも使えるし、他の敵が集まってきても才智の敵にだけ気を付ければ何とかなるはず! という事で溜めを開始なのさー!


ミツルギ : お、サクラちゃん、ここで戦うのか!

いなり寿司 : ま、雷纏いも使えるし、陸地側から狙うならありだろ。

ミナト : 一度は、この手の群れの敵と戦っておくのもいいかもしれないしね! あ、でも最大まで溜めた放電での奇襲だとどうだろ?

富岳 : あー、あれを見る前に逆に倒し切っちまうか?

イガイガ : 分散する対象にもよるよなー。


「……何かありそうな感じですね?」


 具体的に何があるかまでは伏せてるけど、何かがあるのは確実っぽい! というか、川の中のメダカへの攻撃は皆さんに止められるかと思ったけど、そうでもなかった!

 これは安全だから何も言われないのか、危険な状態になるのを楽しみにしてるから何も言われないのか、どっち!? 私はどう動くのが正解!? えっと、とりあえず看破で見える範囲で、他の敵を確認! うん、これは放電を開始する前にすべきだった気がする!


「あ、もう1組、巧みなメダカの群れがいますよ!? しかもこっちはLv6です!」


 なんだかんだでこの辺って結構敵のLvが高めだよね! なんかこの湿原エリアに来てから自分よりLvが上な敵ばっかと戦ってる気がする!


咲夜 : まさかの群れが2組目!?

ミナト : あはは、まぁそういう事もあるよねー!

G : 敵の配置はランダムだしな。だが、面白い事にはなってきた。


 他には……見える範囲では意外といないね? うん、まぁこれなら多分大丈夫な範囲のはず! 問題はどの程度まで放電が広がっていくかなんだけど、それは実際に使ってみないと分からないからやるだけやってみよー!


「それじゃ放電も最大まで溜まったので、放電開始です!」


 川の中に入れば分散していくんだろうけど、とりあえず2体の巧みなメダカを狙って攻撃開始! いっけー!


「おぉ、川の水を伝ってどんどん電気が伝わって……って、そんなのありですか!?」


 ちょっと待って、ちょっと待って!? 一般生物のメダカは全滅させられると思ってたのに、私のライオンに向かって特攻してくるのはなんで!? ぎゃー!? なんか飛んできたメダカが爆発したんだけど、これって何!?


金金金 : なんじゃこりゃ!?

水無月 : わっ!? 飛んできたメダカが爆発したよ!?

ミツルギ : 器用のスキルツリーにある『魚雷化』の効果だな! 群れの一般生物が致死ダメージを受けた場合に、カウンターとして魚雷になって飛んでいく。


 わっ!? わわっ!? 次々をメダカが飛んできて爆発して、どんどんHPが削られてる! ここはとりあえず耐えるしかない!


「『身構え』! そんなの無茶過ぎませんかねー!?」


 遠距離攻撃に関わる器用系統の進化の理由ってそれなの!? いくらなんでも、こんなのは想定外も想定外! 未成体からの敵、想定外の事をし過ぎじゃないですかねー!?

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