第203話 ヤナギとの戦い
びっくりするほど近くにいたヤナギの木だけど、今度こそ倒すまで! 初手から一気に削る為に、獅子咆哮の溜めを開始!
いなり寿司 : おっ、初手から大技でいくか。
サツキ : サクラちゃん、ぶっ放せー!
G : 他の敵を巻き込まないように気を付けろよー!
金金金 : それにしても、これだけ間近で溜めても全然動きもしないんだな。
ミツルギ : まぁそこら辺はゲームだからな。反応しないパターンだと、本当に反応しないし。
富岳 : だからこそ、こうも無防備な状態で攻撃が出来る訳だ。
「確かにそうですよねー! 無防備過ぎなのが悪いのです!」
うんうん、このヤナギの木は逃げる時はびっくりするほどの逃げ方をしたのに、今は逃げるどころか、動く気配すらないもんね! この状況から逃げられても面倒だから、これでいいけど!
ふっふっふ、他の敵を巻き込まない秘策も考えてるし……って、あれ? その辺、何か言われるような気がしてたのに、特にツッコミは無かったよ? んー、まぁいっか! それじゃ溜め完了まで待機!
「あ、溜めは完了したので、獅子咆哮、発射です!」
狙いはヤナギの木の幹じゃなくて、枝の上の方! 私的には見上げる形になっての攻撃だから、角度的に他の敵には当たらないはず!
あ、ずっと見上げて溜めてたんだから、もしかして皆さんには狙いがバレバレ!? そんな気がしてきたけど、隠しておかないといけない訳じゃないし問題なし! 吹っ飛んでください、ヤナギの木!
「おぉ! 枝でも結構ダメージが入りますね!」
ふっふっふ、衝撃波でヤナギの枝を吹っ飛ばしたよ! 弱点の根ほどはダメージはないっぽいけど、それでも幹に攻撃するよりは大ダメージ! 今ので地味にHPは6割まで削れてるもんね! 看破には他の敵の反応はなかったし、多分巻き込んではいないはず!
サツキ : サクラちゃん、お見事!
咲夜 : あー、思ってた通りの攻撃の仕方で良かった。
イガイガ : まぁ見上げてたしなー。
ミナト : 見えてない部分に敵がいる心配もあったけど、そっちは大丈夫だったみたいだねー!
あ、やっぱり見上げてたから私がどこをどう攻撃しようとしてたのは分かって……え、見えない部分にいる敵……?
ぎゃー!? その部分、全然考えてなかったよ!? でも、セーフなんだよね!? 看破で見た限り、巻き込んで襲ってくる敵の様子はないよね!?
こんにゃく : なんでアバターがいきなり挙動不審になり始める?
サツキ : これは想定外の事があった場合の反応だね!
ミツルギ : サクラちゃん、看破が見えてない敵には効かないのを忘れてたか?
咲夜 : それだー!
神奈月 : あー、確かにそれっぽい!
うぅ、完全に見破られてる!? うがー! 確かに忘れてたけど、セーフだったから問題なし! 巻き込んでたら巻き込んでたで、今は雷纏いも使えるんだから敵が多めでも大丈夫だったはず!
「そんな事よりも、今はヤナギの木が優先です!」
変な失敗をしていたかもしれないけど、それは実際に起きなかったんだから結果的には問題なーい!
それよりも、地面から根を出してきているヤナギの木を放置しないようにしないと! 根はある程度出てきてくれないと困るけど、また逃げられたらそっちの方がもっと困る!
ミナト : あはは、まぁそれはそだねー!
G : ま、何をしてくるかが分かってるんだし大丈夫だろ。
チャガ : 確かにな。
「そうですよねー! さて、これくらい根が出てきてたら良いでしょう! 『咆哮』!」
うん、しっかりと萎縮が入って根がぐったりと力なく倒れていってる! どれだけ根で駆けて逃げていこうとも、その前に動きを封じてしまえば良いだけの事!
「追撃いきます! 『爪撃』『連爪』!」
根にガブっとスキルを使わず噛みつきながら、爪とぎの要領で連続攻撃! うりゃりゃりゃりゃりゃ!
「なんだか根への攻撃が前ほど効いてないような気がするのは気のせいです? あ、でも初めて遭遇した時よりは効いてますね」
んー? 幹への攻撃よりは圧倒的にダメージ自体は結構出てるけど、期待してたほどのダメージ量にはなってない気がするよ? それこそ、さっきの枝への攻撃とそれほど大差がない気もする?
ミツルギ : 未成体くらいになってきたら、根はそこまで弱点にはならなくなってるぞー!
富岳 : まぁ幹も硬くなってくるから、根を狙った方が良いのはあんまり変わらんけどな。その辺は状況次第だ。
ミナト : 進化してるのはプレイヤーだけじゃないって事だねー! あと無防備な状態なのも影響あるかな。
名無しのカカシ : あー、そういえば『駆ける根』の発動待機中は少し防御力が上がったっけ。
イガイガ : そういやあったな、そんな性能。
「『駆ける根』って、そんな効果もあったんです!?」
まさかの防御アップの効果があったよ!? あ、でも駆け出すまでに時間がかかるなら、そのくらいの性能は欲しいよね。うん、まぁ私は使わないけど! とにかく今は攻撃だー!
「『体当たり』!」
一旦噛みついているのを離してから、思いっきり体当たり! これで横倒しになってくれたらいいんだけど……むぅ、近くの木が支えになって倒れきらなかった!
「というか、枝って地味に攻撃しにくくないですかねー? 『振り回し』!」
もう1度根に噛みついてから、右前脚を叩きつける! こうして戦ってみて思うけど、枝って狙いにくいよねー! 放電があるから狙えない訳じゃないけど、今みたいに根を剥き出しさせて横倒しにして倒す方が楽な気がする!
いなり寿司 : その辺って、種族次第なんだよなー。
こんにゃく : 小型の種族なら、木に登って枝から攻撃する方が楽だし。
咲夜 : 種族による体格差ってのがあるもんな。
「あ、体格差の事を全然考えてなかったです!? 『放電』!」
噛みついたままの状態だから、溜めは出来ずにそのまま放電されてるね! うーん、逃げに特化した相手は、逃がさなければただの雑魚っぽい? もうHP2割くらいだから、あっという間に倒せそうだよ?
「もう1度、『放電』です!」
普通に噛みつきながら、どんどん攻撃をやっていこー! とりあえず体格差があるから今のライオンでは枝よりも根の方を狙った方がやりやすいだけで、種族によっては変わってくるんだ!
ミナト : 小動物で機敏に進化してる木の枝に止まって、わざと逃げさせまくるって楽しみ方もあるよー!
富岳 : あー、絶叫マシーン的な楽しみ方をする、あれか。
サツキ : なにそれ、面白そう!
水無月 : それいいねー!
「おぉ、それは楽しそうです! そんなのもあるんですね! 『放電』!」
姉さんと同じ反応にはなるけど、本当に面白そう! 根で駆ける木も、そういう視点で見ると面白いかも! そっか、そっか! そんな楽しみ方もあるんだ!
金金金 : キラキラと目が輝き出した狐っ娘アバター。
咲夜 : めっちゃ、食いついてるー!
いなり寿司 : サクラちゃんって、地味にジェットコースターとかバンジージャンプとか、そういう絶叫系は平気なタイプ?
「あ、はい! 全然平気というか、普通に好きですよー!」
まぁ1人で遊園地に行く機会は全然ないから、リアルで前に行ったのは小学生の時くらいだけど。でもVRゲームでそういうのを体験するのは、たまーにやってるもんね! ゲームというよりは絶叫シミュレーションって感じだけど、まぁその辺は気にしない!
「さてと、これでトドメです! 『爪撃』『連爪』!」
再使用時間が過ぎたこの2つで再び連続攻撃だー! うりゃりゃりゃりゃりゃ!
<未成体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv5に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを3獲得しました>
おぉ、Lvが上がったよ! 前に上がってからそんなに経ってないはずなのに、上がるの早いね! うーん、なんだか経験値が多かったみたい?
「ヤナギの木、撃破完了です! 動きさえ止めてしまえば、ただの雑魚ですねー! その割には経験値が多かった気もしますけど……」
なんかあっけさなさ過ぎて拍子抜け……。これは咆哮が強力過ぎるのかな? まぁだからといって、使うのを止める理由はなーい! 強力だからこそ、どんどん積極的に使っていこー!
イガイガ : 逃げに特化してる個体は、経験値が多めなんだよなー。
G : そして、サイズが小さければ小さいほど、より多い。
富岳 : まぁ今のヤナギの木はLv5で格上だったってのもあるだろうな。
ミナト : そういう経験値が多い逃げに特化してるのは咆哮を避けてくるからねー!
こんにゃく : 小型のは、逃げられると本当に全然捕まえられん……。
「あ、そういう傾向ってあるんですね!? というか、咆哮を避けられるんですか!」
わー、そうなんだ! うん、ヤナギの木のサイズであの逃げる速度なら、小型の敵が逃げに特化されたら厄介かも。小さければ小さいほど遠距離からのスキルは当てにくくなるもんね! うん、見つけたら気付かれないうちに奇襲が良さそうだね、そういう敵!
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