第192話 のんびりとした敵


 うぅ、なんだかとんでもない衝撃を受けるハスの動きを見た……! 機敏な植物、これからは要警戒なのですよ! ある意味、特にインパクトが強そうなハス……あれなら、むしろレンコンと表記して欲しかったよ! でも最初に見たのがあれなら、これから他の何かを見る事があっても気分的にはマシかもしれない気がする!


「ふぅ、気を取り直して改めて出発です! まだ看破は効果時間はいけますねー!」


 という事で、周囲の敵を気にしながらマップ解放に向けて改めて出発だー! ふふーん、倒しやすそうな敵を探しながら、慎重に歩いていくのです!


「それにしても晴天の下で、こうやって自然の中をピクニック気分で進んでいけるのは気分がいいですよねー!」


 リアルではもう信じられないほど暑いから極力外には出たくないけど、ゲーム内ではそういう暑さは関係ないもんね! こういう部分がVRゲームでの醍醐味!


水無月 : モンエボのオンライン版、ダウンロード開始した! 月額3000円なんだね!

サツキ : オンライン版って月額制なんだ!?

ミナト : 正確にはプレイチケット30日分が3000円だねー!


「オンライン版ってそんな風になってるんですねー! 月額がかかるんですかー」


 うーん、オフライン版のモンエボは買い切りで、難易度のヘルの追加に有料ダウンロードがあるくらいだったもんね。開発さんとしては、毎月お金が入ってくる方が利益があるのかなー? その辺はよく分かりません!


「あんまりオンライン版って興味はなかったんですけど、こうやって皆さんと話しながらやってるとオンライン版も楽しそうではありますよねー!」


サツキ : あー! サクラちゃんがオンライン版に興味を持った!?

金金金 : ほほう?


「でもオンライン版は配信に対応してなかったはずなので、配信が解禁されないとやりませんよー! あ、Lv3の堅固なカメを発見です!」


 少なからずオンライン版にも興味は出てきたのは間違いないけど、まずはオフライン版のこっちの配信が優先だよねー! オンライン版については、少なくともオフライン版を何種族かクリアして、その上でもし配信が解禁されたとしたら考える!


「まぁオンライン版の話は今すぐにどうこうではないので、今は見つけた堅固なカメの撃破をやっていきましょう! それにしても、のんきに日向ぼっこをしてますね!」


 なんか水場の中から水面に突き出してる岩の上で、ボーっとしてるカメ! これは絶好の攻撃チャンスじゃない? 完全に水の中から出てるしね!

 あ、でも少し手前にLv3の才智のショウブが歩いてるね。このショウブは避けたいから、気を付けないと……。同時には相手にしたくないもん。


水無月 : おぉ、甲羅干しをしてる!

ケースケ : おー、ゲームでもそういう事はあるんだな。

ミナト : この辺は細かい演出の部分だねー! 

イガイガ : 根で走ったりするようなゲームならではの変なとこはあるけど、こういう現実にあるようなのも普通にちょいちょい混ざってるからな。

こんにゃく : 確かにそういうとこはある。


「おー、そうなんですね! ちなみにこれって攻撃して危険とかってあったりします?」


 実はスキルでそういうのがあって、迂闊に手を出したら手痛い反撃が来るとか? あ、でも前にワニが川岸で日光浴をしてた気もする? あれと同じ感じなら危険ではないかも? うーん、どっちか分かんない!


いなり寿司 : いや、交戦状態になってないこれは特に何もないぞ。

ミナト : 普通に攻撃しちゃって大丈夫だよー!

富岳 : スッポンみたいに踏みつけるまで気付かないって事もあるが、逆にこうして敵の方が無防備って事もあるからな。


「おぉ、だったら絶好の攻撃チャンスですね! 折角なんで、最大まで溜めたこれでいきましょう! 『放電』!」


<『放電Lv1』が『放電Lv2』に上がりました>


 あっ、放電のLvが上がったよ! やった、やった! 私の主力スキルの1つがかなりパワーアップだー!


ミツルギ : 思ったより放電のLvが上がるのが早かった!?

富岳 : なんだかんだで放電は結構使ってるから、その分だけ上がりやすかったか。

サツキ : サクラちゃん、盛大にやっちゃえー!

G : というか、ここのエリアで放電Lv2は相当強力なのでは?

ミナト : 溜め無しでも威力はそれなりに上がってるだろうからねー。あんまり分散し過ぎるとそれでも厳しいけど、ある程度数を絞れば凶悪かも?


「なんだか凄い事になりそうですね! まぁ今はあのカメをぶっ倒す事を最優先していきます!」


 という事で、最大まで溜めて……あれ? 溜めの時間が少し早くなってる気がするよ? これってもしかして、スキルLvが上がった効果!?


「放電ってLvが上がればどんどん溜めが早くなっていくんです?」


 もう実際に効果が出てきてるし、聞いちゃってもいいよね! 疾走のLvが上がった時にも急加速と減速が使えるようになったし、スキルLvで強化される部分な気がする!


ミツルギ : まぁそうなるなー。

富岳 : 他の強化も入る段階もあるが、まぁそこは上がってからのお楽しみか。

チャガ : 今はまぁ溜めが早くなったという認識で問題ない。


「今はそれで了解です!」


 更にLvが上がれば他の強化のされ方もあるっぽいけど、そういうのがあるのは疾走の時に聞いてるもんね! 疾走だとどこかで任意のタイミングで止まれるようになるって話だったはず!

 そういえば放電で狙える範囲が広くなってる気がするけど、これもLvが上がった効果かな? あ、射程の延長は普通にスキルの説明に書いてたような覚えもあるね。それならちょっと遠回りにはなるけど、ショウブを迂回して真上から落雷のように放電しちゃおう!


「わっ、もう溜めが完了です! それじゃ放電開始です!」


 ふっふっふ、溜めが早くなった分だけ最大威力を使いやすくなったよ! という事で、無防備なカメに向かって放電していくのです! いっけー!


「おぉ!? 堅固なのにHPが半分も削れましたよ!?」


 耐久力が高いはずなのに、想像以上のダメージ量だー! あ、でも再使用時間はそんなに短くなってない!? 早くなったの、溜める方だけなの? むぅ、そこは盲点だった……。


ケースケ : おー、すげぇ迫力!

こんにゃく : ちょい待った! え、放電をマニュアル操作でやってんの!?

名無しのカカシ : 命中補正を使えば一直線に進んでいくはずだけど……今のは真上から雷みたいに放電したな。


「そんなに驚く事なんです? あ、今のでどうも麻痺が入ったみたいですね!」


 私としては普通にやってるだけだし、今のは真っすぐやるとショウブに当たりそうだったから、遮蔽物のない真上から狙っただけなんだけどなー?


ミツルギ : サクラちゃん、実はマニュアル操作は得意っていう。

イガイガ : 完全にマニュアル操作には適性ありだぞ。

真実とは何か : それが真実である。

ミナト : サクラちゃん、今のはショウブを避ける為だよね?


「はい、そうですよー! というか、投擲で追撃したいんですけど、地味にショウブが邪魔です……」


 なんでこのショウブ、私とカメの中間地点辺りを横切る様に行ったり来たり動いてるの? 思いっきり邪魔なんだけど……うん、もういいや!

 邪魔をするなら、そのまま邪魔者として消えてもらおうっと! 才智だと咆哮で動きは止められないから、こうするしかないもんね。カメを逃す手はない!


「ショウブもまとめてぶっ倒します! 『獅子咆哮』!」


 ふっふっふ、射線を塞ぐというならば諸共吹っ飛ばしてしまうまで! 知恵の上位の才智は厄介なのは間違いないけど、というか才智だからこそ邪魔してきてる感じもするけども! 堅固なカメに対してあれだけの威力が出るなら、才智のショウブにはもっと効きやすいはず!

 獅子咆哮がショウブに当たればよし! 当たらなくても、カメは確実に吹っ飛ばすのです! そういえば獅子咆哮もLvが上がれば溜めが早くなったりするのかな? うーん、まぁいいや!


「あ、カメの麻痺が解けたみたいですね。逃げは……しないみたいです!」


 ふっふっふ、何か身構えてるような感じだけど、私の獅子咆哮を耐えようって感じみたいだね! その意気、望むところですよ!


ミツルギ : ん? このパターンはどれだ?

咲夜 : あー、分からん!

ミナト : あはは、これって地味に見分けがつかないんだよねー!

金金金 : ん? なんかあるのか?

富岳 : あるにはあるんだが、ミナトさんでも見分けられない類の代物だからな。

いなり寿司 : まぁどれでも流石に死にはしないだろ。

ミナト : うん、まぁそれはそうだねー!

金金金 : ちょっと待て。死にはしないって、その主語はなんだ!?

チャガ : それは場合によるから何とも言えん。


「このカメ、何かスキルを使ってる状態なんですか!? え、どういう事なんです!?」


 死にはしないって言ってるけど、場合によっては私がダメージを受けるような状況なの!? むぅ……ミナトさんですら判別出来ないって相当厄介じゃない?

 もうすぐ溜めが終わるけど、どうしよう!? このままぶっ放す? それとも不発で終わらせる? うぅ、本当にどうしよう!?


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