第191話 機敏な敵


 さーて、残り進化ポイントが1になったけど、色々とスキルツリーを解放した! 器用が少し高くなったから、遠距離攻撃が更にパワーアップ!


「それじゃマップ解放を目指してサクサク行きましょう! 『看破』!」


 HPも全快したし、サクサクと敵を倒して進化ポイントを溜めながら進んでいこー! ふふーん、そろそろ投擲用の小石の補充がしたいとこだけど、まぁドングリがそれなりにあるし大丈夫かな?


咲夜 : そういやマップの解放をやろうとしてたんだっけ。

サツキ : 脱線してると、つい忘れそうになるよねー!

富岳 : まぁ確かにな。


 うんうん、私もマップの事は忘れかけてたし、そういう事もあるのですよ! だからそこは気にしなくてもいいのです! ……私が忘れてたタイミングは違うけども!

 まぁそれはいいとして、何がいるかなー? えーと、才智なメダカ、才智なカエル、才智なミズカマキリ、才智なナマズ……他にも才智、才智、才智……。


「……なんというか、敵の数自体も多いですけど、才智の率が高くないですかねー?」


 全部水の中だけど、この偏りは酷い気がする! こういう事ってあるの!? 才智ばっかの集まりって、嫌がらせなの!?


ミツルギ : 何この、才智の偏り?

チャガ : 偶にあるよな、こういう嫌な偏り方。

いなり寿司 : あー、堅牢な敵の集まりに囲まれて、削り切れずに死んだ覚えが……。

咲夜 : やってたら、そういう場面に遭遇するよなー。

こんにゃく : こういう偏りの時は避けるのが吉!

ミナト : んー? むしろここは狙いどころじゃない? 同じような傾向だけに注意すればいんだし、全部が違うよりは相当楽だよ? 

名無しのカカシ : はい!? え、なんか無茶苦茶言ってる!?

イガイガ : あー、出た。当てにならないミナトさんの発言!

富岳 : いくらなんでも、才智がこの数は厳しくないか?

ミナト : あ、確かに才智は少し面倒だね。同士討ちを狙っても、お互いに打ち消し合っちゃうし。でも、耐久性が低いのは多いから、全部避ければ良いだけだよ。

こんにゃく : え、ミナトさんって、この数で戦えるのか!?

ミツルギ : ミナトさん、実力派のサファリ系プレイヤーだから……。

名無しのカカシ : ……あぁ、なるほど。一番強いプレイヤー層か。


 なんだか相変わらずミナトさんの当てにならない戦い方が出てるけど、まぁそこは私には真似できないから聞き流そう!

 雷纏いでの麻痺が効くなら、この数でも相手には出来るんだろうけど才智じゃそうもいかないしね。とりあえずここの敵の集団はスルーで決定!


「もっとこう、戦いやすい敵はいませんかねー?」


 さっきいたメダカとか、才智じゃなければ一方的に放電で攻撃が出来る気がする! カエルとかだと陸地に上がってくるけど、まぁそれはそれで倒せるのかな? 

 うーん、でもここって水が豊富だから地味に放電で1体だけを狙うのは難しそう。ここは投擲をメインにするのば無難?

 

「あ、水場に機敏なハスがいますね! おー、しかもLv2です!」


 丁度良さそうな敵がいた! 少し離れてるけど、投擲は届く距離だし奇襲は出来そう! ふっふっふ、違う個体ではあるけど私を殺したハスの代わりに進化ポイントになってもらいますよ!


いなり寿司 : 機敏なハスか。場合によっては面白いものが見れるんじゃね?

イガイガ : なるほど、あれか。

水無月 : 何かあるの?

金金金 : 気になる反応だな?

ミツルギ : 見れば分かる。確実にそうなるとも限らないけども。

ミナト : まぁ想定通りのものが出るかは絶対とは言えないねー! でも具体的な内容を言ったら台無しかも?

水無月 : おぉ! 何かあるっぽいね!

金金金 : ほほう、それは楽しみにしておくか。


「何か皆さんの反応が気になるんですけど……とりあえずこのハスは倒しますね!」


 このハス、何かあるの? うーん、まぁ見てみないと分からないし、避けた方が良い敵って感じでもないっぽいからまぁいいや! 避けてばっかだとライオンのLvが上がらないし、スキルLvも上がらないし、進化ポイントも手に入らない!

 放電で攻撃したい気分だけど、何かに隠れて見えてない位置にも敵がいて、それは看破では見つけきれないというのは分かったからね! このハスがいる位置は見た感じ、他の水場とは繋がってない狭い範囲みたいだけど、ここは1体ずつ着実に倒していこー!


「それじゃいきます! 『投擲』!」


 ふっふっふ、この為にさっきは迷わずに器用のステータス強化を選んだからね! ハスに照準を合わせて、小石を弾き飛ばすのさー!


「おぉ! ハスのHPが3割くらい……って、ぎゃー!? ちょ、待ってください!? そんなのありなんです!?」


 待って、待って、待って! ハスが水の中とも思えない勢いで動き出してきてるんだけど!? ぎゃー!? 水の中が見えたけど、ハスに繋がったヘビみたいにうねうね動いてるのは何!?


「水の中でこの速さなんですか!? というか、ハスの根ってこんなのなんです!?」


 なんか太い繋がったままのソーセージみたいなのが動き回ってる!? あ、これってレンコンじゃない!? え、ハスの根ってレンコンみたいものなの!? そこからハスの葉っぱが何枚は上に伸びてるよ!


水無月 : なにこれ!? なにこれ!? わっ! 面白い!

ケースケ : あぁ、ハスの根ってそういやレンコンか!

サツキ : レンコン、美味しいよねー!

ミナト : 厳密には根じゃなくて地下茎なんだけどね。まぁモンエボでは根扱いだから、そこは気にしなくていいかな。

いなり寿司 : ハスって蓮だし、レンコンって蓮根だからなー。


「レンコンってハスだったんです!? ぎゃー!? 陸地まできましたよ!?」


 待って、お願いだから待って!? 根で駆けるというより、レンコンがヘビみたいにうねうね動いて進んできてるのが奇妙過ぎる!? ぎゃー!? 迫って来ないで! うぅ、一旦逃げろー!


ミツルギ : あ、サクラちゃんが逃げ出した。

咲夜 : サクラちゃんって、やっぱり植物が根で動くのには妙な拒否感があるよな。

サツキ : 虫とかトカゲとかヘビとか躊躇なく食べるのに、謎だよねー?

イガイガ : 思った以上の戸惑いっぷり。

金金金 : 狐っ娘アバターの狼狽する様子が凄い。


「皆さん、私の反応を楽しんでませんかねー!? ぎゃー! もう動かないでください! 『咆哮』!」


 あ、萎縮になってハスが萎縮になって動き回るのが止まってくれた! ふぅ、いくらなんでも今のは衝撃的過ぎて、びっくりした! 今まで根で歩いてくるのもなんか苦手だったけど、今回のはそれ以上に変な動き過ぎる!


「ビックリさせてくれましたね! このハス、萎縮が切れるまでに仕留め切ります! 『爪撃』『連爪』『振り回し』!」


 うがー! ひたすら萎縮が切れるまで攻撃だー! さっきの動きは……少なくともすぐには見たくない! さっさとくたばってください、ハス!


「吹っ飛んでください! 『体当たり』!」


 なんだろう、いつもよりも連撃の動きがスムーズな気がする! とにかくさっさと倒すのみ! よし、水飛沫を上げてハスが水の中に戻っていった! HPも残り2割まで減ってる!


「これでトドメです! 『投擲』!」


 耐久力はそれほどないみたいだし、もうさっさと死んでください! 


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


 はー、はー! なんとか攻撃を一気に叩きこんで、ハスは倒せた! あーもう、あのハスの動きは本当にびっくりしたよ! ハスってあんな動き方をするの?


金金金 : 息が乱れる狐っ娘アバターである。こういう表情もあるのかー。

ケースケ : 凄い動揺してんな!?

サツキ : サクラちゃん、お疲れー!

富岳 : 攻撃が、今までのどれよりも必死で的確な動きだったな。

ミナト : 今のは逆に動きの無駄が最小限になってた感じかな?

こんにゃく : そうっぽいけど……さっきの反応って何?


「自分でもよく分からないんですけど、どうも植物が根で動くのが苦手なんですよ……。流石に見慣れてきたと思ってたんですけど、今のは流石に予想外にもほどがあります……」


 ふぅ、でも倒した事でようやく落ち着いてきた……。あー、本当にびっくりしたー! むぅ、いつもの皆さんは私がどういう反応をするのかを絶対に楽しみにしてたよね!? 自分が配信側じゃなくて視聴者側だったら、絶対に楽しそうだからそこで文句は言えない気がするけども!


「……参考までに聞くんですけど、あれって機敏なハスだから起こる事ですか? 才智なハスではそういうのは無かったですよね?」


ミツルギ : さっきの速度で動くのは機敏の場合が多いな。他のハスでも動き方自体はそのままだぞ。

ミナト : 根での移動速度を上げるスキルがあるからねー。サクラちゃん、木の育成の方でそのスキルはスキルツリーで見てるはずだよ?

G : あー、そういやあれは草花でも木でも共通の部分か。


「え、私ってもう見てたんです!? 多分、自分で使う事は……あったとしても相当先になる気がするので教えてもらってもいいですか?」


 もうここはネタバレでも良いから聞いてしまおう! 流石にあんなのをいきなりで何回も見てたら、びっくりし過ぎて心臓に悪いよ! 心構えをしておくためにも、ちゃんと把握しておきたい!


富岳 : 俊敏のスキルツリーの第5段階の『移動速度強化Ⅰ』と第6段階の『駆ける根』だな。

ミナト : 連撃の強化側じゃない方のルートになるやつねー! 『駆ける根』は木や草花用の『疾走』だと思えばいいかな?


「あー!? 確かにそれは見た覚えがあります! え、そんな効果だったんですか!」


 そっか、そういえばそんなスキルもあったよね。『駆ける根』が『疾走』みたいな効果なら、これからも遭遇する可能性はありそう。ふぅ、これからは植物系の敵で機敏がいたら要注意だね。

 木にもあるんだし、木が走って迫ってくる事もありそうな気がする。なんか嫌だけど、出てくるんだろうなぁ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る