第169話 エリアボスのタカ


 エリアボスのタカへのリベンジ戦は予定外な形で始まったけど、今のところは順調なのさー!


「よっ! ほっ! えいっ! ここです! 『身構え』!」


 取ったばかりの身構えで、どうしても避け切れない連撃の3撃目は耐える! ダメージは受けるけど、かなりダメージ量が減ってるから相当マシだよね!


「……それはそうと、なんで放電が再使用時間中なんですかねー」


 考えてる余裕がなかったからスルーしちゃってたけど、思いっきり放電が再使用時間中なんだよね。使おうと思っても、もう少し経たないと使えそうにないよ!


咲夜 : 放電はここにランダムリスポーンしてくる直前に、最大まで溜めて使ってたもんなー。

ミツルギ : 流石にその直後にエリアボスとの戦闘になるとは思ってなかったし……。

サツキ : サクラちゃん、ドンマイだよ!

真実とは何か : 都合のいい事ばかりではないのが、この世の真実である。


「うぅ、確かにそうなんですよね……。えいっ!」


 タカに挑む時は全てのスキルを使える状態にしてからにするつもりだったのに、ランダムリスポーンで戦闘が始まっちゃったせいでまさかの主力が使えないとか考えてなかった! ……さっきまで気にせずに普通に戦えてたけど!


「それにしても攻撃頻度は高いですけど、パターン自体はそう変わらないみたいですね! 『身構え』!」


 今は防戦一方になってるし、どうしても連撃の最後は避け切れないけど、それでもそれ以外の攻撃は回避出来てる。周囲の地形で変な位置に向かって回避さえしなければ、身構えを使ってる限りではHPが一気に削られる事はなさそうだよね。


富岳 : そこまで複雑な行動パターンをしてる訳じゃないからな。特に空中の敵については。

チャガ : 空中戦が出来る種族は限られてくるから、その辺は割と単調だぞ。

神奈月 : 倒す手段さえ持ってれば、空の敵の方が倒しやすいという。まぁ手段が無ければ倒せない敵でもあるけども。


「あ、そうなんですか! 『身構え』!」


 突き刺す羽根の単発と連発、切り裂く羽根の単発と連発の4種類のスキルを順番に使ってきてるだけだもんね。攻撃と攻撃の合間が殆どないけど、それが分かってしまえば回避はやりやすいのさー!


咲夜 : むしろこの辺はオンライン版の対人戦の方が遥かにヤバい。

ミツルギ : 相手が人間だし、臨機応変に対応してくるからな。

ミナト : でも、そこが醍醐味じゃない?

富岳 : そこら辺は同意ではあるが、オンライン版の話はサクラちゃんには通じないから自重だぞ。

ミナト : あ、普段は止めてるのに、今回は私まで乗っかっちゃった。サクラちゃん、ごめんね?


「いえいえ、少しくらいなら大丈夫ですよー!」


 ガッツリとオンライン版の話で盛り上がられると流石に困るけど、今くらいの内容なら問題なし! オフラインゲームだと全部が1人で完結するようになってるけど、オンラインで対人戦だとそういう事もあるよね。殆どオンラインゲームはやったことないけど、一番強い敵は他のプレイヤーなのかも?


サツキ : ねぇねぇ、サクラちゃん。私と一緒にオンライン版を始めてみない?


「あ、それは遠慮しておきますねー! 『身構え』!」


 うーん、回避と身構えでどうにか猛攻は凌げてるけど、それでも私のHPは減ってきてるね。咆哮の再使用時間は過ぎたから、タカが溜め攻撃を始めるのを待ってるんだけどなー?


サツキ : 即答でサクラちゃんにフラれたー!?


「だって、フルダイブに時間制限があるんですし、オンライン版までやってたら配信や実況外での育成が出来なくなるじゃないですか」


 オンライン系や新作はあんまり配信機能には対応してなかったし、まだオフライン版のこのモンエボを1種族もクリアしてないもんね。あと、単純に姉さんと一緒にオンラインゲームをするのは大変そうな予感!


サツキ : あ、そういえばそっか。よーし、それじゃ私が業務用の……痛い!? え、駄目なの!?

ミナト : 今、サラッととんでもない事を言おうとしてなかった?

富岳 : 冗談抜きで、サツキさんって何をやってる人だ?


 なんか今の姉さん、私に業務用のVR機器を用意しようとか考えてた気がする!? 3桁万円になるものを一緒にオンラインゲームをする為にって理由で高校生の妹に渡そうとするのは、流石にやめてー!? 止めてくれた旦那さん、ナイスです!


「とりあえずその話は置いときましょう! ところで、このタカが全然溜め攻撃を使ってくれないんですけど!? 『身構え』!」


ミナト : ……これ以上は触れない方が良さそうな感じだし、そっちに戻そっか。

ミツルギ : その方が良さそうだ。えーと、個体によって行動パターンの変化のきっかけは違ったりするけど……このタカの場合は何になる?

いなり寿司 : 削ったHP……ではないな。初戦の時は殆どHPは削れてないし。

神奈月 : 放電での攻撃を受けるとかは?

富岳 : 無いとは言えないが、条件が限定的過ぎる。

チャガ : 溜め攻撃でありがちなきっかけはあるにはあるが……これは言ってもいいのか?

G : あー、ネタバレ案件か。


「あ、そっか。皆さんにここで可能性の高いきっかけを教えてもらうとネタバレ案件になっちゃいますもんね。もう少し自分で考えてみます! 『身構え』!」


 という事で、回避してからの身構え! ふぅ、溜め攻撃が発生するありがちなきっかけ自体はあるんだね。一度はタカのあの攻撃を受けてはいるんだし、発動するきっかけは体験してるはず。考えろ、考えろー! 多分答えは前に戦った時の中にある!


「はっ! 1つ可能性は思いつきました!」


 えっと、えっと、前に逃げ込んだ崖はどこだっけ!? あ、確かこっちの方! 絶対とは言えないけど、これの可能性は高いはず!


金金金 : あ、前に逃げ込んだとこに移動か。

サツキ : 逃げる事がきっかけ?


「いえ、多分それは違うと思います!」


 その可能性もありそうな気もしてるけど、私が考えてるのは別の内容! 単純に逃げるのがきっかけなら、遭遇して一番初めに逃げた時に襲われてたはずだもん! だから、前と同じように崖の陰に隠れる!


「……さて、これでどうなりますかね? あ、切れてるので再使用しておきましょう! 『看破』!」


 今は別に看破は無くても良い気はするけど、万が一他の敵が近付いてきた時に気付けるようにだね! それでこれでどうなったかな? 前はこれで上に回り込んで高度を下げてきてたけど……。


「やっぱり発動してきましたね! このタカ、姿を一度見失って、その後で見つけたら溜めを開始する感じですよね!」


ミナト : んー、絶対にそうだとも言い切れないけど、大体はそんなとこじゃないかな?

金金金 : なんか曖昧な言い方だな?

ミツルギ : あくまで傾向なんだよ。隠れたのが見つかるのがきっかけだったり、見失う事がきっかけだったり、判断に困る類似パターンがあってな。

G : 推測でしかなくて、確定出来てない条件なんだよなー。個体差があるから尚更に。

金金金 : あー、なるほど。

富岳 : まぁ少なくとも今回のこのタカに対しては、サクラちゃんの今の行動が正解である事は間違いない。

真実とは何か : 実際に発動した以上、それが真実である。


「あ、そういう感じになるんですね! まぁ結果的にこれを引き出せたなら問題ないです!」


 さてと、確実に当てる為に崖の上まで急いで登って、温存していた咆哮でタカを落とすのさー! ……うん、崖の上に移動完了!


「さーて、呑気に溜められるのはここまでです! もう一度落ちてもらいますよ! 『咆哮』!」


 滞空して大技の準備をしているタカだけど、それこそ私が狙っていた攻撃! いっけー! そして、落ちてこーい!


「やった、落としました!」


 うふふ、見事に萎縮になって地面に向かってタカが落下していってるね! 1回目に落とした時よりは低い位置だから落下ダメージは期待できないだろうけど、そこは特に気にしなくていいや。

 ともかく今は大急ぎで落ちたタカの場所まで移動しよう! ふっふっふ、この勝負もらったー!


サツキ : サクラちゃん、一気にやっちゃえー!

金金金 : やっちまえ、サクラちゃん!

いなり寿司 : さて、これで倒し切れるか?

ミツルギ : 雷纏いを使うタイミングは間違うなよー!

富岳 : 今すぐでなくてもいいが、萎縮が切れる前には使っておいた方が良い。


「はい、それは了解です!」


 流石に落ちたタカの所まで走ってる間に使うのは時間が勿体ないけど、辿り着いたらすぐに使おうっと! 雷纏いを使うタイミングは間違ったら駄目だもんね!


「あ、そういえばこれも忘れないうちに使っておきましょう! 『投擲』!」


 もう少しで辿り着くとこではあるけど、落ちてるタカに向かって毒の実を弾き飛ばす! うふふ、これでタカは毒の状態異常になってくれたね! あ、でも毒でも『微毒』だから、一番ダメージ量の低いやつだ。そういえば、何の毒になるかって確認してなかったよ


ミツルギ : おー、採集した毒を有効活用か。

金金金 : これって『微毒』なんだな?

ミナト : まだ上位の毒になる毒の実は手に入らないからねー。

富岳 : 毒性の強いのが手に入るのは、もうちょい進んでからだ。


「あ、そんな風になってるんですか!」


 そっか、だから誰も毒の種類については言及してなかったのかな? うん、私が不思議に思ったとこの謎はすぐに解けた! さーて、もう落ちたタカの目の前までやってきた! ここから反撃を開始なのです!

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