第170話 タカとの決着


 咆哮で『萎縮』になって、毒の実で『微毒』になって地面に落ちているタカの目の前までやってきた! ふっふっふ、地に落ちたタカなんてライオンの敵じゃないですよ! でも、空に戻られると厄介だからね!


「さぁ、覚悟してもらいます! 『雷纏い』!」


 この私の切り札を使うのなら、今しかない! このまま、このタカは仕留め切るのですよ! このチャンスを狙って、身構えで耐えてきたんだもんね!


「それじゃいきます! 『爪撃』『連爪』!」


 今から使えるスキルを使えるだけぶっ放せー! ここからの1分間が勝負の分かれ目!


金金金 : サクラちゃんの怒涛の反撃が始まったー!

G : そのままやっちまえー!

サツキ : サクラちゃん、完全な日の出と共に決着だー!

ミツルギ : タイミング的にそうなりそうだな。


「あ、確かにそうなりそうですね! 出来るだけダメージを稼ぎたいのでこうします! 『振り回し』!」


 今はかなり明るくなってるし、朝日が昇り切る頃に決着になりそう! というか、そこまでに絶対に片付ける! その為にも、さっき私がタカの攻撃を使わせる為に隠れた崖の方へと尻尾で弾き飛ばす!


「やった! 良い感じに崖の方に吹っ飛んでくれました!」


いなり寿司 : そっちに吹っ飛ばすって事は、あれが狙いか!

咲夜 : いつもの岩への叩きつけだー!?

富岳 : まぁ出来るだけダメージを稼ぐには、あれが良いな。


 ふっふっふ、それの狙いも確かにあるけど、それだけじゃないんだよね! 出来るかどうかは賭けだけど、私が出来る事は全てやるのみ! 大急ぎで駆けていけー!


「回り込んでからの『体当たり』です!」


 タカが崖を背にしている状態で、崖に向けて吹き飛ばす感じで体当たり! おぉ、良い感じで崖に衝突して、結構なダメージになったよ! うふふ、これは狙い通りに上手くいったよ! タカのHP残り2割を切った!

 うーん、でもあんまり毒が効いてる気がしない? これってなんでだろ?


神奈月 : おぉ、今のは良い感じ!

いなり寿司 : なるほど、噛みつきで叩きつける前に、体当たりでも叩きつける予定だったか。

富岳 : これなら今回落としたので倒し切れるか?


「倒し切るつもりで行きます! 『噛みつき』!」


 ここで仕留め損ねたら、雷纏いの効果が勿体ない! だから、今のうちに仕留め切る! 思いっきりタカに噛みついて、そこからいつものように崖の剥き出しの岩に向けて叩きつける! えいや!


「噛みつきながらのHPの回復は助かりますね!」


 回避と身構えでかなり受けるダメージを抑えたとはいえ、それでもHPは結構減っているから、ここでの回復はありがたいよ! 取っておいて良かった『捕食回復Ⅰ』だね!

 それはともかく、今はひたすらに噛みつきでダメージを与えながら、岩に叩きつけてタカのHPを削っていく!


サツキ : サクラちゃん、どんどんいっけー!


「はい!」


 噛みつきの効果は切れちゃたけど、スキル無しでもいけるし、残り1割を切ったからもう少しで倒し切れる! 


咲夜 : あ、雷纏いが切れた。なんか早いな。

ミナト : あらら、もう1分経っちゃったかー。吹っ飛ばしたので、少し移動に時間を使っちゃったもんね。

金金金 : あれ? 毒も案外効いてない?

ミツルギ : 毒は動いてないと効きが悪いからな。麻痺で動けない状態だとこうなる。

チャガ : 実は相性の悪い、麻痺と毒。

金金金 : あぁ、コンボとして成立しないようになってんのか。まぁ組み合わせられたら凶悪だもんな。

真実とは何か : それこそ、この仕様の理由の真実なのである。

サツキ : おー、初めて知った!


「毒の効きが悪いと思ったら、そういう事ですか!?」


 なんで折角使った毒の実の効きが悪いのかと思ったら、まさかの麻痺で動けないからって理由だったー! うぅ、そんなところに落とし穴があったとは……。でも、もうタカは仕留められそうだし……。


「わっ!? タイミングが悪いですね!?」


 うがー! 麻痺の効果も切れて暴れて逃げられた! うーん、ダメージ狙いで2回吹っ飛ばした分だけ移動に無駄に時間がかかっちゃった? 今回の雷纏い、なんか妙に時間が早かった気分! でも、途中からひたすら叩きつけてただけだもんね。

 でも、あれ以上吹っ飛ばしまくってたらそれこそもっと移動に無駄が出たはず! 単純にこのタカが耐えきれるだけタフだったって事なのさー!


「ここで逃がしはしませんよ! 『放電』!」


 あと少しで倒せるというとこまで弱らせたんだから、上空へと逃げていくタカへ放電で追撃! あ、これは届かない!?


「あぁ!? 逃げるの、早過ぎませんかねー!?」


 私の放電を振り切って、一気に上空まで飛んで逃げられたよ! うがー! 決着直前に攻撃が届かない距離まで逃亡とか、卑怯にも程が――


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>

<エリアボスを討伐しました>


「……あれ? なんで、今死んだんです?」


 ちょっと待って、私は仕留め切れずに逃げられた状況だったんだけど? 何がどうして……って、あー!? え、もしかしてそういう事なの?


「これって一気に毒が回って死にました!?」


ミツルギ : 多分、状況的にそうなるなー。

サツキ : サクラちゃん、タカの討伐おめでとー!

いなり寿司 : 多分あの移動速度的に高速飛翔で逃げたんだろうけど、まぁ毒を受けてる時にする事じゃないな。

富岳 : 普通に動き回るだけでも毒のダメージ量は増えるのに、移動速度を上げるスキルの使用は一気に毒の継続ダメージの量が跳ね上がるからな。

ミナト : 毒の実はサクラちゃんが与えたものだし、今のは誇って良いからねー!

咲夜 : あー、地味に勝った気がしないやつだもんな。


「咲夜さんの言う通り、なんか勝った気がしないんですけどー!? でも、毒の実は私がぶつけたやつですもんね……」


 うーん、勝った実感が湧かないんだけど、確かに私の攻撃の一部で倒したのは事実だもんね。うぅ、自力でちゃんと倒したはずなのに、最後のトドメを毒に持っていかれるとは思わなかったよ!?


G : 最後の逃げの行動パターンが出るまで追い詰めたのもサクラちゃんだからなー。

イガイガ : そうだぞー! 

ミツルギ : 偶然じゃなくて、追い詰めた結果の必然だから、素直に喜んで良いんだぞ。

神奈月 : まぁ倒した実感が湧かない気持ちも分かるけどなー。

サツキ : サクラちゃんは頑張ったんだし、盛大に喜ぼう!


 何かに横取りされた訳じゃないし、ただの偶然で倒した訳じゃないし、皆さんが言ってる通り、ここは素直に勝ち誇ってもいいよね! よし、そうしようじゃないですか!


「確かにそれもそうですね! エリアボスのタカ、これにて撃破完了です!」


 いぇーい! 最後のトドメは自分でやりたかったけど、それでも私が自力で相性が悪いタカのエリアボスを倒したのは事実だもん! ランダムリスポーンからの唐突な戦闘開始だったけど、それでもちゃんと勝てたもんね!


金金金 : エリアボスの撃破、お疲れ!

サツキ : 改めて、サクラちゃん、討伐おめでとー!

咲夜 : 負けにはならなくて良かった……。

神奈月 : 今回はフラグにならなかったな。

G : だなー。

いなり寿司 : 確かになー。


「本当にそうですよねー! それにしても『身構え』は結構便利でした!」


 Lv差が無くなってあのタカの猛攻の回避自体はしやすくなってたけど、それでも回避し切れない攻撃もあったもんね! 身構えでのダメージ軽減は今回は相当役に立ったよ!


ミツルギ : 『身構え』は攻撃が激しい時や、回避し切れない大技の時に便利だからな。

チャガ : まぁ使わない人は全然使わない類のスキルだが……ミナトさんとか使う事はあるのか?

ミナト : 私? そういえば取ったばかりの頃に試しに使ってみたくらいで、全然使った覚えはないねー。

チャガ : やっぱりか。

いなり寿司 : 上級者だとそもそも攻撃を受けるって事がないもんなー。

富岳 : 『身構え』はどうしても他の行動が出来なくなって、大幅に軽減されてるとはいえ確定でダメージを受けるしな。そこら辺はデメリットでもある。

ミナト : その間に、回避するか潰しにいった方が楽だからねー!

咲夜 : 言うのは簡単だけど、やるのは難しいやつー!

G : 俺は結構『身構え』にはお世話になった。

イガイガ : 同じく!


「あ、人によって有用性が変わってくるスキルではあるんですね。私は、なんだかこれから先もお世話になりそうな予感がしてます!」


 私は上級者でもなんでもないから、ミナトさんと同じような動き方は出来ないもん! 他の人には簡単には真似できない事を平然というのはミナトさんのいつもの事!


「さーて、それじゃ進化をやっていきましょう! あ、その前にスキルを強化していくのもありですかねー?」


 完全に日が昇って昼間になったんだし、時間を飛ばす予定はないから進化までの猶予期間はまだ結構あるもんね。どこかで敵の進化が始まるまで、進化ポイントを稼いで色々とスキルツリーを解放していくのもありかも? うーん、どっちにしようかなー?

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