第168話 エリアボスの元へ


 さーて、ランダムリスポーンでどこにやってきたかなー? とりあえずマップを確認! えーと、現在地は……。


「……え? 流石にちょっと待ってくれませんかね!?」


 ここ、あのエリアボスのタカの目の前だー!? 今日のランダムリスポーン、なんか場所が妙に偏ってない!?


咲夜 : タカの目の前!?

金金金 : まさかの最短距離。

ミツルギ : こんな偏り、ありかー。

サツキ : サクラちゃん、良い引きをしてるねー!

G : これは良い引きなのか?

ミナト : この場合は少し離れた位置からの方が良かったかもね?


 うがー! 挑むつもりではあったけど、こういうタイミングで戦闘開始になるとは思わなかった! 姉さん、これは良い引きとは言わない! うぅ、放電を最大まで溜めてから奇襲で当てようとか考えてたのに!


「わっ!? いきなり攻撃してきましたね!?」


 うぅ、もうタカからの羽根が飛んできたよ! 単発での攻撃だから、一気に飛び退いて回避! あれ? 最初に戦った時よりは、少しだけど回避しやすい気がする?


「……なんか少しだけ回避しやすくなってる気がします?」


チャガ : 少しとはいえ、Lvが上がって俊敏は上がってるからな。

富岳 : 劇的に余裕がある訳じゃないだろうが、少しは違うぞ。

ミツルギ : あくまで少しだから過信はするなよー!


「そうなんですね! わっ! ……確かに過信は良くなさそうですね」


 3連続で飛んできた羽根は避けきれなかったから、これは確かに過信は危険かも。でも、単発なら避けきれそうだから、色々と狙うならそのタイミングだね! 咆哮は戦闘が始まったばっかの今なら大丈夫?


「わっ!? わわっ!?」


 連続で飛んでくる羽根を回避しながら……反撃のタイミングを見計らうよ! いきなりの戦闘開始で慌てたけど、いざ始まったなら焦らずに冷静に対処! 雷纏いを使うのはなんとか地面に落としてからだけど……。


「連撃が完全に回避し切れないなら、全部回避する必要はないですね! ……今です! 『咆哮』!」


 2撃目までは完全に回避して、3撃目はダメージ覚悟で位置をズラすだけ! そこでカウンター気味にタカに目掛けて咆哮だー!


「よし、落としましたよ!」


 やった、狙いは命中! ダメージ覚悟でやったから1割くらいHPは削られちゃってるけど、今はそれでも問題ないね! とりあえず地面に落ちていってるタカの場所まで駆け寄るのさー!


サツキ : サクラちゃん、ナイス! ここから一気にいっけー!

神奈月 : 肉を切らせて骨を断つか。

金金金 : サクラちゃん、良いぞ!


「今のうちに可能な限りHPを削っておきます! 『爪撃』『連爪』!」


 タカは落ちた時にそれなりにダメージがあったみたいでHPが少し減った状態で落ちてたから、そこに爪での4連撃! うーん、エリアボスだからか、思ったほどHPが削れない? 今ので削れたのは1割くらい……意外と耐久性がある感じ?

 1分で倒し切れるか分からなかったから萎縮が切れるまでは雷纏いを使わないでおこうかと思ったけど、これなら使わなくて正解だったかも?


「エリアボスって、他の敵よりもステータスが高かったりするんですかねー? 『振り回し』!」


 この辺は今ままであんまり意識はしてなかったけど、地味に重要な情報のはず! 昨日戦った堅牢な樫じゃ防御力が高過ぎて、よく分かんなかったしね! そもそも木だとHPは元々多いみたいだし。


イガイガ : 劇的に多いって訳じゃないけど、生命は多少は増えてるんじゃないかって推測じゃなかったっけ?

富岳 : 生命と、進化してる系統が通常の個体よりも強化されてる可能性が高かったはずだ。

G : 具体的な数値は予測値でしかないけど、開発がそれっぽい事を言ってた覚えがある。

ミツルギ : 昨日の堅牢の樫みたいに行動パターンが強化されるのは間違いないぞ。今の器用なタカなら、遠距離攻撃を攻撃頻度が強化されてる感じだ。

金金金 : 攻撃頻度が高くなるのって俊敏じゃねぇの? そんなイメージがするんだけど。

ミナト : 近接攻撃での攻撃頻度なら俊敏で合ってるよー。ただ、遠距離攻撃の場合は器用になるんだよね。まぁエリアボスの強化パターンだけに限定はされるけど。

チャガ : 通常の敵は、ここまで途切れない攻撃はしてこないからな。

金金金 : あー、なるほど。


「あの攻撃頻度はエリアボスだからこそなんですね! 『噛みつき』!」


 まぁエリアボスなんだから、他の普通の敵よりも何かしら強化されてても不思議じゃないよね! とにかく、今は噛みついているから削られたHPが少し回復した! うふふ、取っておいて正解だった!


「わっ!? 萎縮がもう切れたんですか!? でも、羽根を抑え込んでるので、遠距離攻撃は無理ですよね!」


 ふっふっふ、羽根を飛ばしてくるのが分かってるのに、そこを自由にさせる訳がないじゃないですか! とりあえず噛みつきの効果が切れるまではこのままダメージを受け続けてもらうのさ!


咲夜 : というか、なんで雷纏いを使ってない?

いなり寿司 : 1分間しか使えないんだから、削り切れるとこまでは温存だろ。

ミナト : サクラちゃんは決して近接の攻撃力が高いとはいえないから、これで正解だよ。

富岳 : 実際、今ので半分も削れてないからな。雷纏いで麻痺を狙うのは良いが、今持ってるスキルでこれなら残りが4割を切る辺りまでは温存の方が良い。


「そ、そういう予定ですね!」


 ……あはは、この後に噛みつきの効果が切れて解放した瞬間に雷纏いを使うつもりだったけど、それはダメだったっぽい? 多分雷纏いの効果中には再使用時間は経つけど、無理に攻め過ぎるのも危険かな? でも、再使用時間が過ぎるなら一気に攻め切っても――


「わっ!? 噛みつきの効果が切れ……って、逃げるの早いですね!?」


 びっくりするほどあっという間に上空まで逃げられたよ!? このタカ、噛みつきのスキルがあって初めて抑えこめてたっぽい! 予定してた通りに雷纏いを使おうとしたら、発動した時には上空に逃げられたかも!?


サツキ : あれ? サクラちゃん、予定と違ってたっぽいの?

いなり寿司 : 思いっきりアバターの目が泳いでる。

ミツルギ : あー、噛みつきが終わった段階で雷纏いを使うつもりだったのか。


「……うぅ、そうですよ。結果的にはしなくて正解だったみたいですけど……あー!? 毒の実の投擲を忘れてました!? わっ! わわっ!?」


 ぐぬぬ、空に戻ったら猛攻が再開されたよ! うがー! 有利な空に戻ったら一方的に攻め立てるとかズルいのさー! うぅ、戦闘開始自体が予定外のタイミングだったから、毒の実の事がすっかり頭から抜け落ちてた!


イガイガ : まぁ状況的に忘れても仕方ないか。

G : ランダムリスポーンでいきなり戦闘開始だったしな。

真実とは何か : それは仕方ないのが真実だ。


「ですよねー!? わわっ!?」


 うがー! やっぱりこのタカ、遠距離からの攻撃頻度は高い! エリアボスはやっぱり普通の敵よりも強い存在なんだね。とりあえず使ったスキルの再使用時間が過ぎるまでは、回避に専念しないと……。

 いつ溜めの攻撃が発生するかも分からないから、再使用時間が過ぎてももう迂闊に咆哮は使えないよね。でも、溜めが始まればそこが次にタカを落とすチャンスでもある!


「あ、そういえばこれを試してみましょう! 『身構え』!」


 おぉ、脚を踏ん張って強張った感じで身構えてる! これはなんかいかにも受け止めようとしてる感じだよね! さて、3連発の羽根が飛んできたけど、ダメージはどうだろ?


「おぉ!? HPの減り方が全然違いますね! わっ! 効果は相手のスキル1回分っぽいです!?」


 3連発の羽根が全部当たっても相当ダメージ量が減ったけど、その次の1撃の時にはもう効果が切れてたよ!? 大慌てで回避ー! あ、地味に再使用時間は短めだ!


神奈月 : 『身構え』はスキル1回分を半分軽減だっけ?

ミツルギ : Lv1ならそうなるなー。

いなり寿司 : ダメージ量は相当減るけど、それでもダメージが無くなる訳じゃないから多用は注意だぞ。

チャガ : 使ってる間は何も出来なくなるから、回避し切れない場合の緊急時用だな。


「あ、そうなんですね! とりあえず危ない時には使えそうなので良かったです!」


 基本的には回避をして、どうしても避けられない時に限って使っていくのが良さそう! とりあえず回避、回避、回避ー! あ、そっか。3撃目が避けきれないなら……。


「今はここが使い時ですね! 『身構え』!」


 連撃の2撃までは避けたタイミングで、すぐに再使用時間が過ぎた身構えを発動! これなら、避け切れない3撃目をダメージがかなり減らせるよね!


ミナト : あ、それは良い使い方だね!

神奈月 : タイミングが難しいけど、こりゃ良い使いどころ!

ミツルギ : 取っておいて良かったとこか。


 3撃目が当たったけど、かなりダメージが減ったね! うふふ、これでタカをもう一度地面に落とすタイミングを狙っていくぞー! いきなりエリアボスとの戦闘開始には焦ったけど、思ってたよりも順調に戦えてるね! このまま頑張って倒し切るのです!

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