第125話 看破を使って


 ふふーん、色々と解放をし終えた! 残り進化ポイントは3にはなったけど、それはこれから取り返すのみなのさー!


「それでは早速使ってみます! 『看破』!」


 ここで使わなければ、何の為に解放したのかが分からないもんね! さーて、どんな風に……。


「わっ!? 凄いですね、これ!?」


 なにこれ、なにこれ、なにこれ! 視界の中のあちこちに敵の種族名とHPの表示と進化階位の表示がされてる! わー! そこの木って成長体だったの!?

 わっ、一般生物の蛾の群れが凄い! まとめて蛾の群れ(一般生物)って表示されるの!? あ、Lv14の知恵あるキノコが少し離れた場所にいるよ!?


「これ、もの凄い便利そうです!」


 これは思った以上の情報量だー! うふふ、知恵あるキノコが分かるとか、危険そうなのは明確に避けられそう! 


サツキ : サクラちゃん、ご機嫌だねー!

金金金 : あー、こりゃ確かに便利だ。


「はい! しばらくぐるっと周辺を見てみます!」


 少し移動しながら色々と見ていくのさー! これ、見てるだけでも楽しいかも! うふふ、敵もこれまでと違って探すのは圧倒的に簡単になる!


 何か動いたのが見えたと思ったら……左側の奥の方でヘビが逃げていった! えっと今のは一般生物だったね! あ、もっと奥の方にも何か追加で表示され――


「あ、表示が消えました?」


 あれ、それなりに色々とは見たけど、もう効果時間切れ? 流石にちょっと早くなーい? 再使用時間は……あ、結構長い!?


ミツルギ : ま、取り立ての頃の難点は効果時間が短いくらいだな。『看破』はLvが上がれば効果時間は伸びるから、どんどん使っていけばいい。

イガイガ : 今ので戦いたい敵がいればそれと戦えばいいし、そうでなければ移動すればいいからなー。

咲夜 : 大体は戦闘が終われば再使用時間は過ぎてるし、疾走との併用は出来るから走りながらでもいける!


「おぉ、疾走と同時に使えるんですか! それは良いですね!」


 そっか、疾走の使用中に使えないのはあくまで攻撃スキルだけだから、攻撃用のスキルじゃない看破は同時に使えるんだね!


「そういえば、これってマップには……あ、流石に表示はされないんですか」


 うーん、交戦状態にはなってないからさっきの看破で見た敵の情報はマップには表示されないみたいだねー。そこまで出来ると、流石に便利過ぎるから仕方ない!


サツキ : サクラちゃん、凄いでしょ!? ねぇ、凄いでしょ!?

咲夜 : なぜそこでサツキさんが自慢げなんだ?

イガイガ : そこは触れても意味がない気もする。


「ちょっと効果時間が短めなのは気になりますけど、そこは慣れですね! それ以外は思った以上に便利そうです!」


 ふっふっふ、これならば敵を見落とすなんて事にはならないのさー! でも、逆に情報量が多いから素早く獲物を見つけて決める必要がありそうだよね。


「とりあえず知恵あるキノコとは戦いたくないので、この場は離れますねー!」


 いつの間にやら雷纏いと放電の再使用時間も過ぎてるし、ここはドバっと大量に敵を倒していきたいところ! 今の場所では敵の数はそう多くはなかった! 流石に疾走を今使うのは無しかな?


G : お、早速避ける方に活用か。

いなり寿司 : まぁ知恵あるキノコは避けたくなる気持ちは分かる。

咲夜 : でも、ある意味『解析略化』を試す良い機会でもあるけどなー。

神奈月 : あ、そういやそうだな。

チャガ : ふむ、確かに悪いタイミングではないか。


「はっ!? 咲夜さん、そのアイデアいただきます!」


 うんうん、咲夜さん、ナイス! 毒持ちの可能性があるキノコの相手は避けたかったけど、確かに『解析略化』の効果を知る良いチャンス! わざと毒を受ける必要があるけど、この際それくらいは許容しよう!


咲夜 : あれ、また採用!?

ミツルギ : 咲夜さん、ちょっとサクラちゃんの行動を誘導し過ぎじゃね?

サツキ : サクラちゃん、変な人には惑わされないようにね!?

咲夜 : サツキさん、いくらなんでも失礼じゃね!?

サツキ : あっ、リアルでの事のつもりだったけど、今のは変な風に聞こえるよね!? 咲夜さん、ごめんなさい!

咲夜 : ガチで謝られた!?

いなり寿司 : なんでリアルでの忠告をここでやる!?

ミナト : リアルの話は個人的な経路でやってねー!

チャガ : ……なるほど、カオスだな。


「もうサツキさんは少しの間、黙っててくれませんかねー!?」


 今日の配信、姉さんが何か言う度に何かしらの混乱が発生してるよ! 姉さんの事は普通に好きだけど、流石にマイペース過ぎるよね!?


サツキ : ……サクラちゃんに怒られた。……旦那にも怒られた。……はい、黙っときます。

G : なんというか、ドンマイ!

ミナト : さーて、それじゃ再開しよっか! とりあえずキノコだね!

イガイガ : そして何事も無かったかのように進行を戻すミナトさん。

咲夜 : うん、その辺は気にしないでおこう。


「はい、まずはさっき見つけたキノコです!」


 キノコ狩りが終わったら、そろそろ配信時間も折り返しを過ぎたし、使った分の進化ポイントを稼ぎつつLv上げだねー! あ、エリアボスも見つけに行かないと!

 とりあえずしばらくは姉さんは静かになるはずだから、今のうちに色々とやっていこー! そもそも姉さんの一言から盛大に脱線しちゃったんだし!


 えーと、さっき看破で見つけたキノコは少し離れた位置にいたよね。確か今の位置から右奥の方の木の手前辺り。その近くまで行って、まずは獅子咆哮をぶっ放そう!

 私のライオンのHPは話してる間に全快してるから戦闘はいつでもいける! それじゃキノコ狩りの始まりだー!


「キノコはさっきそこら辺にいました……って、なんか跳ねてます!?」


 えぇ、キノコって跳ねて移動するの!? というか、行く気なの、このキノコ!?


「あ、でも移動は遅いですね。それじゃこれでいきます! 『獅子咆哮』!」


 ふっふっふ、交戦状態に入ってないからこそ出来る先手攻撃! ピョンピョンと跳ねて移動してるのが気になるけど、まぁそこは良いや!


神奈月 : サクラちゃん、キノコが跳ねるのには苦情は出ないんだ?

イガイガ : 言われてみれば確かに……。


「え? あ、そういえばそうですね?」


 あれ、根で植物が歩くのとあまり変わらない気もするけどなんでだろ? んー、まぁ特に気にならないし、別にいいや! キノコがゲームの中で動くのって、そう珍しい話じゃないしね!


「……ところで、マップを見た感じではまだ交戦状態になってないっぽいのに、なんでこのキノコは逃げてるんです?」


 別にいいやって思ったけど、そういう訳にもいかないよね、これ。このキノコ、私のライオンよりLvは上だったと思うけど、なんで逃げてるのー?


富岳 : この行動パターン、知恵だけど毒持ちじゃなくて識別持ちの方か。

イガイガ : あー、そういや識別持ちの敵だと逃亡パターン……。え、この場合はサクラちゃん相手じゃないよな? Lvはキノコの方が上だし。

ミツルギ : ……看破が切れた後に、何かが移動してきた?

神奈月 : そういえば看破が切れる直前に、何か来てなかったか?

ミナト : あらら、これは看破を使う上で気を付けるパターンが一番初めに来ちゃったかー。んー、これは実際に体験してもらいたいとこだけど、サクラちゃん、さっき試すような真似をしたお詫びね。右前方の草むらの奥、要注意だよ。敵が来てるから。

チャガ : ……なるほど、そういう事か。

いなり寿司 : あー、キノコを狙ってる他の敵が、看破の効果切れの後に来たんだな。そしてそれを識別で見抜いたキノコが逃げていると。

咲夜 : タイミング悪!?


「え、そうなんですか!?」


 そういえば確かに看破の表示が消える直前に何かあった気はするよね。そっか、看破の効果がずっと続く訳じゃないから、その効果が消えた後に敵が近くに来ることもあるんだ!

 

「あ、確かに草むらが少しだけ動いてます!?」


 これ、言われなきゃ気付かなかったやつだー! ミナトさん、これに気付いてたけど教える気は無かったみたい!?

 むぅ、確かにこういう状況を回避するのを毎回聞くわけにもいかないもんね。私が頼り切りにならないように、ミナトさんなりの気遣いかな? 視聴者さんに頼ってばかりじゃ良くないのです!


「……さて、何が出てきますかね?」


 キノコが逃げているという事は、それを狙う何かがいるという事! そして、今の私もキノコを狙っているから、獲物の横取りは許さないよー!

 もう少しで獅子咆哮の溜めも終わるから草むらから何かが出てきた瞬間を狙うのです! キノコと一緒に狩ってやるのさー!


ミツルギ : さて、何が出てくる?

イガイガ : イノシシと予想してみよう!

いなり寿司 : クマ辺りじゃね?

咲夜 : それなら俺はヘビで!

ミナト : 私は見てたから、その予想は参加しない!

富岳 : そこまで大きくはないだろうから、タヌキと予想しておくか。

サツキ : ここはサクラちゃんの大好きなキツネで!


「……え、キツネの可能性もあるんです?」


 あ、でも種族でキツネが選べるんなら敵として出てきてもおかしくはないよね。……正直、あんまりキツネは倒したくないから、キツネ以外でお願いします!

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