第46話 世界の異変の真相
「私のゾンビ達を殺した黒幕の正体をね。」
「!!!」
博士の話を聞くため、家のものを全員一階に集合させる。
「ご主人様~眠いです~」
「大事な話らしいから頑張って、サロ」
「ふぁ~い。ルーちゃん、寝てたらおこしてくださ~い」
「にしても一気に二つもわかったんすね~」
「一体だれがテトラを襲ったんだ……」
「ナタ、記録できる?」
「任せな」カチカチッ
「うゎ~すご~い」
「んんっ。えー皆、注目してくれる?」
「博士、頼むぞぇ。」
「はいはーい。じゃ、まず一つ目。人間の世界から魔力が激減している理由。これはずばり、『妖精の剣のせい』です。」
「妖精の剣って盗まれちゃったやつですか?」
「うん。あれは本来、『極大魔力放出兵器』で、妖精界に魔力を放出してる装置だった。でもあの剣には真逆の機能、『極大魔力吸収機』もあったんだよ」
「つまり、あれが人間界で真逆の機能を働かせてるから魔力が吸収され激減しているということかぇ?」
「そういうことー。それを知ってたら神秘側の者たちはその機能を使わない。だって自殺行為だし。自分たちの生命維持のための魔力をこの世から消そうなんて思わないからね。」
「つまり、人間の仕業じゃと?」
「ま、そう考えるのが普通かなー」
「そう、じゃな。」
ここにいる唯一の人間として複雑な気持ちになるラニャ。
「そして、黒幕の正体。これはこの前襲ってきた兵士達をその後、蛇たちに追わせて調べた結果なんだけど。」
「……」
「あの騎士たちは新しい賢者の個人部隊だった。つまり、黒幕は今の賢者だよ。」
「……新しい賢者が黒幕……。」
「そ。賢者はきっと人間界から神秘を滅ぼしたい。だから魔力を妖精の剣で吸収して、居場所がわかる神秘の者は個別に殺して回ってるのさ。」
「つまり賢者が妖精の剣をもってるのね。」
「十中八九そうね。」
「んーでも、ご主人様。賢者っていうのはそんなにホイホイなれるものではないのですよねぇ?」
「うん。わし以外の賢者は今も昔もそいつしかおらん。」
「賢者の基準てのはどんななんだ?」
「魔術世界において、他に類をみない発展をさせたもの、またはその発展となる功績を残したもの、じゃ。わしは魔術の派生である錬金術において不可能といわれた『賢者の石』を作ったことで賢者になった。」
「じゃあ~今の賢者さんは~どうして~賢者になったの~?博士~?」
「それはね、グレイ。今までの会話で答えは出てたんだ。つまり順番が逆なんだよ。」
「順番が逆?」
「妖精の剣を賢者がもってるんじゃなくて、妖精の剣を手に入れたからそいつは賢者になったんだ。」
「……なるほど!!その剣の発見こそが賢者になれた理由、世界を発展させるほどの発見にあたるんですね!」
「そういうことー。整理すると、黒幕は現・賢者。賢者は妖精の剣で人間界の空気中の魔力を吸収し、人間界から神秘側の者を追放、抹殺しようとしている。そしてそいつは個人部隊をもっていて、個別で部隊を派遣して神秘側を滅ぼしている。」
「まったく……賢者の面汚しにもほどがあるぞ……」
「同じ人間なのに師匠とは真逆の生き方をしてるんだね、その人」
「見せつけておるのかもしれん」
「え?」
「わしに見せつけておるのかもしれん。お前のやることは無駄だと、無意味だと。」
「そんなことない!お母……師匠は立派だよ!」
「そうです!ご主人様は立派なお方です!!」
「私も、ラニャ君のやってることはただの人間として崇高だと思うよ。」
「そ、そうかなぁ~///」
「セクハラはしまくりですけどね~って言ってるそばから尻を撫でないでください!」
「これはスキンシップじゃ」
「ラニャ、現・賢者と面識はあるのか?」
「んー、どうかのぅ。あっちはわしを知っとるみたいじゃが。」
「そうなの~?」
「なんとなくそう感じるんじゃ。」
「ふ~ん。」
ラニャは責任を、感じていた。
自分が賢者であるがゆえに
そして、神秘側に肩入れしているが故に
目を付けられ、知り合いに被害がでていると感じた。
そしてラニャは密かに決意する
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