第44話 亜人救出作戦②

~野営地~


「そう言えば攫ったやつ、女なのか」

「さあな。もしかして気になるのか?」

「いやいや、あれでも人外の化けもんだぞ?」

「普通の人間に見えるけどな。よし、最近色々溜まってるから……」

「始まったよ。殺すなよ?」

「生きてりゃいいんだろ?ま、どうせ長生きはできないだろうが。ヒッヒッヒ」


ひとりの騎士は山賊のような汚い笑みで荷台に向かう


「……」

「よぉ。生きてるかぁ?」

「ひっ……」

「へへへ。いいねぇ。そんな感じでおびえてくれるとイジメ甲斐がある」

「な……なにするつもり……ですか……」

「ちょっとお楽しみをな……」


カチャカチャと鎧を脱ぎ出す騎士


「いやっ……来ないで……」

「へへへ……はぁはぁはぁ……!」


荷台の隅で震えるテトラ。


絶体絶命



「それ以上、近寄るな。ゲス野郎」

「え?」

「あ?」


ガァン!!

「ぐげぇ!!」



リリーが間に合った。


リリーは騎士をぶん殴った。


「リリー……さん!」

「はぁ……はぁ……テトラ。無事か。」

「はい……はい……うぅっ……」


拘束を解いてテトラを助け出す。

震えるテトラを抱くリリーはヒーローだ。


「ひどいことされなかったか?」

「い、いま、されそうでした……。」

「なら、間に合って良かった……」

「リリーさん?」

「ああ……ちょっとキツいな……」


ブォン!!


「がぁっ!!」


リリーは何かぶっ飛ばされる。


「リリーさん!」

「いてぇだろうが!この人外ども!」


ガンガン!

足でリリーを踏みつけるのはさっきぶっ飛ばした騎士だ


「っ……!!やめ……!」

「んー?こっちもなかなかいい女だな?顔は傷つけないでやろう。なぁ!!」


ガンガン!


「うっ!」


うずくまって動かなくなったリリー


「リリーさん!?」

「へへへ。お前ら2人して味見してやるからな。」

「このっ……」

「いいぞ……その反抗的な態度をひれ伏させるのが俺は大好きなんだ。」

「……っ!」

「まずはお前から味見だ……」

「いやっ!痛い!」


両腕を片手で抑えこみ馬乗りになる騎士。


「いやぁ……」


騎士は小さな胸を触る。

いやらしい手つき。


「顔じゃわからなかったが、やっぱり女か。まぁどっちでもいいが。下の方はどうかな……?」

「!!やめて……!」


テトラは抵抗するが腕力に差がありすぎて何もできない。


「へへへ……ん?」

「ひっ……ううっ……」

泣き出すテトラ。


「こいつ!?なんでついてる!?女じゃないのか!?」


テトラは両性具有の亜人。


上半身は女だが

下半身は男なのだ。


「ううっ……ひうっ……」


「化け物……!」


プシュッ!

その時外から何かが飛んできて男に刺さる。


「な……ぁ……」


バターン!!


男は気絶した。

刺さったのはおそらく。


「生きてるか、お前ら。」


「……哪吒さん!?」


哪吒の麻酔針だった。


「騎士が二人しかいないからどこかと思ったがここで当たりだな。」


「リリーさん!リリーさん!」

「ううっ……ああ。平気だ……」

「平気じゃないですよ!!」

「まったく、ラニャみたいにはいかないな……はは。」

「リリーさん……ずっと近くに、近くにいてください……」

「テトラ……わかったよ。」


『あらあら、お邪魔かしらねあたし達。』

「そうなのか。じゃあ帰るか」

『いやいや2人を置いていかないでよ』

「じゃあどうすんだ。」

『外で二人を待ってて。待機よ』

「了解」


しばらくしてリリーがテトラを抱えて荷台から出てきた。テトラはリリーに抱きついて眠っている。


「悪いな、待たせて」


待機モード解除シマス


「ん?終わったか?じゃいくか。」

「ああ。奴らは?」

「そこで寝てる。」

「なんかいってたか?」

「言う前に眠らせた。」

「ああ~そう……。いつつ……」

『リリー。あんた歩けんの?』

「正直ちょっとキツいな。」

『でも、休んでたら騎士どもが起きるわね。

哪吒。乗せてあげて』

「了解。」


ガシャーン!!


哪吒は横腹から鉄の翼が飛び出る


「あー乗っていいのか?」

「飛びたかったんだろ?」

「ゆ、ゆっくり頼むよ……」


三人はゆっくりとナタリアの工房に戻る。


リリーは飛ぶのが怖くて少し泣いた。



~ナタリア工房~


「おかえり」

「ただ……いま……」

「戻ったぞ。」

「テトラちゃんとリリーはあたしのベッドで休んで。」


「悪いな……もう限界……」

バターンと服のままベッドに倒れ込む2人。


「哪吒はさっきの戦闘記録見せて」

「了解。」


『記録モードヲ再生シマス』


「……」


映像には白銀の鎧、白銀の剣


そして


「……?」


見慣れない道具。


「魔道具かしら……」



戦いは

始まっている。






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