第41話 のじゃロリ×文学系死神③
ラニャの浮気事件から数日後
再び同じ様なシチュエーションが巡ってきた。
サロ、ルーは不在。
ラニャはルンルン気分で街へ出かける。
狙いはもちろん文学系死神のシオンだ。
カランカラン
「いらっしゃいませ。ああ、ラニャさん。最近はよくいらっしゃいますね」
「おうマスター。マティーニ一つじゃ。」
「はい。ただいま」
カウンターにすわる。
周りを見回してみたが、シオンはいない。
「のぅ、マスター。あのー……」
「あのきれいな女性ですか?」
「そうそう。」
「最近は来られてないですよ。」
「あー……そうかぇ。」
「残念ですね。でも全く来ていないわけではないので、この街には居るはずですよ」
「そうかぇ。うーんどうしたもんか……」
「何かあったんですか?」
「実はのぅ」
ラニャは打ち明ける。
自分の失態。セクハラというかもう乱暴に近いことをしてしまった話。
「あーやっぱりそうなったんですね」
「やっぱりて。」
「ラニャさんは自制心が弱いですから」 「むー!うるちゃーい!」
「一度きちんと謝ってしまった方が楽ですよ?」
「むー、確かにそのつもりじゃが、どこにいるのやら……」
「ラニャさんの占いで調べてみては?そういうことも出来るのでしょう?」
「え、あ」
ラニャはシオン(とおっぱい)の事を考えすぎて、自分が魔術師であることを失念していた。相手は死神だ。魔力の探知は難しくはない。
「そうじゃな。占ってみよう。」
「頑張って仲直りしてくださいね。」
「うむ。ゴクゴクゴク……ぷはー!ご馳走さんじゃ。またくるでのぅマスター」
「マティーニを一気飲みする方がいるとは、ああ行ってらっしゃい!」
ラニャはカウンターに小銭を置いて出て行った。
「よし」
ラニャは探知魔術を行使する。
大きい赤色の宝石にシオンを思い浮かべながら魔力をそそぐ。すると赤い宝石は光り出す。
ある一定の方角に向けると光が強くなる。コンパスの要領と同じ。
「こっちか」
方角は街から離れて高台へ。
見晴らしのいいベンチに彼女はいた。
「………」
「……こんなところにおったのか。」
「?……あっ」
「あー……よっ!この前ぶりじゃな!」
「ラニャさん!この前はその、ついやり過ぎちゃって本当に……すみませんでした。」
嫌われたのかと思っていたがどうやらあちらの方が申し訳なさで一杯だったようだ。
「あ、いや。あれは10割わしが悪い。本当に申し訳なかった。」
「……それでは、おあいこといたしましょう。今宵は星がきれいですよ」
「それって告白?」
「い、いえそういうわけでは」
「でもおぬし、かなり怒っておらんかったか?」
「あれは……いきなり、場所も選ばずああいう行為をしようとするからです。」
「ハイ、スンマセン」
……?つまり行為自体はOKってこと?
ラニャは懲りていなかった。
「そういえば、私になにか御用があったのですか?」
「うむ。他ならぬ死神であるおぬしにじゃ。」
「はい」
「……死神は死んだ者の魂を現世に導くことは可能か?」
「時間はかかりますが、可能ですよ。」
「やはりか。ではおぬしにお願いがある。」
「……死者の魂を現世に導くのですか?」
「そうじゃ。わしの娘を連れてきてほしいんじゃ。この世に。」
「ラニャさんの娘さんの……。顔などわかるものはありますか?」
「コレじゃな。」
ラニャはララの念写写真を渡す。
「あら。可愛らしいですね。こちらの方を蘇らせるということですか?」
「頼む」
「ラニャさん、この前と同じ人とは思えないですね。」
「この件に関しては命を賭けてマジじゃ。」
「そうですか。……導くことはできます。ですが、そうなると霊界での席が一つ空くことになります。」
「うん?」
「死神が自分の意志でそういった魂の移動をさせることはまれにあります。多いのがネクロマンサーなどの魔女に頼まれることですが。しかしその場合、代わりとなる魂を導かなければなりません。空席を作ることは推奨されないのです。その場合、もしラニャさんが亡くなった場合、そこに座っていただきますがよろしいですか?」
「……え、それだけでいいの?今すぐ死ねぃ!とかじゃないの?」
「私たちは導くだけですので、いわゆる管理人です。自ら手を下すような者ではありません。死神社会としては現在の正確な魂の収容数と残りの収容可能数を把握することが最も重視されるので、そういった意味で一つ出したら一つ戻す、という契約となります。」
「なるほど……」
「あと、もう一つお願いがあります。これは私の個人的なものですが。」
「ん?なんじゃ?」
「私と友達になってほしいのです。そして、娘さんを、蘇らせることができたら、ぜひ紹介してほしい、ということです。」
「なんじゃい。もう杯をかわしたのじゃからズッ友じゃろー。もちろん娘も紹介するぞ。」
「ズッ友……?とりあえず友達ということですか?」
「そうじゃ。よろしくのぅ。」
「はい。よろしくお願いします。」
ラニャはシオンとズッ友になった!!
「(計画通りじゃぁ……)」
ニチャァ
後ろを向いてほくそ笑んだラニャ。
ラニャはハーレム計画の針を進めた。
ララ蘇生の為の手順。
まずは魂の問題が解決した!
つづくのじゃ!
ーメモー
死神:
この物語では、死をもたらすのではなく、魂を導く者。そして管理するものであり勤勉、几帳面でマメな者が多い。シオンもその一人。なお、戦闘能力は人間に対してのみ発揮できる。
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