第35話 のじゃロリ×精霊のふたご①
「娘を蘇らせることにしたぁ?」
声の主はドワーフのナタリア。昼だというのに酒を飲んでいる。
「何でまた急にぃ?」
「夢に出てきてしまっての。やけに現実的な夢で、もう自分を抑えられん。」
先日見た夢で娘と再開したラニャ。一般人の見る夢と魔術師の見る夢とでは意味合いが違う。
「まあ魔術師の見る夢ってのは予知とかなんかの前兆なんでしょ?」
「そうじゃな。」
「ふーん。いいんじゃない?欲望に忠実になるって、大事よ。」
「おぬしはもう少し自制心必要じゃろ……」
「あら?1人ではあんまり飲まないわよ?」
「ほんとか~?」
「嘘だぜ。博士は何かと飲んでる」
機械人形の哪吒(なた)が水差しを持ってきた。
「同じ量の水飲めよ博士。じゃねーと分解されねーから」
「これよ……。最近小姑みたいになってきたのよこの子。」
哪吒太子はナタリアのともに暮らしている機械人形仙人。活発そうな少女姿でかわいらしいエプロンをしている。
「サロがもってけ、ってさ。ナタリア博士は酒飲みのくせにそんな強くねーから。」
「うっさいわねー」
「ずいぶんとかわいらしいエプロンじゃな、
哪吒?」
「サロが着ろってさ。別に機械だからいらねーって言ったんだが、強引にな。」
「似合っておるぞ~ヌフフ……ワシの専属メイド3号にならんか?」
「博士がいいならな。」
「ダメーあげなーい」
「だとよ。」
「チッ」
ラニャのハーレム生活にはまだまだ美女が足りないらしい。
「にしてもこの短期間でずいぶん色々あったみたいね。亜人、ゾンビ、魔女、妖精に妖精王、そして神って……」
「お客さん。あたしを忘れてるんだけど?」
カッコつけて自分に指を指すスライムのミルカ。ラニャのメイド2号。
「あースライム。忘れてた。」
「ひどいつ!?」
「いや、あなたが悪いわけじゃないけど、今のメンツに並べると……ねぇ?」
「まぁ、たしかにその人外のお歴々と並べられるのはきついっすね~……」
「でしょ?あ、飲む?ていうか飲める?」
「スライムなめたらあきまへん。飲めるし酔わないし。なぜなら吸収も分解もしないから!」
「なかなか便利な身体ね、それは。」
「おぬし、仕事中じゃないの?」
「きゅーけーですよー、きゅーけー」
「なぁ、神って強いのか?」
「んー普段はぼーっとしてたがのぅ。刀を抜いたと思った時には、偽妖精王は真っ二つじゃったぞ。」
「いや、私死んだかと思ったわよ。死なないけど。」
「すごいわねそれは。」
「それ以外はボケボケじゃ。名前も忘れとったし」
「なんかイメージとちがうわね。」
「おそらくわしらとは時間の流れ方が違うのじゃ。悠久の時を生きてきた者達じゃからな。」
「そういうもんかしら。」
コンコン
「こんにちはー」「ちーっす。」
そこに現れたのは亜人のテトラとエルフのリリー。テトラは男であり女で見た目は細身大人しい少女だ。対してリリーは男っぽいが顔のいい女エルフ。
「お?珍しいのぅ、夫婦そろって」
「ふ!?夫婦じゃ……ない……です!」
「そ、そうだぞ。ラニャ。今日はたまたま近くを通ったから……」
ガチャ
「こんにちは~!ってあれ、なんかたくさんいるね」
「こんにちは~です~」
今度はゾンビ博士とゾンビのグレイがやってきた。
「なんじゃなんじゃ、次々と!?」
「んーなんかここにこなきゃいけない気がしてね~」
「虫の知らせっていうんだよ~」
「グレイよく知ってるね~えらいぞー」
「えへへ~」
博士がグレイを猫なでしている。
おかしい。
絶対におかしい。
面子をみまわす。
元賢者・ラニャ
サキュバス・サロ
人狼・ルー
エルフ・リリー
ドワーフ・ナタリア
機械人形仙人・哪吒太子
亜人・テトラ
ゾンビ・グレイ
魔女・博士(本名不明)
スライム・ミルカ
※神、妖精は欠席
まるで怪物軍団!?
「なんか壮大だねー!」
「ちゅーか、なんか全員集合してるんじゃが!?」
「あらあら、コップ足りるかしら……」
そしてー……
コンコン
「今度は誰じゃ?」
もう知り合いはなぜかそろっている。
ここでくるとしたら新しい客だ。
「はーい♪」
ガチャ
開けたところには
顔のよく似た二人の少女がたっていた。
中華風の衣装で頭にお団子結び。
ひとりは1個、もう1人は2個。
「こんにちは。」「ここは、ラニャって占い師の占い屋で合ってるか?」
「ええ。こちらですよ?ご予約されてますか?」
「いえ、今日はこの時間予約がないのでお邪魔しました。」
「ついでにいうと、ここに人外達が集合するってのもわかっててきたんだー」
「へ?」
全員が困惑した。
この子どもは何を言ってるんだ?
「申し遅れました。わたしは占星術師の風(ふう)です。聖霊です。」
「あたしは鈴(りん)。同じく聖霊。ついでにいうと占星術師ってのはあんたと同じで表家業だ。」
「……つまり、裏家業もあると?」
「裏家業は」
「「預言者です/だ」」
つづくのじゃ!
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