第26話 のじゃロリ×ゾンビ博士②
一行はラニャの家にもどる。
ヒュン!
「おっと!」
「ぐえぇ!」
「わー」
「ほっ!」
家の前にたどり着く。
なぜかいつも着地に失敗するラニャ。
今度は泥だらけになった。
「えぅ……」
「ここが君たちの家かい?んー、なかなか静かで住み心地良さそうだ。」
「えぅぅぅ……」
「えっと人払い?の結界を張ってるときは人もこないんだってー」
「うぅぅぅぅー……!」
「んー、確かにそうみたいだね。」
「中に入ろうか。」
「は~い」
「「うわぁああああああん!!!!」」
異常事態に神経をすり減らし……
ただの騎士に追い詰められ……
魔女に魔術の差を見せつけられ……
着地では泥だらけになり……
賢者としてのプライドはズタボロ……
結果……
ラニャは幼児退行した!
のじゃロリのロリ面が暴走する。
「うわぁああああああん!!!!」
「あ~……」
「えっどうしたの!?」
「あ~れ~ラニャさ~ん?」
「あーごめんなさい。2人は中で座ってて?」
ガチャ
「あらあら、どうしたんですか?ってご主人様!?」
「うぇぇーーーーん!!」
大泣きするラニャの声にさすがに家の中にいたサロも出てきた。
「あー、サロ!ごめん、タオルとお風呂の準備をお願い!あと2人はお客さん!ソファーで待っててもらって!」
「はーい♪お二人はこちらへ~♪」
「お邪魔するよ~って君、サキュバス?」
「はい♪こちらでメイドやってますサロで~す♪」
「はっはっは!おもしろいなーここは!」
「ご主人様の事はお気になさらず~ただの発作ですので~。」
子供のようなピュアハートと
ばあちゃんのプライドをもつ、
不安定な存在
それがのじゃロリなのだ!
「よーしよしよし。師匠はすごいな~天才だなぁ~」
「うっ、うっ……」
「天才な師匠ならこのままお風呂入れるよね?一緒に入ろうね?」
「うん……。」
ルーはなんとか説得することができた。
・・・・
「すみません、お待たせしてしまって。」
「いや、全然かまわないよ。グレイも寝てしまったしね。」
博士の膝の上でスースーと眠るグレイは本当に妹のようだ。
申しわけなさそうにルーの後ろに隠れながら現れたラニャ。
「す、すまんな。取り乱してしまって……恥ずかしいところを見られた……」
「君も色々あるんだね~。抱え込むと良くないよ?」
「ははは。おっしゃるとおりで。」
「さぁ、皆さまコーヒータイムにしましょ♪博士さんも良ければおかわりどうですか?」
「ああ、いただこう。」
「ルーちゃんはホットミルクですね~」
「ありがとう!さすがサロ!」
「ふふ。そちらのお子様は?」
「あーこの子はゾンビだからいらないよ。」
「まぁ!ゾンビ!ついにそんな方までいらっしゃったんですね~ご主人様♪」
「ああ。この博士は一応魔女じゃ。」
「ん~??何がどうなってるんです??」
「いい機会だ。改めてもう一度話をまとめようか。」
「じゃな。」
ラニャたちはもう一度さっきの異常現象をまとめる。
「魔力のない世界ですか~……」
「ああ。あれほど戦いにくいとは思わなんだ。」
「確かにこことは全然違かったよね。」
「それに、新たな賢者の誕生。」
「ご主人様、賢者ってそんなにほいほい生まれるものなんです?」
「いや、これまではわしだけじゃよ。世界を変えるような魔術ないし発見、錬金をなした者にあたえられるらしい。わしは『賢者の石』を作り出したから『賢者』になったんじゃ。」
「うーんじゃあその新しい賢者っていうのもすごいことを成し遂げたんだろうね~」
「私はその式典に呼ばれてね。魔女なのに。どうやら、新しい賢者はなにかの聖遺物を発見したらしいんだ。それが何かまではわからなかったけど。そして、私のゾンビ達はこの子を残してすべて浄化されてしまった。」
「銀の剣とはのぅ。心得ておる。」
「げっ……マジですの?ご主人様」
「マジじゃ。」
「元から私を墓地から引き離すのが狙いだったんだろう。とんでもないやつだよ、新しい賢者は。私のゾンビアイランドの夢が……」
「ゾンビ」
「アイランド」
「夢」
「「「聞かなかったことにしよう……」」」
さすがの三人もその言葉のろくでもなさに深く関わるのはやめようと思った。
「博士はこれからどうするんじゃ。」
「んーほとぼりが冷めたら荷物を取りに行ってまた別の墓地で良質なゾンビ作りといきたいけど、しばらくは野宿かな~」
「うちの工房で良ければ貸すぞ?きれいではないが墓地よりはきれいじゃ。」
「おおーそれは助かる!グレイは外の土で寝たがるけど、服が汚れるからあんまりさせたくなかったんだ~」
「代わりにしばらく、その新しい賢者について調べて報告してほしい」
「あー確かに気になるよね。いいよ、それなら。空気中の魔力がなくなるのはこの子にもよくないし。」
「よし、決定じゃ!」
翌日から博士とグレイはしばらく工房に泊まることになった。
新しい賢者と
この怪現象が
ラニャの運命を変える
次回につづくのじゃ!
ーメモー
ゾンビ:屍人。歩く死体。普通のゾンビは日光に弱いので昼は活動が抑制されている。
博士の作る?ゾンビ:
生前の性格を残しており意思疎通ができるが脳みそは半分溶けているため知能は低い。それによって能天気なものしかいない平和な種族になっている。魔術で体内時間を止めているため、食事はとらず、匂いも腐ることもない。博士は食事の楽しさをゾンビに与えるために色々研究中らしい。
魔女:魔術師とは段違いの魔術を行使できる存在。体内に巨大な魔力タンクがあるため空気中の魔力量にはあまり左右されない。
無詠唱魔術、規格外、長寿。
見た目はそれぞれ違うがなんとなく蠱惑的な雰囲気がある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます