第25話 のじゃロリ×ゾンビ博士①
大きな丸太?が三人の騎士を吹き飛ばした。
「えっ?」
「なんじゃ……?」
フシュルルル
丸太だと思っていたのは
大蛇だった。
「いやいや、全く困ったなぁ。あーあ」
知的な女の声がする。
大蛇の影から現れたのはフォーマルなドレス姿の女だった。
「あ~!はかせ~!」
グレイは駆け寄り抱きつく。
まるで母と子、というより年の離れた姉と妹だ。
「おお!我が愛しきアールグレイではないかー!?よかったー!君だけは無事だったのかー!」
博士と呼ばれたのだ。
その女はグレイの言っていた、魔女。
「君たちが、この子を?」
「えっ?あっはい。いてて……」
「んー?怪我してるのかいどれどれ……」
「ちょっ!」
ラニャは警戒を解かなかった。
「そんなに警戒しないでー。はい、治ったよ。」
「「!?」」
腕の傷は完全に治っている。
「すごい!」
「はは……この場所で無詠唱とは。見せつけてくれるわい。」
フシュルルル
「ああ、食べちゃダメだよ?バジリスク?」
「おぬし、よくこの場でそんな召喚ができたのぅ。やはり魔女か。」
「ん?召喚?この子はずっと一緒に生きてきた兄弟みたいなもんさ。」
「はは。マジかい。もしかして本物のバジリスクじゃなかろうな?」
バジリスクとは古代の伝説に残る蛇の王。
「まさか!名前を借りてるだけだよ。にしても、君たちには色々聞きたいことがあるんだけど、まずはお礼だね。この子を守ってくれてありがとう!」
「まぁ、依頼じゃからのぅ。」
「依頼?ゾンビの?それでここまで来ちゃったの?」
「ゾンビの寝付きが悪いなんて大事じゃろ。それに来てみてもっと大事になっとったが。」
「その辺わかるんだ?君もしかして魔術師?そっちの子は人狼だよね?」
「はい。ルーっていいます!」
「わしはラニャじゃ。」
「ルーにラニャね。ラニャ……君はまさかあの元賢者?」
「なんじゃー知っとるんかい。」
「魔女の中でも有名だよ君は?人の身で
魔女にもっとも近い魔術師って噂なんだよ。」
「うーん素直に喜べんなぁ……」
「立ち話もなんだし、どこかへ移動しようか?」
「そうじゃな。すまんがわしもこっちのルーももう魔力が空じゃ。なるべくここから離れた所に戻りたい。」
「君たちどうやってここに?」
「博士の~魔道具で~来ました。」
「じゃあそれで君たちの家に戻ろう。ベルが使える場所まではバジリスクに運んでもらおう。」
「助かる」
バジリスクには人が乗る荷台がある。
蛇に乗るという貴重な体験をしたルーはグレイと共にはしゃいでいた。
「他のゾンビ達は全滅か~はぁ~……」
「おぬし、ゾンビの博士なんじゃってな。」
「そうだよ。ゾンビはいいよ~、死んでるし脳みそ半分溶けてるからグレイみたいに素直で脳天気で、楽しそうで。変なたくらみもないし!」
「思ってたんじゃが、グレイは身体が腐ったり臭くなったりしておらんな?何かあるのか?」
「肉体を修復したあとに、肉体の時間を止めたのさ。顔色は悪いけど普通の人間だろ?」
「まあ、そうじゃな。」
「そうやって良質なゾンビを増やして、ゾンビアイランドを作る予定だったのに……また1からとは……」
「ゾンビアイランド……」
嫌な予感しかない。さすがに魔女。ろくなもんじゃない。
「おぬし、なんでドレスなんじゃ?」
「ん?今日はわざわざ王宮の式典にお呼ばれしてたんだ。新しい賢者が生まれたらしくて。それがまさか罠だったとは……」
「新しい……賢者……」
こちらはもっと嫌な予感しかしなかった。
「でも君、まさか本当に人助けならぬ神秘助けをしてるんだね~」
「まぁの。おかげで今日は散々じゃ。」
「はは。グレイは私のお気に入りでね、正直本当にありがたいと思ってるんだよ私は。」
「わしもこの歳で新しい体験ができるとはのぅ。魔女に会うのは初めてじゃし、蛇に乗るのもじゃ。」
「それはよかった。長生きはするもんだねー」
「おぬしのほうがずっと年上じゃろうて。」
「まぁね♪」
蛇というのは恐ろしく早い。だが頭の部分はあまり揺れず、爽快だ。
「この辺かな?」
「スゥー……じゃな。魔力がある。」
「よし、ストップだ、バジリスク。」
フシュルルル
一行は荷台を降りて平らな地面を探した。
バジリスクは博士の指ぱっちんで襟巻きくらいの大きさになった。
「めちゃくちゃじゃ……」
ラニャは凹んだ。
魔術のレベルというより次元が違う。
「うう……ルー、慰めてぇ……」
「よしよし、今日の師匠はかっこよかったよ。」
「うう~……ルーすきぃ~……」
地面をみつけ、円を書き、ベルを鳴らす。
チリンチリン
チリンチリン
一行は
空へと吸い込まれる。
続くのじゃ……
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