第13話 のじゃロリ×ドワーフ女①
噂をすれば影。
家の新築の話をしてすぐに
ドワーフの少女がラニャの占い屋に訪ねてきた。
「お客様、コーヒーお持ちしましたよぉ♪」
「……」
ドワーフらしい女はやぼったい格好でメガネをかけている。ちらっとサロを見て
「何でサキュバスが給仕なんか……?」
とボソッとつぶやいてコーヒーをすする
ズズズ……
「……まずい。やっぱり紅茶の方がいいや」
「あ、あらーお口に合いませんでしたかぁ……」
「その猫なで声やめてよ。早くここの主人だして。」
「うううーはぁーいー……」
しょぼくれて二階にあがっていくサロ。
ルーはいつの間にか女ドワーフの隣にいた
「……」
「!?うゎっビックリさせないでよ。ってあなた……人狼?」
「へぇ!わかるんだね!本当にドワーフなんだ!」
「ま、まあね。」
「(この人、誉められると弱いタイプか。なるほど。)あ、もう少しで主人が来ますのでごゆっくり。」
「ゆっくりじゃなくて、はやく!」
「あはは。そうでした」
楽しそうに階段を登っていくルー。
するとすれ違いに白髪の少女が降りてきた。
「待たせてしまってすまんの。」
「……?主人がくるんでしょ?」
「わしがここの主人じゃが?」
「あなたみたいな子供……なんか変ね。」
「わしは子供ではないのでな。ばはあ臭がするとかいったら、殺すぞ♪」
目が本気だった。
「ひっ!……い、いいわ。あなたに頼みがあってきたの」
そういうとドワーフは手斧を取り出した。
「……またこの手の依頼か……」
「?ここは何でも屋じゃないの?」
「占い屋じゃ!誰に聞いたんじゃまったく!」
「貼り紙にも書いてあるし、エルフのリリーって子に聞いたのよ。最近すごい弓手に入れたって言ってから。」
「あいつ、結構天然じゃったのか。イケメンムキムキ女エルフでさらに隠れ天然とは、ポイントあがるな……!ますます家に置きたい……」
「?とにかくここにくれば直せるって聞いたのよ。」
「はぁ。鍛冶屋はやっとらんのだがなぁ。まあちょっと見せてみよ。」
「あんたにわかんの?これ?」
「案ずるな。ワシは賢者じゃ。だいたいわかる」
「あんたがー?」
「あ、疑っておるな?じゃあ、試しにこのタロットから好きなの引いてみよ。」
「?」
女は言われたとおりカードを引く。
「引いたか?」
「ええ。見てもいいの?」
「自分だけでな。」
カードは「愚者」の正位置
「……なにこれ、馬鹿にしてんの?」
「おぬしが引いたのは愚者じゃな?」
「!?」
「おぬしはプライドが高くて気難しい。好きなことに対しての興味は恐ろしく深いが、興味のないことに対しては人並み以下になる。そうじゃろ?」
「な、なぜそれを!?」
「そりゃ乙女のたしなみのタロット占いすら知らんのじゃから仕方ないのぅ。」
「タロットなんて知らなくても生きていけるっての!」
「ちなみにそのカードの本来の意味は正位置なら自由・型にとらわれない・天才的などの意味じゃ。おぬしが引いたのが文字の読める向きならそういう意味で本来は喜ぶところじゃぞ。」
「!!し、知ってたわ!もちろん!」
「はいはい。これで信じてもらえたかのぅ。」
「ってこれは魔術でも何でもなく推理じゃないの?」
「魔術が見たかったのか。ほれ」
ラニャかパチンと指をならすと愚者のカードは勢いよい空中に飛び上がって箱にしまわれていった。
「お、おお」
「まだ、やるか?」
「い、いや仕事の話をしましょう。」
ラニャはドワーフの斧を調べた。
「刃がガタガタじゃ。というかもう刃がないぞ!手入れしとるんかぇ!?」
「騙し騙しでやってきたけどさすがに無理でね」
「自分の道具に騙されるぞ、いつか。」
「うまいこと言うわね。でも仕方ないじゃない。人間界にある砥石じゃ研げないんだもの」
「わしが研げるのは包丁とナイフぐらいじゃぞ?」
「そこはさすがにやるけど。あなたにはその砥石と柄につかう木材を調達してほしいの」
「そうきたか。……ちょうどいい。」
「?」
「すまんが調達は出来んが調達できる場所は案内できる。」
「……?よくわかんないけどあなたが場所まで案内して、私が調達するってこと?」
「もちろん手伝うが、どうする?」
「んー、まぁなおるならどっちでもいいわ。」
「じゃあ決まりじゃ。ちょっと待っとれ。」
ー五分後ー
「よし。サロ!ルー!ちょっと出かけてくるぞ!帰るのは夕飯時じゃ!」
「了解ー!」
「お夕食作って待ってますねぇ~♪」
2人はベッドでごろごろしながら答えた。
「さて行くかの。」
取り出したのは花柄の鍵。
行く先はもちろんあの聖域の森。
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