第8話 のじゃロリ×淫魔②

 切れたワインを仕入れ、帰宅したラニャ




 ~翌日の夜~




「おうじさまのきすでおひめさまはめをさましたのです。」

「だいぶ上手くなってきたのぅ、ルー」

 いつものように寝る前に絵本を読む。

 最近はルーが音読するのをラニャが聞いていた。

「ししょー、きすってなに?」

「唇をこうやってくっつけることじゃ」

 ラニャはルーの額にキスする。

「んー?これでなんでおきたの?」

「そういう魔法なんじゃよ。」

「まほー?」

「もう少し大きくなったらルーにもわかるぞい。さあ今日は寝るんじゃ。」


「うん。おやすみなさい、ししょー」

「うむ。おやすみじゃ」


 今日は満月。対策はしているが人狼のルーにとっては万が一を避けたかったので早めに寝させる事にした。


 一階におり、赤ワインで肉を煮込む。

 明日、明後日のルーの食事を準備しておく。

 ルーはかなりの大食いなのだ。


 と。


 コンコン


 扉を叩く音がした。


「ん?誰じゃ?」

「こんばんはぁ♪ラニャさんのお宅ですかぁ?」

「そうじゃぞー、もう営業時間は過ぎとるがのぅ。」


 ガチャ


 ドアを開けると、この前あった美女ウェイターがそこにいた。


「うふっ♪どうもラニャさん♪約束通り遊びに来ましたよ♪」

「おお、まさかこんな夜にくるとはの。」

「スミマセン!お邪魔します♪」

「ホントに上がるんだ……」

 思わず【のじゃ】が抜けていた。



「うわぁ!珍しい物がいっぱい♪」

「テンション高いのぉ」


 互いにソファに座り世間話をする。


「そういえばお酒ももってきたんですよ~♪」


「おお!気が利くのぅ!あ、二階で子供が寝てるでな、静かにの」


「あら?子持ちだったんですか?」


「正確には弟子じゃ。」  


「そうなんですねぇ。あ、厨房お借りしますね~♪」


 美女はしばらくしてグラスにピンクの酒を入れてもってきた


「こちらベリーニです♪」


「じゃあ」


「「かんぱーい!」」

 ・・・・


「おぬしはサロというのか。」

「はい♪最近あのお店で雇ってもらってるんです。」

「大人気じゃったな。特に男には。」

「んん~そうなんですよねぇ~。前も言いましたが私は女性が好みなんですけど・・・・」

「んふふふ。わしもきれいなおなごは大好きじゃ」

「あら、ウフフ♪もっとなにか持ってきますね?」

「赤ワインが厨房にあるでな~頼んだぞぉ~」


 ・・・・


 酒を飲んで少し気分が上がってきた二人。

 サロの酒と、家のワイン1本を飲み干した。


「それで今日はどういうつもりじゃ?占い?人生相談?」


「それは……」


「・・・・」

 チラチラとラニャの顔を見るサロ


「ん?」


「……あれぇ?」

 少し焦った顔をするサロ


「どうしたんじゃ?」


「あれ~……?(なんで効かないんだろう)」

 焦りと疑問で混乱するサロ


「……酒にいれた睡眠薬の事か?」


「そうそう、そうなんです♪……え?」


「・・・・」

「・・・・」


 どうやらサロは酒に薬を入れていたらしい。


「わしも伊達に賢者やってたわけじゃないんでのぅ。毒と薬にはあらかた耐性があるんじゃ」


「賢者~?何のことぉ~?わたくし酔っちゃってわかんなーい?」


「赤ワインで酔うサキュバスなんて聞いたことないぞ」


 ジト目で話すラニャ。

「あ、ははは。もしかして気づいてたんです?」

「興奮したときに、尻尾隠せとらんぞ?」

「あ」


 サキュバスとは主に、寝ている男性を狙う女淫魔だ。

「ドジっ子悪魔なんて最近じゃ流行らんのではないか?」

「うえーんばれたー!こ、こうなったら!」


 といってガバッとラニャに飛びかかる。


「ほう、わしを喰おうと?今日は満月じゃしエリクサーもキメてるから強いぞ?」

「こちらも満月でパワーマックスですよぉ♪」


 こうして突如としてなぜか


 唇と唇で


 女同士の真夜中チキチキ魔力ドレイン合戦(ポロリはないよ♪)が始まった。


 果たして、勝ったのは ・・・・



 続く





ーメモー


ドレイン:魔力、生命力を吸い取る魔術。淫魔の得意技。吸い取られて0になれば人間の場合、瀕死状態になる。唇でなくても可能




※この物語はフィクションです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る