第2話「俺は形から入るタイプなんだよ、悪いか?」


「アルーシャ様、何をなさっているのですか?」


「エドワードか、なにちょっとベルンシュタイン公爵家の名を汚したアホに面白いいたずらを……罰を下そうと思ってね」


「はぁなるほど、それでそのように大掛かりな仕掛けを……。お伺いしますがこのセットは必要なのですか?」


エドワードが部屋の様子を見て訝しげに眉を寄せる。エドワードがそう言うのも無理はない。


棚にはドクロの形の水晶が並び、壁にはカラスが飛び交う真っ黒な屋敷が描かれた大きな絵と、無駄に大きな鎌がかけられている。一言で言えば不気味だ。


その中央で子供が入れそうな大鍋に、大うさぎの耳やら、キメラの尻尾やら、ユニコーンの角やら、マンドラゴラの根やら、ドラゴンから取れた魔石やらを入れて煮詰め、漆黒のローブを身て「ヒーヒッヒッヒッ…!」と笑いながらかき混ぜている俺。


ちょっと、いやかなり頭がおかしくなったと思われても不思議じゃない。


「こういうのはまずは形からなんだよ」


「そうですか、どうかその美しく肌に火傷などなさいませんように」


エドワードが俺の後ろに立ち、後ろから俺の腹へ手を回す。エドワードは俺より頭一つ分大きいので、俺はエドワードの体にすっぽりと覆われてしまう。


エドワードが頭や首筋に口づけを落としていく。


「ちょっ……実験の最中だ、邪魔するなよ……!」


「邪魔するとは心外ですね、私はこうしてアルーシャ様がお怪我をしないように加護の魔法をかけているんです」


服の中に入ってこようとするエドワードの大きな手を、パシリと叩き落とす。


「魔法ならキスなんかしなくてもかけられるだろ?」


なんせエドワードは大陸一の天才なんだから。


「それはアルーシャ様も同じです。実験などこのような大掛かりの道具を使わなくてもできるでしょう?」


「まぁ、それはそうなんだけど……形も大事だろ?」


「でしたら私もアルーシャ様と同じです、加護の魔法をかけるにも形は大事です」


俺が鍋をかき混ぜている間、エドワードにキスされ、服の上からあちこちなでられ続けた。


俺はエッチな声が出そうになるのを必死にこらえたが、我慢できずにちょっとだけエッチな声を漏らしてしまった。

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