北方の帝国ゲートヴェルダン


 デスゲイズは急いで仲間をザルカス市に呼び集めた。

 北方の大国〈ゲートヴェルダン〉が侵攻を始めたからである。


 デスゲイズは、出身がゲートヴェルダン帝国である仲間の女性"ルーシャ"から東側の町オレンジタウンの所在を聞き、拠点をその場に据えて動向を伺う事に決めた。

 ルーシャが金髪の長い髪をまとめて髪留めでセットしながら仲間に告げた。


『あそこは寒いから…年中雪が降る、氷の精霊が暴走を続けているという国よ


 ゲートヴェルダン帝国は古代から存在する国の一つだ。

 魔法使いが行った研究で、氷の精霊が凶暴化したため不毛の地になっていた。

 しかしゲートヴェルダンを救い、巨大な帝国にまとめた人物がいる。

 覇帝ムーガーという男が一人で現在の北方最強の帝国、ゲートヴェルダンを築き上げた。


 

 オレンジ色のおさげ..エクステをセットしながら、筋肉質の黒人"グレイザーク"が皆に言った。


『ふっ。どうやら風向きが良くなったな..


 仲間たちは彼の言葉を確かめるために、彼が指で示した錬金術伝達器具【ズマホ】をのぞき込んだ...


 【 グレイザークにゲートヴェルダン帝国の宝くじが当選していた! 】


 覇帝ムーガー‘‘ゲートヴェルダン帝国出撃記念宝くじ’’1等をグレイザークが当てた!


 アムリタやデスゲイズたちはウキウキしながら


【 テーブルの上に広げていたゲートヴェルダン帝国との関わり方参考資料を手で払い床に投げ落として 】


『どこに冒険に行くんだ?久々にダンジョンとかどーかな!


 鼻息を荒く発言するアムリタに


【 デスゲイズ神官長から、市長を奪ったアムリタに対して 】


『アムリタ...鼻息でゲートヴェルダンを倒したら、俺さまが直々に冒険へ...



 仲間たちはデスゲイズを無視しながら、久々の冒険の話に盛り上がった!


 デスゲイズ神官長は眉をしかめながら


『あの...俺さま..ぼくも混ぜてください


 不用意に近づいて、ルーシャが飲みかけのワイングラスが床に‘‘ぱりん’’


『ほほうっ!久しぶりに両手鉾斧グランネイルを使う時が来たわね!


 ルーシャの左耳のピアスが消えて、空色の槍に変化する。


 デスゲイズが何かの魔法の言葉を呟きかけ、アムリタが‘‘まぁまぁ’’とルーシャをなだめて


 アムリタがデスゲイズに向き直った。


 デスゲイズは珍しくアムリタが助け舟を出したので何か起きるなと身構えていたら


 アムリタが魔法‘‘音響ヨクナール’’を発動しデスゲイズに笑顔で


『かったりー♪ やってらんねーぜ♪


 とびきりの美声で。



 デスゲイズは悪魔変身しそうになるのを必死で我慢した。

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