第26話

 みなさんもそう思っているかもしれませんが、ヨシオ君はたまごに頼んで、なおちゃんと話しができるようにしてもらうことはできたのです。でも、ヨシオ君はそうはしませんでした。いったいどうしてでしょう。

 ヨシオ君は、ふと、僕はみんなにズルをしてるんじゃないかなって思ったのです。だってヨシオ君がこんなに人気者になれたのも、たまごの呼んでくれたツキのおかげではないでしょうか。そう考えると、大好きななおちゃんにだけは、たまごの力を借りるのが、なんだかいけないことのように思えてきたのです。


 さて、ヨシオ君はなおちゃんに、好きだよって言えたでしょうか。

 いいえ、やっぱりだめだったのです。ヨシオ君もなおちゃんも、二人ともなんとなくよそよそしくなってしまって、どこかでバッタリ出会っても、どちらからともなく、ふっと目をそらしてしまうのです。

 ですから、相変わらずヨシオ君はクラスのみんなに囲まれたままですし、なおちゃんはその外にポツンと取り残されたままです。そして、いつのまにか時は過ぎてゆき、ヨシオ君もなおちゃんも小学校の六年生になりました。

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