第25話
こんなふうにして、一年はあっというまに過ぎて、ヨシオ君たちは四年生になりました。四年生になると、新しい友だちができるように、クラス替えが行われました。そして運の悪いことに、ヨシオ君となおちゃんは、別々のクラスになってしまいました。ヨシオ君は、がっかりしてしまいました。
新しいクラスになってみると、三年生の時同じクラスだった子は、ほんの少しになってしまいました。でも、いつも野球をやっていたおかげで、ほかの男の子たちとは、もう友だちになっていました。それで、最初のうちは、また前みたいに引っ込み思案のおとなしい男の子になっていたヨシオ君も、たまごのおかげもあって、だんだんクラスの人気者になっていきました。
そう、ヨシオ君は前みたいなおとなしくって目立たない子じゃありません。ずっと明るくて活発になりました。今では、チームのサードで四番打者、おまけにキャプテンです。みんなも、なんとなくヨシオ君を頼りにするようになってきました。だって、頭はいいし野球はうまいし、何をやらせても抜群です。おまけに、なんでも先頭に立ってやるんですから、なんだかちょっとしたスーパーマンみたいです。
ですから、おとなしいなおちゃんは、ヨシオ君の新しい友だちにはじき出されてしまったみたいで、いつも取り残されたように、ポツンとしています。時々ヨシオ君がみんなと一緒に帰る時に、なおちゃんと出会うことがあります。でもやっぱりヨシオ君は、
「一緒に帰ろうよ。」
と言えないで、なおちゃんは一人で帰っていきます。ヨシオ君は、なおちゃんがかわいそうで、なんとなく悪いことをしているように思えてなりませんでした。
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