第21話

 ヨシオ君は、びっくりしながら聞いていました。今までこんな話をしてくれたことは一度もありませんでした。ヨシオ君には怖いばっかりだったお父さんが、急に身近な存在に思えてきました。

 お父さんは、また話し始めました。

「だからな、ヨシオの気持ちはよくわかるんだ。だがな、お父さんはちゃんと勉強もやったぞ。少なくとも学校の成績は下げなかったぞ。」

そこでお父さんは、ちょっと怖い顔になりました。

「ヨシオ、だから今度だけはかんべんしてやろう。だけどまた悪い点を取るようなことがあったら、その時は野球は絶対禁止にするから、そのつもりでいろ。これは、お父さんとヨシオの男と男の約束だぞ。いいな。」

ヨシオ君は目を輝かせてうなずきました。

お父さんは、にっこり笑いました。

「よし、それじゃ握手しよう。」

お父さんはヨシオ君の手をギュッと握りました。ヨシオ君も負けずに握り返しました。ヨシオ君は、お父さんの手って暖かいなと思いました。

 さて、ヨシオ君がニコニコしながら出てきたので、お母さんもお姉ちゃんも、ちょっとびっくりしたような顔をしていました。二人とも、ヨシオ君がお父さんにカミナリを落とされて、しゅんとして出てくると思っていたようでした。


 ヨシオ君は、また二人に何か言われるとうるさいので、さっさと二階に上がってしまいました。ヨシオ君は机に向かうと、またたまごに話しかけました。

「たまご君の言ったことは本当だね。おかげで怒られずにすんで、助かっちゃったよ。」

「キミハホントウニ、ソウオモッテイルノカイ。アレハボクノセイジャナイヨ。オトウサンハ、ホントウニソウオモッテユルシテクレタンダヨ。ヨシオクンモオトコドウシノヤクソクヲシタンダカラ、ゼッタイニマモラナクチャダメダヨ。モシヤクソクヲヤブッタラゼッコウダカラ。」

ヨシオ君はため息をつくと言いました。

「わかったよ。ちゃんと約束は守るよ。だから、たまご君もどこにも逃げたらだめだからね。」

「ウン、ワカッタヨ。ヤクソクスルヨ。」

 ヨシオ君は、ずっと心配し通しだったので、ホ

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