第14話

 ヨシオ君は二階へかけ上がると、宝箱を開けてたまごをそっとてのひらにのせました。

「ヨシボウノアワテンボ。サッキヤクソクシタバカリダロ。」

たまごはプンプン怒っています。ヨシオ君は

「ごめんごめん。お姉ちゃんに見つかるといけないから、あとで来ようと思ってたんだけど、遅刻しそうになっちゃったから、うっかり忘れちゃったんだ。」

と謝って、たまごをポケットに入れようとしました。でも、ヨシオ君のポケットには、ちょっと大きすぎるようです。

「あれれ。たまご君、ちょっと大きすぎるよ。こんなにポケットがふくらんじゃったら、きっとみんなにばれちゃうよ。」

ヨシオ君がそう言うと、

「ア、ホントダ。デモ、チッチャクナレバダイジョウブダロ。」

たまごはこともなげにそう言うと、びっくりしているヨシオ君の手の上で、スウッと小さくなり始めました。野球のボールと同じぐらいだったのが、あっという間にピンポンのたまぐらいになってしまいました。

「コレナラダイジョウブダロ。サア、ハヤクイコウヨ。」

 ヨシオ君は、たまごをポケットに入れてみました。そう、これなら大丈夫でしょう。ヨシオ君は、ドタドタッと階段を下りかけましたが、ふと立ち止まると、たまごに聞いてみました。

「ねえ、たまご君。そんなに簡単に小さくなれるのなら、何でもっと小さくならないの。その方がもっと便利でいいんだけどなあ。」

「ダメダメ、コレイジョウハムリダヨ。コレイジョウチイサクナッタラ、キュウクツデガマンデキナクナッチャウヨ。」

ヨシオ君は、

「いくらおばけのたまごでも、できないこともあるんだな。」

と変な風に感心しながら、

「行ってきます。」

と大声で言って、学校へとんで行きました。

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