第13話

 二人がドタドタッと、ものすごい音をさせながら下りてきたので、お母さんが台所から出てきました。

「まあ、二人とも何やってるの。早く上へ行って着替えてらっしゃい。早くしないと、朝ご飯を食べている時間が無くなりますよ。」

朝ご飯が食べられないとは大変です。二人とも

「ハーイ。」

と言うなり、またドタドタッと音をさせながら、二階へあがってゆきました。

 お父さんは部屋から首を出して、このようすをあきれた顔で見ていましたが、

「まったくあの二人ときたら、朝早くからドタバタとしおって、なあ母さん、いったい誰に似たのかなあ。」

と、苦笑いをしながら言いました。お母さんはクスッと笑うと、

「あなたよ、あなたの小さいころにそっくりですもの。」

そう言いながら、さっさとテーブルに朝ご飯を並べました。

 しばらくすると、二人ともちゃんと着かえて下りてきました。

「さあさあ、二人とも冷めないうちに食べなさい。いつまでもぐずぐずしてるから、もう時間がありませんよ。」

お母さんは二人をせかしながら、忙しそうに動きまわっています。二人とも急いで朝ご飯を食べて、学校へ行くしたくをしました。でも、いつもと同じように二人そろって玄関まで来た時です、

「オーイ、ヨシボウ。ボクヲワスレチャコマルヨ。」

とたまごの声が、ヨシオ君に聞こえてきました。

ヨシオ君は

「あっ、いけない。忘れものだ。」

と言って、慌てて二階へとんでゆきました「もう、あわてものなんだから。先に行っちゃうわよ。」

お姉ちゃんはそう言うと、さっさと歩いて行ってしまいました。

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