第9話

 次の日、ヨシオ君はいつもより早く目が覚めてしまいました。なぜって、たまごのことが気になってしかたがなかったからです。ヨシオ君は起き上がるとすぐ、宝箱のところへ行きました。別に何ともないようです。でも中はどうでしょう。あのたまごのことです。ひょっとしたら、逃げ出してしまっているかもしれません。それどころか、昨日のうちにたまごがかえってしまって、ものすごいおばけが入っているかもしれません。

「どうしよう、開けようかな。」

ヨシオ君は、しばらく迷っていました。でもやっぱり男の子です。

「開けてみなきゃ、一日中気になってしょうがないや。おばけが出たら、その時はその時だい。」


 ヨシオ君は、おそるおそるふたを開けました。そして、そっと中を覗きこみました。ああ、よかった。何も変わったことはありません。たまごは、箱のまん中に、ちゃんといました。昨日置いた通りです。でも、知らん顔をしていすわっているたまごを見て、ヨシオ君はだんだん自信がなくなってきました。やっぱり、昨日のことは、ただの夢だったのでしょうか。だって、箱の中から勝手に出てきて、動きまわって、おまけにヨシオ君と話までしたはずなのに、昨日入れた時とまったく同じかっこうで、箱の中にチョコンとおさまっているんですから。これでは、ヨシオ君がわからなくなるのも無理ありません。

 ヨシオ君は、またたまごをながめ始めました。ヨシオ君は、こんな風に考えたのです。

「こうなったら、根くらべだ。こうやってずっと見ていれば、いくらおばけのたまごだって、がまんできなくなって動くに決まってるさ。」

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