第8話

「おやすみなさーい。」

ヨシオ君は、大声でそう言うと、ふとんの中にもぐりこみました。でも、さっきの夢のことを考えると、どうしてもねむれません。だいいち、あれが夢かどうかも、ハッキリしていません。考えれば考えるほど、目がパッチリしてきました。

「おかしいなあ。」

とヨシオ君はつぶやきました。

「僕は確かに、あのたまごが動くところを満たし、あいつと話もしたはずなんだ。だって、もし夢だったら、こんなにハッキリと覚えているはずないもん。」

 ヨシオ君は、しばらく考えこんでいましたが、急にパッと明るい顔になりました。

「そうだ。たまごのやつ、僕を試したんだ。もしかしたら、僕が約束を破るかもしれないと思ったんだ。それで夢の中に出てきて、友だちになれるかどうか調べたんだ。」

 でも、せっかくわけがわかっても、ヨシオ君はなんとなく面白くありません。だって、せっかく友だちになろうとしたのに、疑られてしまったのですから。

「チェッ、信用ないんだな。」

とつぶやくと、ヨシオ君は宝の箱に向かって小さな声で言いました。

「おい、たまご君、聞いてるかい。僕、約束を破らなかったろ。だからさ、今度はちゃんと僕の前に出てきてよ。もう夢の中になんか、出てくるんじゃないよ。」

ヨシオ君は、今度は昼間の疲れから、ぐっすりとねむってしまいました。

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